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Webデザイナー・グラフィックデザイナー 10年後も求められてるデザイナーってどんな人?
デザイントーストを運営しているほりです。
私がデザイナーになったのは24歳。今年で気づけばデザインを始めて14年目に突入しました。
そのころから今まで、リサーチのためにちょくちょく転職の採用情報を見ているのですが、
デザイナー求人で「ここ5年、10年でかなり変わったな…」と思ったことがあります。
求人数が増えたけど、単価が下がった
体感、求人数は思ったより減ってない、むしろ増えたような。
その代わり単価が10年前と同じか、下がった。
あと、未経験OKしか書いてない怪しい求人が増えた。
結論。全体的に質が下がったような感じがしました。(派遣、フリーランスも同じ傾向。今回は主に転職について話しますが…)
と思ってどれどれと調べたら、データとしても出ていました。「2005年から2020年の間に、約36,000人のデザイナーが増加した」そうです。
やっぱり増えてるんですね!!!
こちら↓
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それって、良いこと?悪いこと?
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これって、良いことなのか?悪いことなのか?
デザイナー増加の理由としては、SNS・Web広告の普及・デジタルコンテンツが今や主流になり需要が増えたから、と言われています。
その反面、テンプレートも進化し高いお金を出して「デザイン"作業"だけできる人材」を雇う必要性がなくなった(単価の安い、軽作業系デザイナーが増えた)んですね。そういう、ちょっとゆるくデザインしよう系スクールも増えてますし。
それによって募集内容にも変化が出てきました。募集で多いのは、大きく分けてこの2つに思います。
1.【軽作業デザイナー】簡単な修正・バナー制作などを行う(低単価)
2.【頭脳戦略デザイナー】広報プロモーション・ECサイト運用・マーケティング数値などを行う(高単価)
記事の結論をここで言ってしまうなら、私個人的には今後10年後も生きていけるデザイナーは、後者2の「頭脳戦略系デザイナー」人材だと感じています。
反して、個人的に1の作業系デザイナーは短命だと思います。なぜかというと割と絶滅した一時期のオペレーターに近い立ち位置だから。
デザインを隙間時間に在宅でしてお金を稼ぎたいという人も今は1を選びがちだと思うのですが、悪い事言わないのでやめた方がよいです。まともに会社で勤務経験ない人が在宅でできる仕事なんて末端作業だけだし、競合も多すぎる(そもそも信頼されませんから)
すぐ在宅したいなら事務の方が条件はいいんじゃないでしょうか。数も多いし在宅も選べますし、事務でも時給1850円とかあるし。
下手したらデザイン作業は今後数年で事務作業の一部に組み込まれる可能性もありそう。そこでエクセル使える事務職と、デザインしかできない事務職がいたとして、テンプレやAIで最低品質が確保できる時代になったら両方できる前者をとりたいですよね。
2の頭脳戦略系デザイナー経験してから、1に行くのは簡単ですし、2の頭脳戦略デザイナーの方が結果的に長く、高収入で、在宅などを選べる立場になれます。2を経験してから1に戻るのは簡単です。最初から1で在宅を目指すって未経験者さんが思う以上に詰みルートです。
自分の可能性を減らすし、2に行くのがめちゃくちゃ大変。
あと、デザインを学ぶときのスクール学費もバカにならない。デザインスキルは習得まで、半年~1年とそこそこ時間がかかるので、
時間とお金をかけてやるなら、私なら2の頭脳戦略デザイナー目指して正社員になって2-3ヵ月でスクール費用の元取りにいきます。
今後、軽作業系デザイナーはAIに取って代わられ求人数や単価も減る可能性はありなので、どちらにせよどこかのタイミングで一度は、1の人は2へ、頭脳戦略デザイナーへの進化を迫られるように思います。
(スクール選びでいうなら、最初の一歩として1を選ぶのは時間とお金の無駄かつ遠回りなので、最初から0→2を学べるスクール行ったほうが良いです)
もはやデザインできるだけでは専門職とは名乗れない時代になってきたのではないかと思います。
デザインに、どんなスキルをかけ合わせればいいの?
