素敵なお母さん
この前の記事でも書いた通り、新宿区の漱石山房記念館に行ってきた。そこには漱石の著書から引かれた名文の数々が刻印されたプレートがいくつも展示されていて、読みながら膝を打っていた。
そこに言葉を覚え始めたくらいの小さな子どもとお母さんが通りかかった。するとお母さんはおもむろに、名文一つ一つを丁寧に子どもに読み聞かせ始めた。当然子どもの頭上には???が並んでいた。
僕はこのお母さんの姿勢に感服した。たとえ名文の意味は分からなくても、スポンジのような吸収力を持つ子どもに一級の作家の一級の文を擦り込ませようとする姿勢。そして何より、漱石山房を訪れることで夏目漱石という人物に触れる文化的な体験を子どもにさせようとする姿勢。きっと素敵な文化的素養をお持ちの方なんだと思う。
いよいよ文化的な貧しさが露呈し始めた現代日本に、一筋の明かりをみたような気がした。
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