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繋がっていったPelliculeの話
前回の記事で紹介した不可思議/Wonderboyのpelliculeについてもう少しDigってみようかと思います。
これがポエトリーとHIPHOPの違い的なのを書いた記事
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そもそも不可思議/Wonderboyとは誰なのか?
1987年生まれの埼玉県出身のポエトリーラッパー。
KICK THE CAN CREWをキッカケにラップを始めて大学生の時にSSWSにエントリーするにあたって予選を下見したときに、詩人今村知晃のパフォーマンスを衝撃を受け、ライムもビートもないポエトリーリーディングに目覚めるとのこと。
※確か自分もB-boy parkのMCバトルを両国国技館でやった時に楽屋でSSWSというのをやるので良かったらってフライヤーを貰った記憶はある。
その後LOW HIGH WHO?というレーベルに所属して音源を発売するが、
2011年6月23日に不慮の事故により23歳という若さで死去。
前回の記事ではMVを紹介したので路上LIVEの様子を◎
自分は亡くなる1ヶ月前にPelliculeを知って、音源を買ってLIVEに行きたいなと思ってた矢先だったので1度も観れなかったのが本当に悔しかったです。。
この曲はHIPHOPで言うとこの『人間発電所/ブッダブランド』PUNKでいうと『This is a song for you/NOB』だと思ってます。
Pelliculeの内容について触れてみようと思います。
この曲は周りがどんどん大人になってく中で、自分達はこのままで平気なのかな?って言う不安。というか漠然と本当に大人になるのかなという気持ちを、久しぶりに会った友人との会話を曲にしてます。
冒頭で
『久しぶり どうしたんだよヒゲなんか生やして
肌の色も真っ黒だし ヒッピーみたいじゃんか
随分と遠くまで行ってきたらしいじゃん
なにか掴んだかよ とりあえずは飲もうぜ』
というように久しぶりの友人との再会からストーリーは始まって行きます。
おそらくなんだけどバックパーカーの友人が旅から帰ってきてっていう情景なのかな?
Pelliculeという曲はここからこの人に向けて話し掛けるスタンスで進んでいく。
『みんなお前のこと何気に 心配してんだ
みんなっつーと、そう いつもの面子のことなんだけど
今日はちょっと忙しくて 来れないみたいなんだ
だから えっと そーだな
二人だけで話そう』
ここは不可思議の優しさが滲み出てますね。
A『みんな心配してたぞ?』
B『みんなって?』
A『みんなっていうか、いつもの面子な。』
B『あ、そうなんだ』
A『でも今日はちょっと忙しくて来れないみたいだから、、、2人だけで話そうよ!』
ってな会話があったんだろうなぁと情景が浮かびます。
『それにしても皆いつの間にかいなくなるよな
だから別に、それがどうってわけでもないんだけど
最後に挨拶ぐらいしてって欲しいっていうか
まあ別にそんな事どうでもいいんだけどさ』
『そういえば昔さ いつだったっけ覚えてる?
流星群が来るからって 校庭に集まって
寝そべって 夜空を眺めてたんだけど
時間だけが流れて 星なんか流れないの
ああ今俺もしかして うまいこと言ったかなー
寒かったなー あれもう二度とやりたくないけど
次の流星群っていつ来るんだろうね
まあ別にそんなことどうでもいいんだけどさ』
1VERSE目はこうやって久しぶりに会った友人とたわいない会話をしています。
でも2つの会話は本当はこんな話をしたいわけではなく、照れ隠しで言ってるんだなというのが、最後のまぁ別にそんなことどうでもいいんだけどさという言葉で全てを伝えてますね。
2VERSE目に行くと不可思議が本当に久しぶりに会った友人に伝えたかった事が書かれてます。
あえてそこの歌詞は書きませんので、曲を聴いてもらえたらなと。
周りの友達というか、学校を卒業してから生まれる同世代との格差について書かれてます。
これは誰もが感じる事なんじゃないかなと。
あいつはいい車に乗って、いい家に住んでて、恋人がいて、自分には何もないって思って不安になる夜の事は1度でもあると思います。
そんな誰もが思うカッコ悪い部分を曝け出してます。
そしてこの曲の最後の最後に不可思議はこうやって締めくくっています。
『こういうのってあんまりカッコよくはないけど
初めから俺たちはカッコよくなんてないしな』
初めて音源聴いた時かなりくらったなぁ。
どんなにカッコつけても、そもそもカッコよくなんてないからいいじゃん?
敬愛する森田まさのり氏の名作『ROOKIES』でも若菜達がタバコ吸ってるんじゃないかとソフト部顧問に疑われてる場面で他の連中はイライラしてるのに、若菜達はソフト部の顧問に言った言葉は
『だって俺たち不良じゃん』
これだ!!
Pelliculeの構成はこれなんだ!!!
ROOKIESと一緒だ!!!
