夏の日差しと雷雨
2024年8月9日
長崎県民祈りの日。何度か書いているが、小学1年〜5年生まで山口県下関市に住んでいたことと、父の旅行好きが重なって、九州は全県旅行に連れていってもらった。場所に行くことはその土地とつながりを持つことなのだなと何年も何十年も経ってから思う。
最近はじめた「あすけん」というアプリ、全然知らなかったのだけど、今の自分には知りたい情報が沢山あって驚いた。食に丁寧になりたいと思いながら作業が入るとまず食事を二の次にしてしまう。でもこのアプリだと栄養素毎に数値化してくれるので食事の目安を立てやすく、次に何を食べようかと考える思考ルーチンができあがってくる。すげえ。と思って藤代くんに会った際に「最近食事に気をつけてて」と言ったら「あすけんすか」と即当てていた。すげえ。流行ってるらしいが、興味を持たなかった自分のところまで来ているということがそれを示しているわけだ。
そういえば、ずっとほろびてのチラシをデザインしてくれている酒井博子さんとメールでやりとりをしていて、うれしいお知らせをもらう。ほろびてや僕がどうというわけではなくて、だけど、うれしいし、そういうことを教えてくれてありがたい。
山崎一さんの出演している『オーランド』をずいぶん前に観劇した。日本の詩人・岩切正一郎さんが栗山さんと一緒に戯曲化したらしい。劇中、周囲の下世話さにあって、いつまでも凛と、その色を変えない宮沢りえさんが素晴らしかった。一さんの演技は言うまでもない。昨年のガルバで同じ舞台に立て、今年のガルバでは僕の台本を演じてもらえるというのは興奮でしかない。
昨年のガルバでは演出。今年のガルバで一緒に台本を書いた笠木さんの『モスクワの海』がアメリカで翻訳・上演されるらしい。朗読劇であるとか。あの戯曲がアメリカ行くよ。すごいなあ。とても丁寧な笠木さんの紡ぐ言葉には笠木さんにしかないボキャブラリーがたくさん詰まっていて、自分の使ってしまう言葉と、範囲がほとんど被っていないことに途方に暮れる。他の人にとってはどうだかわからないけど、僕からしたら乗代雄介に近いと感じているんだよな。
先日、池袋でNTL『ザ・モーティヴ&ザ・キュー』を見た。ハムレットを上演するまでの稽古場を描くバックステージもの。クセ強のハムレットと老境に入った演出家のバトル、と書くといかにもなエンタメという風に思うかもしれないが、何度も心が震えた。自分の中で言語化もできていて、これがどうしてそう感じるのかもわかっているんだけど、それ以上に演技と台本の構成が見事だった。これに打ちのめされるということは、自分も演劇が好きと言っていいのかもな。もう一回見たい。
プロテインをまた飲み始めた。
『大江健三郎論』(光文社新書/井上隆史著)を読み始めた。面白くて、引用されている大江健三郎の文章を読んでまた打たれて、グイグイ読んでいたけど『万延元年のフットボール』のあらすじ解説の項で、これまだ読んでないから先に小説読む、ということで中断している。早く読みたい。あれやこれや積読だ。
7月、『夏の夜の夢』(小田島雄志訳)を音読した。エクリチュールとパロールを意識する。小説や学術書、エッセイなどではほとんど気にしないのに、戯曲のときだけ、言葉について、誰かが発するための動機や必然性をどこかに探す。シェイクスピア先生のときは詩を朗じる気持ちで、声に出すだけで十分に楽しい。訳者の先生方もそれを十分に意識しているんだろうから、楽しい。しかしまあ、改めて『オセロー』や『マクベス』『ハムレット』を書きつつ『夏の夜の夢』みたいな軽妙なものまで。何だかなあ。どういう人だったんだろう。シェイクスピア。