見出し画像

最愛の 上田岳弘

「遠くにある憧れ、そこに向かおうとする衝動。あるいは、寂しさという引力にひかれあって一つになろうとする。けれど、本当に人が一つになってしまうと、人類も歴史もおわってしまうから、結ばれなさが必要になってくる。一つになろうとする引力と、それを邪魔しようとする斥力(せきりょく)。両方が揃わないと、生命は永久機関ではなくなってしまう」

記憶は常に薄れゆくものだし、自分でも制御しきれないところで書き換わっていくものだ。実際に見た光景が薄れていき、多分こうだろうという予想が、気づかぬうちにこうに違いないという確信に変わっていく。頭の中の像が思い返す度に固まっていくように感じるが、それは実際に見たものなのか、後から作られていったものなのか区別がつかない。そのくらい記憶はあやふやであてにならないものだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?