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ジムニー泥沼物語 その5 シート交換編
このジムニーはシートが交換されていた。運転席はRECARO、助手席は不明だが純正シートの流用である。平成29年の法改正で保安基準への適合が厳格化された。簡単に言えば「純正シート」であるか「適合証のあるシート+適合証のあるシートレール」でなければ車検が通らないということである。しかし、37年も昔のシートが正常である訳はない。時々オークションで見かけるが、スレや穴開きはもちろん、スポンジもヘタっているであろう。
では、シートをどうするか? ボクは4駆のRECAROには否定的である。RECAROが高性能のシートであることは説明するまでもない。しかし、トライアルなどの競技で使用するのならまだしも、一般道や林道程度ではホールドが強すぎる。ギャップや道路の凹凸のたびに身体がキッチリと揺すられるのである。高速道路では快適だろうが、山道で身体を不必要に揺すられては疲労につながる。
純正シートを流用する事に決め、車種の選定をする。条件は①リーフスプリングの硬さを緩和する座り心地の良さ。②適度なホールド③車中泊を考え、フルフラットまでリクライニングする事。現行型ジムニー(JB64)のシートは表面が柔らかいが腰があり、ホールドが適度である。しかもリクライニングがフラットになるまでできる。しかし、シートの脚の高さに50mmほどの左右差がある。以前JA12へこのシートを流用したが、左右差を補正するのに苦労した。次の候補はハスラーである。旧型はベンチシートで流用できないが、現行型はセパレートになっている。モデルチェンジから間も無いため、オークションへの出物は少なく落札出来なかった。クロスビーも同様である。選択範囲を広げて落札できたのはソリオ・バンディットのシートである。
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乗り心地やホールドは乗ってみなければわからないが、条件は満たしていそうである。最近のスズキ車のシートに悪い印象はないのでコレを選択した。
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SJ30のフロアには運転席側だけシート取り付け用の脚がある。迷ったが純正シートを付けることはあり得ないので、除去する事にした。スポット溶接されているので、スポットカッターで溶接部分をカットする。中心のピンはスプリングで引っ込む仕組み。溶接箇所の外周をくり抜くことで溶接を外す事ができる。
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特殊形状のドリルもあるのだが、今回はコレを試す事にした。
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スポットカッターあるある。全然センターが決まらず、決まった所でもう少しかな?と思う頃には貫通していた。想像以上に鉄板が薄い。昭和のジムニーがサビ穴だらけなのを理解できた。気を取りなおしてスポットカッター&電動ノコを駆使してあっという間に脚は切除された。
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フラットにした時に後ろのホイールハウスと背もたれ部分が当たらないようにスライド範囲を考える。旧規格のジムニーに新規格の(軽ではないが)シートはピッタリで余裕は無い。しかも運転席側のみセンタートンネルにトランスファーの膨らみがある。位置決めをして穴開け、リベットナットでメスネジを作る。トランスファーの膨らみは、30mmほどのゴムを脚として避けることができた。シートベルトのキャッチは互換性がないので、SJ30の物をそのまま使用する。
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4型なのでシートベルトはELR付きだが、擦れてしまい手で送らなければ収納されない。試行錯誤を重ね、3日ほど掛かってしまった。しかし、保安基準には文句なしの純正シート、フルフラット、ヒーター、肘掛け、背面テーブル付きである。