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オーケストラにおける具体と抽象の音楽作り

この三連休に所属しているアマチュアオーケストラの合宿がありました。

学生時代に「一生出来る趣味を」と思って吹奏楽部に入り、ホルンを始めて自分の楽器も購入していたので、社会人になってからも大学の先輩が立ち上げたオーケストラに所属して休日に楽しんでいます。



オーケストラでは年に2回の定期演奏会があり、今回は冬の定期演奏会に向けて指揮者の先生と約60人が集まり河口湖に合宿練習しました。

良い天気で富士山が綺麗に見えました🗻
河口湖。キラキラ光る湖。
コンビニでコーヒーを買い朝食前にお散歩。

合宿スケジュールはこんな形で進めました。
2日目は約10時間練習。大きなホールで合奏をしたり各個室で同じ楽器同士のパート練習をやるなど充実した3日間でした。

ご飯食べて練習…をみっちり!

音楽作りの具体と抽象

この合宿を通して、音楽って「具体と抽象」の行き来がすごくあるなぁ…としみじみ考えさせられました。

指揮者は比較的、抽象的な指示で音楽を作っていきます。
⚫︎作曲家のこと、国のこと
⚫︎曲が作られた背景、時代、当時の楽器のこと
⚫︎楽譜に書かれている指示、記号
これらの事実から、どのような音楽を作りたいかを創造し、そのまま説明する時もあれば、さらに最近起きたニュースや指揮者の先生自身が経験された出来事などをユーモアにして織り交ぜながら比喩表現でオーケストラに伝えることもあります。

その「イメージ」を受け取り、オーケストラは音にしていきます。その指揮者の言葉や表情や、演奏している時の指揮者の身体の動きから音楽の方向性や表現を読み解き、「ここでは息をこれくらい吹き込んで、口の形はこのようにして…」と具体的に楽器を鳴らす方法を考えて演奏するのです。

今回の合宿でこんなことがありました。
午後13:00からの合奏で指揮者から「天の声のように」という指示があり、とある奏者の方が「あの意味がわからなかった、どう表現すれば良いのかわからない」と夜のパート練習の時に相談してくれたことがありました。

「天の声」をどう表現するか。
「天の声とは何か」という問いだなぁ👀と思って、なんだか最近壺中人事塾や人事図書館で「問い」に沢山触れてきていて、そう言う思考になっている自分に驚きました笑

確かに「天の声」は人によって様々な解釈がありそうで、これは一緒に吹くメンバーと議論して認識を統一する必要があると感じて皆んなで集まって音を作り込む場をセッティングしました。

それぞれが、天の声という言葉にもつ単語を色々と出してみたり、それと反対に思える言葉やイメージを出してみたり、そしてそれらを表現するために、楽器を演奏する時に具体的にどのようにするかを考えます。
しかも、これを1人が吹いているわけではなく複数人が違う音を吹いてハーモニーを作り出しているので一人一人だけで完成するのではなく、皆んなで一緒に吹いて、その全体での音量や音色のバランスも考えなくてはいけません。

オーケストラには「スコア」と呼ばれるすべてのパートが載っている総譜を読み込み、他の楽器のやっていることを確認しながら自分のパートの役割も確認していきます。

さらに細かいことを言うと、皆んな同じ楽器ではなくトランペットもいればホルンもトロンボーンもチューバもいて、
さらにホルンの中にもヤマハ(日本)やアレキサンダー(ドイツ)やパックスマン(イギリス)など様々な国のメーカーを使っている人がいて演奏者自身も一人一人の音色や吹き方の個性や得意不得意があり、
その中でこのメンバーで創り出すベストな「天の声」はどんな表現か、どのように吹くかを具体的に決めて擦り合わせていくのです。

すごく膨大な「認識の統一」をする作業がありますが、合宿ではこの作業をたっぷりとメンバー同士でやることが出来るのでとても楽しく充実していました。やっぱり、皆んなで同じ方向へ向けて汗水垂らして取り組んでいくことは楽しいです。

楽譜にも色々な音楽記号

また前述とは少し変わった観点ですが、楽譜には沢山の音楽記号が書いてあり、その違いから作曲家はどのような音楽を作りたいのか考え、抽象を具体に落とし込んで演奏方法を考えることも行います。

具体的にはちょうど沢山まとまっているブログ記事があったので引用させていただきます。

力強い・勇敢な表現
勇ましさや、勇敢で誇らしい表現を指示する際に使われます。

Energico エネルジコ
精力的に、力強く
Grandioso グランディオーソ
壮大に、堂々と
Maestoso マエストーソ
荘厳に、威厳に満ちて
Trionfante トリオンファンテ
勝ち誇って
Vigoroso ヴォゴローソ(ヴィゴロソ)
力強く、活気のある

正しさ・真剣な表現
勇ましさや輝かしさとはまた違う、誠実な表現を指示する際に使われます。

Feielich ファイアーリヒ
儀式的に、荘厳に
Giusto ジュスト
正確に
Rigoroso リゴローゾ
厳格に、正確に
Serioso セリオーソ
真剣に、厳粛に

https://kensukeinage.com/musical_grammar_stylistic_marking/

似たような表現でもがらりと演奏方法は変わります。タンギングをしっかりとして音の輪郭を際立たせたり、息のスピードを早くして強くくっきりとした音色にしたり、息の量をたっぷりと増やして音色を太くぶ厚いものに変化させたり…。

そして具体的な身体的な動作だけでなく、自分自身の意識する精神的なポイントも私は決めていきます。空間全体を意識するか、とあるピンポイントを狙ったように意識して吹くかなど…。頭の中でイメージすることも具体的にどのようなことかフレーズごとに定めて、良い音楽ができたらそれを次吹いた時も再現できるように楽譜にメモを残していきます。

改めて音楽の世界にも「具体と抽象」を行き来するやりとりがあるのではと思ったのでした。

(おまけ)
先週の壺中人事塾は、学習会ではなく「対話会」でした。いつも毎週水曜日は坪谷さんの図解入門シリーズのチャプターテーマで学習していくのですが、月に一回水曜日は「対話会」に変わります。

今月は坪谷さん含め6人のファシリテーターの皆さんからテーマをいただき、自分の好きなテーマでブレイクアウトルームで対話する方式でした。なんだかお祭りみたいで楽しかったです。いよいよ11月!壺中人事塾もラスト1ヶ月であっという間でなんだか寂しいです。
一回一回大切にして味わいたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました😊

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