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せっかくデザインをやるなら長期プランを見据えたいところなので、これからデザイン学習したい方20代でも40代でも少し知識程度に頭に入れておいてほしいのですが、
新卒や未経験ウェルカムな募集なら「デザインができればOK」ですが、30歳を超えてきた辺りからは、デザイナーとして「デザイン+●●」を求められる事が一般的です。
技術を沢山持て!ということではなく、デザインを数年してできるようになると「集客するならデザイン技術だけじゃ足りないな、複合的なこういう知識も欲しいな」という風に気づいて、次の段階に行くのは多くのデザイナーがそうでしょう。
が、そのとき比較的習得しやすい技術スキルを追加しに行ってしまう人が多いように感じます。
「デザイン技術+技術」ではなく「デザイン+技術ではない頭脳戦略スキル」のほうが本来ゴールのために動いてきたのであれば自然なことで、成果貢献しやすいはずだし、求められています。
デザイン+PR広報全般(SNS含む)
デザイン+ECショップ運営
デザイン+マーケティング広告運用
ディレクター/デザイン外注・品質や進捗管理
こんなふうに、つまり今デザイナーに期待されている事は、綺麗なデザインをすることではなく
「デザインを使って集客・売上を上げる」というより広範囲で遠くのゴールを意識した仕事を担ってほしい、と思う人たちや企業が増えてきたということです。
(※ちなみに、30,40代でも未経験からデザイナーになることもリモートを目指す事も全然、可能です。その場合は欲張らずにまずデザインをできるようになることを1-2年かけて目指しましょう!当校もメイン層はそのくらいの年代です。)
でも、いいこともあります!
逆にいいことは、Webで何回クリックされ購入されたか分かるため、デザインの成果=評価という傾向に今後よりなっていきデザイナーの給与と地位も上がることになります。
フリーランスにおいても成果を伝えたら、単価は上がっても受注しやすくなります。作って終わりではなく頭脳戦略系だと中長期の運用改善を含むスキルが多いため、生活も安定しやすいですし。
以前はクライアントからしたら効果が本当にでるか分からなかったため削られる一方だった「デザイン費」ですが、これが「確実に結果の出る宣伝費用」なら必要経費として出しやすくなります。
(しかしその場合、クライアントが広告マーケティングやSNSの数値に詳しく舵を握っていたらデザイナーは軽作業だけ割り振られてしまうので、そこも含め知識をもつ必要があるんですね。数値の説得力は強い)
頭脳戦略系デザイナーは、AIに取って代わられないのか?
少し前にこんな記事がありました。
「AIが1時間で1000案のパッケージデザインを生成」
個人的にはこんなん、デザインクライアントワークにおいて、あんまり役に立ちませんw
でも怖いことにこれは軽作業系デザイナーが任される仕事そのものです。もうAIにできてしまうんです。だから既に単価も低いのです。
ただこれが役に立たないと言った理由は、クライアントワークでデザイン作業ってデザインすることより他の作業のほうが多いんです。
人間がヒアリングして、その文化背景や業界の前提を踏まえたうえで、企業の経緯や理念を理解し、今後の戦略ふまえたデザイン企画提案し、初稿・修正を出しながらクライアントも「こうではない、なぜなら…」と徐々に作りたいものが見えてきて、
・・・ここで、最後の最後に「デザインバリエーションを出して」という段階です。
「最初の一番難しいところできるようになってよ!」と私は強く強く思うのです。AIにも、これからデザインに足を踏み入れる未経験者やビギナーさんに対しても。
1000案の必要性や何でこのデザインになったのかを説明できない案なんて出す意味がない、クライアントを迷わせるだけですから。
そういうわけで、AIにはまだ最後の最後のアウトプットだけしかやってもらえないんです。また、人の心って複雑で、単純に1+1=2みたいな戦略でうまくいくものじゃないし、線で繋がった「ストーリーを踏まえた感情を動かすデザイン」は不得意。
また、企業やブランドの経緯を踏まえたうえで、人間らしい感情を掻き立てる戦略やビジュアルを作れない。
これができるデザイナーが前前項で伝えた「2.戦略思考デザイナー」です。これができるようになったら絶対AIに仕事はとられませんし、作業指示受け身で待つのではなくプロジェクトをひとりでリードできるため需要高いです。
デザインがなんでもいい、あればいいという予算の少ない小規模な会社さんは既にAIに頼りはじめていると思います。サブスクで沢山作れるなら私も軽いものはAIに頼みます。
「デザイン+コーディングできる」は強みになる?
