素晴らしい性格診断“ゲーム”でした【『Refind Self: 性格診断ゲーム』感想】
先日、配信で遊んでいた『Refind Self』をクリアしたので、そのクリア後感想noteです。(第1回配信はこちら)
いや〜〜〜〜〜大層素晴らしい”ゲーム”でした!!!
性格診断部分があまりにも的確だったため、初回プレイ時には「このゲームの本質は“性格診断”なんだな」と勘違いをしてしまったんですよねぇ。
なので「性格診断が全て下されるまで(ゲームを3周するまで)は配信外で遊びます」と当初言っていたのですが、その際に「いや最後までぜひ配信でプレイして!」と止めてくださった皆さん、本当にありがとうございました……!
物語ってもんは、本でも映画でもイラストでも味わうことができるし、それぞれ違った楽しみ方を提示してくれますよね。
そんな中、何故狸谷は「ゲームでの物語体験」が好きなのか。それを思い出させてくれたゲームでした。
やっぱ良いですねぇ!!! 自らの手で味わう物語ってもんは!!!
どんなゲーム?
「ゲームって、性格が出ると思いませんか?」をコンセプトにした、探索型アドベンチャーゲームです。「ゲームパート」と「性格診断パート」があり、ゲームパートでとった行動を元にプレイヤーの性格を23キャラクターの中から診断してくれます。
性格診断はかなり細かく、
してくれます。
ね? めちゃくちゃしっかりした性格診断ですよね? でもこれ、ゲームなんですよねぇ〜。
狸谷は『Detroit: Become Human』で「どの選択肢を何%のプレイヤーが選んだか」を見るのが好きだったので、本作においてそのポイントを細かく見ることができたのは非常に楽しかったです。
「何を選んだ」「何をした」だけでなくて、「何を触らなかった」「どれくらい迷った」みたいなことまでリストにあるなんて。あとは「○○をし続けた」タイプの行動が、「〇〇を沢山した」「もっと〇〇をした」みたいに複数段階で用意されていたのもびっくりです。どこまで想定されているんだ……。
ちなみに狸谷の結果はこちら。
要は「失敗嫌いの完璧主義者」ってことですね! はい、的確に当てられております……。
まぁゲーム実況の中で遊んでいるので、どうしてもプレイングが長くなる故に「哲学者」になりやすい……ということはあると思います。(……と言いつつ、周りの配信者さんで「哲学者」を全然見ていない気がするんですが………………)
まぁそれはそれとして、性格診断パートが非常に手厚くて楽しかったです。もっと軽いものを想像していたので、しっかり性格を暴かれてちょっと恥ずかしかったりもしました。
本作のめちゃ好きポイント
と、非常に性格診断がしっかりしている本作なのですが……。実は狸谷の「めちゃ好きポイント」はそこ以外にあります。
それは「性格診断を行うシステムが、ゲームへの没入度を高めるためのギミックだった」ところです。
……順を追って説明しますね。あとこの見解は狸谷の偏った物の見方が多分に含まれているので、公式さんの思惑からずれている可能性大です。(セーフティーネット張り)(哲学者の行動)
このゲームに登場する人物で重要なのは「ロボット」ちゃんと「博士」です。博士は自分の死後100年後に人体蘇生で蘇るつもりであり、ロボットちゃんには「その間待っていて欲しい」「2人で幸せになろう」と約束をしています。
しかしロボットちゃんはその待機期間に自死を選択してしまうことがわかったため、博士はロボットちゃんの性格を塗り替え、違う未来を選ばせるためのシステムを構築します。
実はそれが性格診断だった、んですね。
性格診断を全て行うためには、このゲームを3周する必要があります。その間毎回エンディングは変わらず、ロボットちゃんの自死で終わります。
さて、ここからです。
この流れは「何度性格を塗り替えても失敗するエミュレート結果を見せられる博士」の擬似体験だと思うんですね。
「どうせ3周するなら違う診断結果を見たい」という性格診断ベースの遊び方が、周回するうちに「違う診断結果だったら、もしかしたら結末が変わるかもしれない」という物語を追う遊び方になっている。しかもその遊び方は、作中で博士が行っていた試行錯誤と重なるものである。
そして「性格を注入するためのゲーム」のはずなのに、ゲーム中ではロボットちゃんの意思や思い出がはっきり受け取れるようになっています。
ロボットちゃんと博士の関係性とか、ロボットちゃんが博士に抱いている想いとか、そういうのがしっかり伝わってきちゃうんですよね。
そんな状態でゲームを遊び続けていたら、そりゃまぁ感情移入もしてるし、みんな幸せに終わって欲しいと、思うようになってるんですよ。
はい、もうまんまと物語の沼にはまっていますね。
この「性格診断のために遊ぶ」→「そうやって繰り返し遊ぶことが、登場人物の擬似体験であり没入を高める仕掛けだった」の流れの「やられた!」感!
