おばあちゃんにネイルをしてあげたら...
うちのおばあちゃんは耳が聴こえない。
昔から他のおじいちゃんおばあちゃんよりも耳が遠いかも、と感じることが多々あったが、一昨年くらいに全聾になってしまった。
聴力検査をしても、聴神経が反応していないのだそうだ。つまり、言葉が聞き取れないとかではなく、どんなに近くで話しかけたとしても、音を音として認識することができないのだ。(耳元で話しかけたら多分気配とか空気で存在はわかる)
そんなことで、実家でおばあちゃんと一緒に住んでいる両親は、メモ紙を使ったり、何回も書き直しできる子ども用のお絵かきボードを使って筆談を試みるのだが、もともと年寄り扱いをされるのが嫌いで、人に弱みを見せることができない祖母は、そんなものなくてもわかる、といってなかなか会話が成立せず、困っていた。
先週末実家に帰った時に、いつものように母親の眉毛の形を整えて、彼女の顔を使ってメイクの実験をしていたときのこと。
父親の「ばあちゃんにも、やってあげたら?」という提案があり、おばあちゃんの爪にマニキュアを塗ってあげることになった。
いつもなかなか会話の話題もない私とおばあちゃん。
何もないと心もとないので「こえとら」をお供に持って行った。
「こえとら」は聴障者と健聴者のコミュニケーションを支援するために作られたアプリで、話したことを文字にして画面に表示してくれる。
本人がきっと嫌がるので、写真をお見せできないのが残念だが、
マニキュアを塗り終わると、「ハイカラないろだこと」と言って笑顔を見せてくれた。(ちなみに色はブラウングレー系のくすみカラー)
おばあちゃんの爪や指の形が綺麗だねっていう話もできた。
話のきっかけができると、気分が乗ってきたのか自分が小さいときの写真を持ってきて、おばあちゃんのいとこや両親の話をしてくれた。白黒写真で、家族全員和装をしていて、すごく時代を感じた。(80年前なんだもん、そりゃそうか...)
こえとらが方言を認識できなくて全然違う言葉に変換される場面が多々あったので、一つだけわがままを言えるとすれば方言を翻訳できるようになって欲しい。(これ私が作っちゃえばいい話なのかな?)
いずれにせよ、こえとらは素晴らしいアプリだと思う。お絵かきボードで筆談もいいけど、今回みたいに自分の手が塞がっていて、ペンを持つことができない場合には本当に助かる。
他人の役に立つことって意外にも自分が救われる行為だとつくづく感じる。
おばあちゃんに塗ってあげたマニキュアは正直彼女の役に立ったかわからないけれど、笑顔の理由には少しなれたのかなって。自分自身の存在意義を見つけられた気がする。
まとまり不足ですが以上です...