どういうデザインが欲しい?「痴漢抑止バッジ」
最近話題になりつつあるクラウドファンディングがあります。
(念のため補足しておくと、クラウドファンディングとは「こういう事を達成したい!」という夢や目標をサイト上で掲げ、「達成された暁には援助してくれた方にこのようなサービスを実施します」というアイディアの上で支援者から資金を集める資金調達WEBサービス)
一年間、痴漢に悩まされ続けた高校生が様々な対策を経て、ようやく効果を発揮させる事に成功した対策法を、母とその友人である主催者の方によって、商品化して広めようというものです。
これがそのクラウドファンディングのページ。
こちらの記事でも取り上げられています。高校生の子の手記も掲載されています。
高校生の子が最終的に辿り着いた対策は「痴漢は犯罪です。私は泣き寝入りしません」という文言と簡単な絵の付いたステッカーを身に着けるというものでした。
こんなストレートで直接的な方法を取らねばならないなんて……と思うと、何とも言えない感情があります。
しかし痴漢が恐れるのは相手が抵抗する事であるため、「泣き寝入りしない」と宣言されれば、効果絶大です。
それでも前述のとおりこんな事までしなければならない対策が、苦痛を覚えないはずはありません。
男子生徒から「自意識過剰」「向こうも相手も選ぶ」などとからかわれる事もあったそう。これでは解決とは言い難い。
それを聞いた母のご友人である今回のプロジェクト代表の松永弥生さんが「缶バッジにしてみたらどうか」と提案されたのが始まりとなっています。
現在試作版を活用されていますが、これを女性がバッジとして身に着けやすいデザインを公募で集め、その投票権をクラウドファンディングの支援者に与える仕組みにして資金を調達し、商品化して販売をするというプロジェクトが展開中です。
すでに様々なメディアで取り上げられてきているので、知っている方々もいると思います。
便宜上、痴漢抑止バッジと呼称されるこのバッジの利点は3つあります。
(クラウドファンディングのページに詳細が記載されているので、詳しくはそちらをお読みください。)
1.身に着けるだけの手間いらず
2.犯人の犯行自体を未然に防ぐ
3.(2により)冤罪被害も防止する
個人的に、3が特に感動です。
自分が男性だからというのもありますが、このプロジェクトは一見、痴漢冤罪の助長に繋がるのでは……と危惧されがちですが、きちんと冤罪の事も含めて見てもらえているのが個人的に嬉しいです。
僕は他のnoteでも触れているとおり痴漢冤罪にとりわけ関心を持っています。
日本の刑事裁判を巡る状況はかなり酷く、冤罪を多発させやすい構造になっています。とりわけ性犯罪に関してははるかに冤罪率が高い。
この現状は昔に比べだいぶ有名にはなってきていますが、それを知らない女性もまだまだ多く、痴漢に間違われた男性が痴漢としての烙印を押されて人生を破壊される状況が続いています。
そういう現状にもきちんと触れてもらえ、尚且つその防止にも役立つという事をこの段階で広めてくれているのが本当に嬉しい。
……脱線しました。話を戻します。
高校生の子はこのステッカー、バッジを付けてから痴漢被害はゼロになったそうです。
しかしバッジが商品化して、はたしてそれがうまくいくのかどうか懐疑的な声も多くみられています。
確かに僕自身もそれは不安点として考えています。
このバッジは素晴らしい。しかし、知られれば知られるほど、普及すれば普及するほど効果が弱くなっていくのではないかという危惧は、あるにはあります。
皆が付けてしまうと、個人の意志と言うより大衆の声のようなイメージに変化し、痴漢は「この子は本当に泣き寝入りしないのか?」と疑いを持つのではという懸念もあります。
一時的な効果に終わり、また別の対策を考える事になるイタチごっこになるかもしれない。
また、近年普及してきている手口として、自分と被害者の間に身代わり用の無関係の人間を挟んで、その後ろから犯行を行うという手口も広がってきている(これは痴漢冤罪の問題が表面化してきてから、逆に痴漢にその社会性を利用されるようになって悪化したと言える状況です。)ので、犯人が必ずバッジを見るとは限らないかもしれません。
それでも僕は、バッジに効果があるのは間違いないと考えるし、一時的な効果になったとしても、社会とか、男性の意識、女性の意識とか、何かが良い方向に変わるキッカケにもなるのかな、と思うのです。
資金を支援してくれるのも賛同者ですし、やって損がある訳ではない試みです。
どんなバッジが欲しい?
現在、バッジのデザインのコンペはこちらで行われています。
女子高生と母が考案した「痴漢抑止バッジ」のデザインを募集!【Stop 痴漢バッジ プロジェクト】
デザイン条件は女性(目安として例えばAKBみたいな子だそう)が抵抗感なく付けられるデザイン。
その上で、
①「痴漢は犯罪です」「わたしたちは泣き寝入りしません」の文言入り
②もしくは同等かそれ以上の効果が見込める文言入り
これは是非参加したい。という事で、僕もコンペに参加しています。
思いつく限りいろいろなデザイン案を、期限内に提案してみたいと思います。
しかし実際やってみると、このコンペの難しさを実感します。
デザインには2つの要素が求められています。
①痴漢防止の効力を持つデザイン
②女性が身に着けやすいデザイン
結構、相反する要素でもあったりします。
現在のところ僕が変わり種のデザインばかりを提案しているのも、これが単純なデザインコンペではなく、①の要素も持たせなければならないからです。
単純に痴漢を防ぐだけであるなら、圧迫感や恐怖感で威圧すればいいだけなので割とやる事が分かりやすいのですが、(僕も当初はその方向で思案していました。)そもそもこのコンペの目的は①に②をプラスする事。
しかし②に傾倒し過ぎると①の効力を弱めてしまいかねない。
バランスが難しいデザインコンペです。でもやりがいはありそう。
しかし、バッジのエンドユーザーとなる女性(多分、十代が主になる)はこのバッジで、どういうデザインのものが欲しいのでしょうか?
前述のとおり、①か②かだけだったら、目指す方向性が分かりやすいけれど、①と②を合わせなければならない。
「こういうバッジが欲しい!」「こういうのだったら身に着けられそう」
そういう希望の声があると、まだ取っ掛かりがあって思案のヒントになるけれど、ネットで探してみてもまだそういう声は見つかりません。
希望はあくまで希望で、デザインはやはり難しいかもしれないけれど、それでも声があるとニーズが掴みやすい。
そんな訳で、バッジを望む人や気になる人、興味のある人はネットでデザインの希望をつぶやくとかでもしてもらえるといいなー、と思います。(もちろんコメントくれてもいいです。僕にしか伝わりませんが……。)
僕もまだ可能な限りコンペに参加したいと思います。
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