明らかに夢だった
目が覚めると2階から寝言が聞こえていて、どうにか止めに行かなければと体を起こす。こんなテーブルあったっけ、とも思わずに部屋を見回すと天井や家具の上や床の上にゆっくり動くものが目に入ってきた。虫だ!と思うが案外落ち着いて見ていると、目は暗闇に慣れて、バナナくらいの大きさの白いムカデのような生き物がそこら辺に動いていた。ゆっくりとまた眠たくなった。
目が覚めると玄関の扉がスパム缶を開けたみたいに強引に捲られていて、ドアチェーンも捻り切れていた。外に出ると強く眩しく、自転車に跨って逃げようとする犯人の背中が見えたので走り追いかけるけれど間に合わない。駐車場までは一生懸命走ったのだけれど息が上がって車道に出ていく自転車の男の背中を悔しく見ていた。男が逃げ去る瞬間に、男は(わたしも同時に同じ動きをする)腕を振り上げて中指を立てて、「ファック!!」と叫んだ(わたしも同時に叫んだ)。手ぶらで駐車場を引き返す時、隣家はパーティの準備をしていて「わぁ、いいですね」とかなんとか言って気を配ってもらおうとしたのだけれど、迷惑そうな顔をされて情け無くなった。そしてすごく眠たくなった。
目が覚めると、バナナ大の白ムカデは別種の甲虫と格闘していた。伊勢海老の大きさの蠍のようだった。リビングの虫たちを片付けたいので、明かりをつけようと起き上がって、スイッチを押そうとするとスイッチは壊されていた。「さっきの男か!!虫もあいつがか!!」ととても腹が立って、目が覚めるともう仕事の支度をする時間でタオルが腹に巻き付いていて寝苦しかったのだろうと労わりたい気持ちになった、腰が鈍い感じがした。