「形容詞+です」アリ?ナシ?
「良いです」「美しいです」などの「形容詞+です」のアリナシって、メディアさんごとのルールや編集さんの好みでも、分かれるポイントじゃないかなと思います。
なぜアリナシが分かれるのか、リジェクトくらったときの回避方法はあるのかなどを書いていきます。
文化庁の見解
「平明・簡素な形として」…ここが論争になりそうな臭いがしますね。Web記事は「簡素」で良いのかという…
ちなみに平明は「わかりやすく、はっきりしていること」という意味です。
「です」は「だ」だからダメ?
丁寧語の「です・ます調」は、「だ・である調」に変換できるもの、という考え方からきています。
「形容詞+だ」が成立しないので、「形容詞+です」もダメとする意見です。「美しいだ」はたしかに変。同じ理由で「美しいでしょう」も良くないねってことになります。
格式ある文書では使われない
文化庁は平明・簡素な形として認める、と示しています。逆にいえば、平明・簡素ではない文書では認めないということです。
ここで、国立国語研究所の所長、前川喜久雄先生が発表した『「形容詞+です」述語の生起要因についての準備的考察』からグラフを引用します。
各媒体において「形容詞+です(A+です。)」が使われた割合を示しています(2012年の文献なので今は数値が変化してると思いますが)。
法律や白書などはそもそも「です」自体が出てこないので「形容詞+です」も0%なんですけど、それ以外の格式のある文書でも、ほとんど使われていないことがわかります。圧倒的に多いのはネット掲示板です。
Webライティングがどこらへんに位置するかでいうと、ブログよりはちょい上、出版書籍よりは下くらいなのかな…。となると1~2割くらい…?なんかこう、できれば避けたい気がしてきました。
ちなみに、『「形容詞+です」述語の生起要因についての準備的考察』では、どういう形容詞で「形容詞+です」になりやすいのか、使用者の年齢はどうかなども書かれていて、ものすごく面白いのでぜひ読んでみてください。
頑張って避けてみるか、どうする?の話
めっちゃ雑な回避方法としては「~のです」「~ことです」にしてしまえ! になるかと思うんですよね。「美しいです」→「美しいのです」みたいに。
しかし…これ使うと「冗長表現NGやで」の執筆ルールにぶつかる。「のです」「ことです」が大嫌いな編集者さんもいますしね。まいったぞ。こうなったら、形容詞が文末にこないようにしよう。
この宝石は美しいです。→ これは美しい宝石です。
おいしいです。→ おいしい料理です。
〇〇すると良いです。→ 良い方法は〇〇です。
〇〇な人が多いです。→多くの人は〇〇です。
こんな感じだ!
ただ、1つ目の例では「美しさ」にフォーカスしていた文章が、言い換えによって「宝石」にフォーカスする文章になっちゃうんですよね。伝えたいニュアンスをそのままにした、もっと良い表現が浮かぶ脳みそになりたい。
最後に
個人ブログの代筆的な仕事だったら、もう「形容詞+です」をじゃんじゃん使ってまえ、というのが個人的な見解です。あとは感情表現が大事な小説とかも、立派な文章だけど口語的なのでOKでしょう。セリフなんかとくに。
一方、情報ソースとかめっちゃ大事にしてて、閲覧者数もすんごいメディアさんの記事では避けるのが無難かなと思います。
表現力を磨いて、ニュアンスを壊さずに伝えられるようになりたいもんですね。頑張ってみようと思いました。
次回は、ライターで飯食えるようになるまでの話を前後編に分けて書くつもりです。