民主党はなぜトランプに負けたのか?
2024年の米大統領選挙はトランプの勝利に終わった。開票が進むにつれて、トランプの獲得選挙人数は伸び続けており、過半数である270人を大幅に超え、300人にも達しようかという勢いである。
アメリカのCNNやNYタイムズといった主要リベラルメディアは、選挙直前までにしきりにハリス有利との情報を流し続けていた。しかし、蓋を開けてみれば結果は大差でのトランプ勝利となった。メディアの読みは完全に外れてしまった。
左派メディアの予想を覆した要因の一つが、前回の敗北を糧にしたトランプ陣営の選挙対策があった。
コロナ禍で行われた2020年の大統領選挙では、トランプと共和党は2016年に引き続きトランピズムと名付けられた保守的イデオロギーを武器に選挙戦を展開した。しかし4年前とは違い、不況なども足を引っ張り民主党のバイデンに敗れてしまった。
その結果を反省したトランプと共和党は、今回は労働者だけではなく、若者や選挙にあまり興味がない人々へのアピールにも力を入れてきたのである。
トランプはこれまでのSNSでの活動に加え、有名なYouTuberやポッドキャスターなど、インフルエンサーたちのラジオや動画にゲストとして参加し、台本のないインタビューを数多くこなした。
これにより、インフルエンサーのファンである若者や、政治に興味がない人々にも親近感を持ってもらうことに成功したのである。熱心なトランプ支持者であるイーロン・マスクとのスペース対談はネット上で非常に大きな話題となった。
さらにトランプはUFCといった格闘技イベントの会場に現れスピーチをしたり、マクドナルドの従業員として働いたり、ごみ収集車に乗り作業服を着たままスピーチをしたりと、肉体派の強い男、マッチョでタフで愛嬌のあるおっさんというイメージ戦略を展開した。
それが功を奏する結果となり、これまで以上に若者や浮動票を獲得することに成功したのである。これらを従来の選挙活動こなしながら行っていたのだから、高齢者とは思えない体力に驚かされるばかりだ。
これらのトランプと共和党の選挙活動は見事というしかなかった。6回の自己破産を経験しながら今なお億万長者であり続けるトランプの、負けても這い上がってくるタフさは流石だ。
しかし、今回の民主党が敗れたのはトランプの頑張りだけが要因ではない。なぜなら、もっと大きな原因が民主党側にあったからだ。
今回の選挙でなぜ民主党はトランプに大敗してしまったのだろうか?その原因を探るためには時計の針を戻す必要がある。トランプが初めてアメリカ大統領の座を手にしたとき、そうさかのぼること8年前、2016年の米大統領選挙である。
当時は泡沫候補として共和党予備選挙に参加していたトランプは、すぐに負けると誰しもが考えていた。しかしトランプはそんな下馬評を覆し、破竹の勢いで勝ち上がったのだ。そして最後は、移民でありながら代表選までたどり着いた若き新星ルビオ議員をも圧倒し、共和党代表に選出された。
イロモノ候補であるトランプが共和党の代表になったことで、その相手が誰になるのか、民主党の代表に誰が選ばれるのかに注目が集まった。最終的には元大統領の夫を持つヒラリーが民主党の候補に選ばれる結果となったが、実はこの時に大本命のヒラリーを追い詰めた民主党議員が存在した。
その議員の名前はバーニー・サンダース。民主社会主義者を自認するこの男こそ、これからの民主党政権にとって最も重要な一人いっても過言ではない人物なのだ。
語り継がれる2016年の民主党予備選挙、あの時なぜサンダースはヒラリーと互角に戦えたのか?『サンダース現象』はなぜ起きたのか?なぜサンダースは今の民主党で貴重な存在なのか?
それらの理由はひとえに……
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