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復活のブルーカラー製造業界
今、ブルーカラー製造業界が熱い。
高度経済成長期、ものづくり大国日本では大企業によって多くの巨大工場が建設され稼働していた。クソデカ工場で働く従業員数は多ければ1000人以上にも及ぶ場合もあり、工場を中心にその周囲には彼らが家族と住むための住居が建てられ、スーパーや病院、学校やショッピングモールなど様々な施設が立ち並ぶ。その様はさながら工場を中心とした城下町だ。大企業製造業界は特別な学歴がない男女にも、安定した稼ぎと余暇時間を与えてくれる素晴らしい働き口であった。
しかし、そのような多くの男女の雇用の受け皿として機能してきた第二次産業、製造業界はバブル崩壊後に集落の一途を辿ってきた。第1次産業とは農業、林業、漁業のことであり、第2次産業は鉱業、建設業、製造業。そして第3次産業がサービス業や介護医療など前記以外を指す。
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特に我々氷河期世代の後発組が就職活動を行っていた2000年代あたり(グラフの平成12年ごろ)から、日本各地に点在した大規模な工場が次々に閉鎖されていった。世界規模のグローバリゼーションの号令のもと、工場が人件費の安い発展途上国へと移転されていったのだ。そのピークは2010年代で、大阪でも大手家電メーカーである三洋やパナソニックのクソデカ工場が次々と閉鎖されていった。
その影響はすさまじく、巨大工場を中心とした城下町が形成されていた街は一気に活気を失っていった。大企業のクソデカ工場は福利厚生もしっかりしているし、高卒でも現場作業員であれば雇ってくれることから、地元の高卒や専門卒の学歴を持たない若者にとっては最高の就職先であった。また女性にとっても事務員や一般職としての働き口があり、事務的処理に加えて電話番にお茶くみ、コピーにFAXなどの仕事を行うことでそれなりの給与を稼ぐことが出来ていた。これらの雇用が一気に失われてしまったのだ。
そして衰退する第二次産業に変わって、特別な学歴のない若者たちの雇用の受け皿として台頭したのが第三次産業、医療介護やサービス業、情報通信業(IT業界)である。
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第三次産業で圧倒的な伸びを示した医療福祉の多くは介護職である。介護職は近年かなり待遇が改善されてきたが、製造業界と違い労働時間は長く給与は低い。サービス業の小売業界なども長時間労働低賃金な業界だ。
唯一稼げる仕事で伸びているのがIT業界であるが、健康な身体と真面目な性格さえあればやっていける製造業界に比べ、IT業界で働くにはプログラミングの素質やある程度の頭の良さが必要とされるため、製造業界に比べ間口は広いとは言えない。働き口の数も現状の製造業と比べてもまだまだ多くはない。
産業構造の変化により、特別な能力がなくてもやる気と元気さえあれば若くても年収400万以上稼げる仕事が激減してしまったのだ。
大手企業では物価の情報に合わせて新卒の給与引き上げを実施しているが、そんな大企業に入社できる男女はほんの一握りである。必要なのは特別な学歴や能力を持たない若者でも、真面目でさえあればある程度(年収300~400万)稼げる仕事の数だ。
学歴のある人間からすれば、年収300万~400万なんて20代でもいくらでも稼げるんじゃないの?と思う人もいるかもしれないが、統計を見ればそれが間違いであることがわかる。
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ツイッターなどでは4年生大学卒業者がほとんどであるため不可視化されているが、日本では今でも4割以上の人は非大卒なのだ。彼ら高卒専門卒短大卒の若者でも300万円以上の給与と福利厚生が受けられる仕事が不足しているのである。
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男性にとって最低限の年収は人生のライフステージを勧めていく上で必須である。稼ぎが少なすぎる若者は結婚したくてもできないのだ。少子化対策が叫ばれる昨今、様々な育児支援策を国は打ち出してはいるが、年収200万しかない男子にとっては、子供手当が貰える期間が延長したところで焼け石に水である。女性も働く時代とはいえ、男性の年収がある程度ないことには怖くて結婚に踏み切れないのだ。
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そんな学歴のない若者には厳しすぎる日本の就職状況であったが、ここ数年の間に明らかに潮目が変わってきているのを感じている。
なんとここに来て、弱り続けて来た製造業界が息を吹き返してきているのだ。
なぜ令和の今、製造業界の求人が復活してきているのであろうか?その理由は大きく3つある。それが……
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