(そういえば、このゲームは周囲が重なるほどプレイ時間が短くなるように調整されてるっぽいんですよね。これは「失敗を重ね過ぎた博士が「もう一度やろう」「次やったら成功するかも」と焦って試行を重ねていく様の再現」なのかな〜なんて、今は思います。)
この「プレイヤーのプレイ目的を利用して物語で殴ってくる」システムが本当に良かった。ナラティブ押しで宣伝されていなかったこともあり、ほんと不意打ちでした、ほんと。
広報がうまい……! あと既プレイヤーさんもネタバレしないでくれて、ありがとう……!
そんなわけで「あくまで性格診断“ゲーム”なのであり、全ての要素はゲームとして物語に没入させるギミックでした」が、めちゃ好きポイントでございました。
プレイヤーが思考して手を動かして物語を進めることで「主人公に成る」ことができる「ゲーム」とかいう遊び、改めて大好きだなぁと思いました。狸谷が「何故ゲームを遊ぶのか」の源流を思い出せた気がします。
ちなみに本作はプレイヤー≠主人公なタイプのゲームだったと思うんですが、その上で登場人物の主観を感じ取れるシステムはすごいと思うんですよね。第三者の立場ながら「自分ごと」として物語に没入できるのも、ゲーム独自の物語体験ですよね。
はぁ〜〜〜いやほんと、読後感サイコーのゲームだった……。遊んで良かったぁ……。
Lizardryさんのゲームについて
本作を開発されたLizardryさんは、『7Days to End with You』というゲームも作られています。こちらは「知らない言語を解読しながら、自分を助けてくれた女性と7日間を過ごすゲーム」ですね。
「言葉がわからないから、自分の状況も、彼女が伝えたいこともわからない」スタート地点から、言語を解読していくと同時に物語も紐解いていく、そんなゲームでした。
こちらも「言語解読を何度も何度も試行錯誤するプレイヤー」が登場人物に重なっていく、とても綺麗な構造になっていました。謎解き気分で挑んだのに、試行錯誤の過程を減ることで物語がズドンと落ちてきたあの感じ、本作と同じだったんですよねぇ。堪んねぇな……。
こちらは『Refind Self』よりも行間が広めというか、解釈の余地が広いゲームでした。考察するのがお好きな方に、めちゃオススメです。本作と合わせてぜひ。
というか、本作でも『7Days to End with You』ネタあったな……。こういうスターシステム的なの、狸谷は大好物です。ありがとうございます。
というわけで、ゲームシステムを包括した「物語」がぶっ刺さった、良きゲームでございました! 今はもうとにかく「遊んでよかった!」「ありがとう! 感謝!」という気持ちでございます。
この余韻でしばらく生きていけそうなくらい、今の狸谷は幸福です。サウンドトラック、買わなきゃなぁ……。
200%狸谷の娯楽のためにしか使われません。お金は後悔のない使い方を。