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桃源郷を散歩する(ドイツ・ライン川・ケルン)

ライン川クルーズ&ケルン 

ニュルンベルクを後にし、ライン川へ向かった。ライン川はドイツの西に位置しており、中でも川沿いのボンは東西ドイツに分裂してきた頃の西ドイツの首都である。マインツ〜コブレンツのライン川一帯は世界遺産に登録されている。


ニュルンベルクから目的地のバッハラッハ(ライン川沿いに位置し、ギリシャ神話のワインの神、バッカスに由来。そのためワインの産地として有名)まで4時間。もうヨーロッパも10日目ゆえに何の変哲もない車窓だった。ポーランドの国土を上空から見た初ヨーロッパの感動は何処へやら。慣れというのは恐ろしい。

バッハラッハ到着直前、そんな慣れを吹き飛ばす光景が目に飛び込んできた。渓谷一面に広がる葡萄畑だ。実は以前TBSの「世界遺産」という番組でも紹介されており、その美しさに心を動かされ、今回ライン川クルーズを決意した。それほどまでに、心動かされたものが唐突に目の前に現れた時の気持ちは言うまでもないだろう。


憧れの地に…

バッハラッハ駅に到着。太陽に照らされ輝く川、豊穣な大地になびく葡萄畑、古代ローマから中世にかけて栄えたライン川沿いの街全体の美しさ、そしてその地が育んだ人の温もり、それら全てが僕を包み込んだ。桃源郷に来たのではないか、という錯覚すら覚えた。

 

街や葡萄畑を散歩したり、渓谷をハイキングしたり、ライン川に黄昏たり、贅の限りを尽くせる場所だった。なかなか言葉では言い表すことは難しいが、これだけは言える。確実に今まで生きてきた中では、最も心の豊かさを感じられる場所だった。TBSの「世界遺産」の影響で期待値は高かったが、それを優に超えてくる驚きも相まったのだろう。

心躍る体験

既にライン川を堪能していたが、ここからが本来の目的であるラインクルーズだ。学生は半額のため、バッハラッハ〜ボッパルトの90分の乗船で1000円程だった。船出した瞬間から両側の渓谷に次々と古城が姿を現す。乗船している人々も興奮気味にあちこち動き回る。しかし、時間が経つと慣れてきたのか、みな景色を眺めながらビールを嗜む。流石ドイツ人。ホステルで出会ったドイツ人は「僕らにとってビールを飲むのはパンを食べるようなものだよ」と言っていたのも分かる。


僕も一人ながらキャッキャキャッキャと心の中で騒ぎ楽しんだ。大学の1コマとは比較にならない程、とにかく濃密な90分間だった。


古代遺跡と日常が融合した街

ポッパルトに到着して下船。ボッパルトは古代ローマ時代、ライン川交易で栄えたため今でも古代ローマ遺跡が街中に多く残っている。中には家の一部が遺跡で構成されている面白さもある。

そんな生活に密接した遺跡がどのように市民に扱われているのか、そしてライン川の大蛇行と呼ばれる眺望を楽しみたかったことからボッパルトを訪れ、宿泊した。

ライン川の大蛇行

古代ローマ遺跡

ここを訪れる層は主に金と時間を持て余したお年寄りで、僕みたいな若造はどこを探しても見当たらなかった。そのため街の長閑さも助長して、ゆっっっくりと時間が流れていく。思い出すだけで穏やかな気分になる。

色々語ろうとしてもこれ以上でもこれ以下でもないので、是非ライン川沿いには一度訪れてるみてほしい!と締めさせて頂く。恐らく言葉で語るよりも写真の方が遥かに伝わる気がするので、また別の機会にまとめて掲載しようと思う。

翌日も夕方までバカンスしてケルンに向かった。

ポカ〜ン

ハッキリ言ってケルンで観光したい所は有名なケルン大聖堂以外に全くないため何の楽しみもなかった。「ケルン大聖堂は凄かった」とだけ実際に訪れた友人に聞いた言葉だけを信じて行ってみた。ケルン駅を出ると、もうすぐそこに圧倒的な存在感を誇る大聖堂がそびえ立っている。今まで見てきたヨーロッパの建築の概念を壊すかのような存在感だった。

中に入ると外の雑踏が嘘かのようにキリスト教の世界に引き込まれる。これはウィーンのシュテファン大聖堂と同じ。ただ、ステンドグラスの美しさが群を抜いていた。色鮮やかなステンドグラスが太陽に照らされ、神々しく輝いている。
シュテファン大聖堂と違う点はもう一つ、ステンドグラスにイラストが施されている点だ。これは識字できない人々が聖書の内容を理解するのを助ける役割も担う。一つのステンドグラスに一連のストーリーを盛り込んだものもある。

さらにケルン大聖堂にはイラストのステンドグラスよりも遥か上にもステンドグラスが並ぶ。まさしく神の光。

前にも話したが、100mを超える建築、そしてグラスを建物に埋め込むことが出来るのは、フライングバットレスとリブヴォールトがなし得る力の分散によって耐荷を可能にしたことによる。先人の知恵が現代人の心を動かしている。

リブ・ヴォールト

** フライング・バットレス **

夕方に訪れたのだが、気がつけば日が暮れた。開いた口が塞がらず、ただただ魅了された。何も観光したい所がないケルンへの不安など全くなくなった。「もうここだけで良い🥺」としか思わなかった。
翌日も数時間ケルン大聖堂を見学し、展望台にも登った。2€で100mの高さからケルンを一望できる。フライングバットレスも目の前に!!!(上の画像)
※この展望台まではエレベーターがなく、徒歩なのでお気をつけあれ…

ケルン大聖堂だけで過ごしたケルンを後にし、アントワープへと向かった。

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