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正直、そこまで強みにはならないです。
繰り返しになりますが、できるのが無駄と言いたいわけではなく必要な分野もあります。
理由は、「コーディングできれば一人で全部やった感じがする」と思う自己満足のために技術+技術を学んでも、軽作業デザイナーにしかなれないから。
重要なのは「その技術で何ができるのか、どう顧客のゴールを達成するのか」でしかないのです。
コーティングができるなら、いかに商品を良く見せられるかのデザイン、サイトの問い合わせボタンへの導線、結果何人クリックまで行けたのかを運用改善した経験を積み重ねられたらベスト。
コーディングできるから安泰なんてことがないのは、全世界の43.3%をWordpressが占めているというデータからもわかります。今や、便利ツールに台頭されてきているのはデザインだけではなくコーディングも同様ですよね。(今も修正なんかは多いし、不要だ!といってるわけではないですよ、と念の為もう一度言っておきます)
ちなみにこの記事なんで書いたかって、フリーランス数年やって再就職結構大変だろうな…と求人見てもすごく感じたのです
— ほり🎨デザイントースト (@polittlehori) December 1, 2024
ブランクや年齢は当然、フリーだと最新のトレンド詳しい顧客も品質に厳しい顧客もいなくてなんだかんだ内々で危機感なく仕事できてしまう。数年で技術もトレンドも進む、という🤔 https://t.co/AKcVZXLfwD
【フリーランスさんに怒られたくないので一応…】
ちなみにこの記事、おそらくまさに技術+技術を強みにされているフリーランスさんからは反発されるかもしれません。
例えば「いや、自分はコーディング今のお客さんに求められてるし」「今オペレーターだけど別に仕事に困ってないし」とカチンとくる方もいるかもしれないのですが…決してケチをつけたいわけではないのです。
企業プロジェクトや別のデザイナーと関わるような方はまだしも、おそらくグラフィック・Webデザイナーは特にトレンドに疎いクライアントと水面下で内輪で仕事ができてしまう。危機感を持たず数年過ぎ、その間に悲しきかな数年でガラパゴス人材になってしまい、一般企業に振り向いてもらいづらいスキルレベルになってしまう人も多いだろうな…と思ったのです(ITはトレンドが早い上にAIやSNSの進化で水流が大きく変わったのも大きいです)
安定して10年仕事をくれていたクライアントに「もうAIが使えるようになったから仕事を減らしたい」と言われたとき、転職できない、次のクライアントにも求められるスキルがない、「あれ?こんなに巷って進んでたの?」と困るのは自分。
私も含めデザイナーであれば全員がそうですが、クライアントワークである限りは、求められる人材になるために常にスキルをキャッチアップし磨くことが、自分の生活を守る唯一の方法なのかなと思ったりします。お説教ではなく自分への戒めとしても思うんです。
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採用への応募時は、こう言えると強い
【デザイナーを、寿司職人に例えるなら】
1. 包丁を正しく使う技術 = デザインツールの使い方
2. 魚をさばき、盛り付ける技術 = デザイン制作
3. 満足度を上げてリピーターや良いレビューを増やす = デザインで結果を出す
ということになります。
回転寿司チェーンではきれいに魚をカットしてくれる機会が導入されて人間が盛り付けるだけの役になってきていますが、
CanvaテンプレートやAIが現れて人間が最後チェックしたり整えるだけになったという環境、似ていませんか?
「デザインとSNS運用で、フォロワーが1000人アップしました」
「LPデザインで集客し、購入数が2倍になりました」
デザインを使ってどう、集客や売上に貢献したのか?これが言えるとめちゃくちゃ強い。
採用面談に来て「素敵なデザインですね、で、この成果は?」と聞いた時にもし「え…デザイナーに成果とか関係あるんですか?笑」という人がいたら、
この人を採用したら意識からまず変えなければいけないのか・・・と想像するだけで先輩はきっとどっと疲れてしまいます。
成果が少なかろうと、意識して制作している人の方が採りたいです。
悩まずに、まずはデザインを始めることから!
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とはいえ・・・「デザインとマーケティング両方やらないとダメ!?」と、最初からあせらなくても大丈夫!
大事なのはスキルを沢山つけることではなく、目的をもってその目的に必要なスキルを都度つけていくことなんです。
未経験の方は、まずデザインを1人でできるくらいになって面接を通過することから。30‐40歳等でもまったく遅くありません。正しくステップを踏めば、きちんと転職もできるので安心してください!
1つ極めれば、その先のキャリアや次のやるべきことが自然と見えてきます✨
他にこんな記事もかいてます!
ちなみに、当校は未経験から、戦略まで思考できるデザイナー職に最短でなれる学びを提供してます。まずはデザインできるようになるところからはじめてみませんか?楽しいよ!