暴力性モテと負の無形文化遺産
マシュマロ質問箱にこのような意見が届いていた。
「メンヘラ製造機のサイコパスイケメンと飲みにいったらすげー楽しいから女さんがクズイケメンに惚れてしまうのもわかるわ。俺が女でもクズイケメンになびいてしまいそう」
「暴力性モテ」というワードが日陰者のSNSツイッターでは大人気である。この強烈無比なミームは日々ツイッター界隈を賑わし、定期的に議論の中心になる。
このミームを始めてみたときにその実の蓋もない言葉に思わず笑ってしまった。この言葉をストレートに受け取るなら「暴力性のある男性はモテる」という意味になるだろう。このあけすけなメッセージに対して真面目な男性陣や優しい男が好きな女性陣が憤りを感じるのも無理はないのかもしれない。
ただ筆者の意見を正直に言えば「暴力性のある男がモテるのって当たり前じゃないの?」というものである。
男性諸君は学生時代に弱者男子をサッカーボールのように蹴る暴力性の塊のようなスポーツマンたちが女子にモテているのを見てきたはずだ。社会人になってからも同期や後輩の女の子にガンガン声をかけるツーブロックや前髪系のイケイケオラオラ男子たちがモテるのも目にしているはずである。
なので、「暴力性のある男がモテる」という言説そのものに批判的な意見がこれだけ多いことにちょっと驚いてしまった。優しい寡黙な男性よりオラオラツーブロックの方がモテるのは純然たる事実である。なぜなら女性のほとんどは恋愛に対してガン待ちだからである。
暴力性を出す男子、つまりオラオラ系スポーツマン男子は基本なんにでも積極的である。色々な経験を積んでおり、またどんどん話を自分からするのでコミュ力も高いことが多い。逆に暴力性皆無の植物のような男子は基本待ち姿勢で対人関係をそこまで多く持たないのでコミュ力も普通以下のことが多い。女性がガン待ちなのだから自分から前に出ない寡黙な男子はなかなか女性との接点が持てず非モテになるのも当然である。スト2で待ちガイル同士が画面端でお互いうんこ座りしてるようなものである。とりあえず前飛びしていかないと何も始まらない。
極端に言えば、暴力性マシマシで女に手あたり次第声をかけるDV上等全身アルマーニ男の方が、大人しく真面目で気が弱く女性に全く声をかけられない非モテ男性よりモテてしまうのだ。これは女性にとってもあまり良いことではないのだけれど、DV男は距離の詰めるスピードや引っ張っていくパワーだけはある場合が多く、それに引っ張られてしまう女性はとても多い。女を片っ端から口説いていくDVヤバ男は、一切女に声をかけられない非モテよりはモテてしまう。
このように暴力性モテの本質そのものは残念ながら否定できないが、「暴力性モテ」というミームに対して、「それじゃ人を殴る男がモテると勘違いしてヤバい行動に走る非モテが増えて危険だ!」と警鐘を鳴らす意見があり、それには筆者も賛成である。
暴力性のある男がモテる=女を殴ればモテる、ということではないのだ。考えてみて欲しい、アプリで出会い初対面した時にいきなり殴ったり蹴ったりといったDVや、過激な容姿弄りなどのパワハラをしてくる男を好きになる女なんているはずがない。100%の暴力=モテでは断じてないのだ。暴力の匙加減がわからない、産まれてこのかた暴力性を出したことのない大人しい非モテ男子が「暴力性モテ」と言うミームに出会うと危険である。大人しい非モテは暴力性のコントロールに慣れていないのだ。
この暴力性のコントロールが抜群にうまい男たちがいる。それが体育会系男子、ジョックたちである。彼らの何割かは残念ながら強すぎる暴力性からDV男になるが、そのような一部を除けば非モテ男子のように女性に気を使い過ぎることもなく、適度な距離感で女性をリードして恋愛して結婚していく。
観測範囲で部活をやり込んでいた体育会系男性陣はみな結婚している。学生時代から彼女にも困っていた様子もない。彼らは今でいうツーブロックゴリラのような強者男性たちだ。消防士や警察官など強さの象徴のような職種についているものも多い。
彼ら体育会系強者男性と非モテ男子の差を生み出しているものは何なのであろうか?強者男性が持っていて非モテ男子が持っていないもの、それを筆者は「負の無形文化遺産」と呼んでいる。
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