って思ってます。
そしてやっと題名に書いてある繋がっていったPelliculeなんですが、不可思議/wonderboyは亡くなってから売れたアーティストです。
あの路上ライブを観てもらえたら分かると思いますが、足を止めてる人も10人いないと思います。
亡くなってからSNSなどで拡散されて徐々に認知されていったんだと思います。
そんな不可思議/wonderboyへの追悼の曲が発表されます。時系列は違うのでご了承ください。
神門が出したPellicule
これはポエトリーフェス2019のLIVEですね。
この日は自分もベロベロで会場に居たんですが最強に盛り上がってました。
言葉の力が半端なく鳥肌もんです。
リリック解説をしたいなと。
『久しぶり、どうしたんだよ髭なんか生やして。
肌の色も真っ黒だしヒッピーみたいじゃんか。みんなお前のこと大好きなんだよ。みんなっつーとあの日のメンツのことなんだけど』
これは原曲の出だしを不可思議/wonderboy本人に神門から語りかけるという。
もう胸熱です。
『それにしてもみんないつの間にか居なくなるよな。だから別にそれがどうって訳でもないんだけど。最後に挨拶ぐらいはしてけ。今はありがとうとかまた会おうとかありふれた事が言いたい』
ここも原曲からの引用しつつ、原曲ではどうでもいい話とは言ってたけど、神門は本当の本音として今はありがとうとかまた会おうとかありふれた事を伝えたいと、最後の挨拶もなく突然居なくなったワンちゃんに向けて歌ってます。
2verse目は音源とLIVEでは歌詞が違うのですが、ここはライブ音源の方をご紹介します。
『俺たちってさ、いつか結婚とかするのかな?
子供とか出来てさ、庭付き一戸建てとかローン組んで買ったら出来た気になるのかな?
それ今年オレ全部叶えたよ』
これは原曲で不可思議が『俺たちってさ〜』って友人に対して問い掛けてるんですが、それのアンサーとして神門がそれ今年オレ全部叶えたよと。
粋です。
『タイムマシンに乗って、先週に戻って1つだけ未来を変えていいって言われたら、ロト6買わずお前に電話する。近々事故には気をつけろよ』
『迷路にハマった。抜けれなくなった。けどさっき道を聞いてヒントをもらった。声よ距離を響き渡れよ。次交差点出たなら右に曲がれよ。』
聴く人が聴けば1発でわかると思いますが、
この部分は不可思議の世界征服やめたという曲を引用してます。
世界征服やめたという曲はもし友達が世界征服しようぜって言ってくれたらオレはすぐにでもやるんだけど、でも実際は晩ごはん考える事で精一杯だからやめるって曲。
その中の歌詞で
「いやちょっと最近迷路にはまっちまってさぁ、すぐに抜け出せると思ってたんだけど
なかなかそうもいかなくて、あ、でもさっき道を聞いたら交差点に出るたび左に曲がれば大丈夫だって言ってたから、もうきっと、きっと、すぐだよ。」
はい。
そうです。
神門は不可思議に対して迷路にハマったんだけどヒントをもらったよ。次交差点出たら右に曲がれと教えてくれます。
不可思議は左というヒントで亡くなってしまったから、もし右に曲がってれば助かるんじゃないかと期待を込めて右に曲がれよと叫びます。
ライブ映像観てもらえたら不可思議がお客さんにもどれほど愛されていたかわかりますね。
ここは本当に鳥肌です。
神門最後この曲をこうやって締めます。
『過去に名残を。夢に続きを。止まった時間の先に未来を。こうゆうのってあんましカッコ良くはないけど。オレたちは元々カッコ良くないしな』
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そして続いては狐火が出したAnser Pellicule
※22分ごろからAnser Pelliculeが始まります。
これに関しても音源とLIVEは2VERSE目は全く違います。
不可思議への追悼も意もあるけど、出れんのサマソにのオーディション投票で不可思議が亡くなった翌日に票が一気に伸びて、手元にあるその1票を追悼の意として投票したリスナーへのDisというか苦言というか、一緒に戦っていた同志だから生まれる感情を言葉にしてます。
これは狐火にしか書けないリリックだし、狐火しか書いちゃいけないリリックであると思います。
これが繋がっていったPelliculeのお話です。
ちなみにMOROHAもライブで追悼の曲を披露しています。
こちらは不可思議の銀河鉄道の夜の3verse目を不可思議本人が銀河鉄道のレールを作る仕事をしに行ったけどどう?みたいな感じでした。
これは記憶が曖昧ですが。。。
まぁなんか人生に疲れた時や、なんかを決断する時。
これやったらカッコ悪いなーって思うのでは無く、まぁオレって最初からカッコよくなんてないから、やりたいようにやってみようってポジティブになれるんじゃないかな。
ポエトリーしかり日本語ラップもまだまだ奥が深いですね。
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不可思議/Wonderboyは死後にさよなら、というアルバムも発売してるのでこちらも良ければ聴いてみてください◎
このアルバムのシークレットトラックで、谷川俊太郎さんの生きるのremixが入ってるのですが最高です。
次は2020/2/22のライブについても纏めないとなと思ってはいます。。
記憶が薄れぬうちに!!!!