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23年8月第2週決算振り返り②(稲畑産業、住友林業、森永製菓、MS&AD、キリン)



〇稲畑産業1Q決算

【決算概要】
◆1Q経常利益は前年同期比0.9%減の53.4億円
◆上期計画の95億円に対する進捗率は56.3%
◆通期計画の200億円に対する進捗率は26.7%
◆配当予想・業績予想に変更なし

微増収・微減益の決算となりました。進捗率は、上期比56.3%、通期比26.7%と派手さはありませんが、順調です。

最終利益が前年同期比69.3%増と大幅に増加していますが、これは大五通商株式会社等を連結子会社化したことに伴う負ののれん発生益約39億円を特別利益として計上したことによるものです。

続いて、簡単にセグメント別の利益について。なお、稲畑産業は、情報電子・化学品・生活産業・合成樹脂の4つの分野で事業を展開しており、各事業の売上高比率(23.3期)は以下の通りとなっています。合成樹脂が主力で情報電子が準主力といったイメージですね。

23.3期稲畑産業決算説明資料より引用

短信を見ると、1Qのセグメント別利益で目を引くのは、生活産業事業の大幅減益。前年同期比で67.8%もの減益となっています。売上高は増収となったものの、米国市場でのシーフード商品の販売減少と利益率低下などが減益の主要因。米国ではインフレに伴う外食需要の停滞が継続している模様です。

一方、主力の合成樹脂事業では、若干の減収となったものの、前年同期比15.9%増の増益を達成しています。価格転嫁が進み利益率が改善したことやリサイクル原料ビジネスが順調に推移したことなどが増益に寄与しています。

その他、情報電子・化学品事業については、減益となっていますが、上述のように主力の合成樹脂事業が堅調だったことで、全体としては微減益に留まっています。

現在、稲畑産業は116株の保有に留まっており、将来的には300株まで保有したいと考えています。配当利回り4%を一つの買い増し基準と考えていますが、中々株価は大きく下がりませんね( ;∀;)


〇住友林業中間決算

【決算概要】
◆2Q累計の経常利益は前年同期比28.0%減の673億円
◆通期の同利益を従来予想の1200億円→1500億円に25.0%上方修正
◆配当予想・業績予想に変更なし

増収減益の決算となりました。減益については、3期連続で過去最高益を更新した前期の反動があることは分かっていたので想定内。

中間決算発表と併せて上方修正も発表。開示資料によれば、「海外住宅・建築・不動産事業において、米国戸建住宅における販売戸数、単価および利益額が前回公表時の想定を超えて伸長したことが主因」と説明されています。

下期以降は、期初想定以上に主力の米国戸建住宅事業の事業環境が回復する見込みとなっています。

住友林業については現在13株の保有に留まっており、もっと買っておけば良かったと後悔している銘柄の一つとなります。私が買い始めた時はまだ配当利回りが5%近くあり、PBRも大きく1倍を割れていました。なぜボーっとして見過ごしていたのかと思ってしまいますね(涙)


〇森永製菓1Q決算

【決算概要】
◆1Qの売上高は前年同期比9.2%増の510億円
◆1Qの経常利益は前年同期比24.1%増の59.8億円
◆上期計画の122億円に対する進捗率は49.1%
◆通期計画の178億円に対する進捗率は33.6%
◆配当予想・業績予想に変更なし

増収増益の決算となりました。前期までは他の食品セクター同様、原材料高の影響に苦しんできましたが、業績のV字回復に向け順調な滑り出しと言って良いのではないでしょうか。

以下、1Qの事業別サマリーです。

森永製菓決算説明資料より引用

国内外の全事業において増収を達成。特に米国事業においては引き続き高成長および収益性向上が見て取れます。価格改定効果が功を奏していますね。

続いて、1Qの営業利益増減要因です。

森永製菓決算説明資料より引用

原材料高の影響を価格改定効果(値上げ)でしっかりと打ち返し、増収効果および米国事業の好調さ等が相俟って増益を達成しています。

子供の頃からハイチュウや森永ミルクキャラメル、チョコジャンボモナカなど同社の商品を愛用してきた私にとって同社は大好きな企業の一つです。

年末には株主優待が届く予定。首を長くして優待到着を待ちたいと思います。


〇MS&AD1Q決算

【決算概要】
◆1Q経常利益は前年同期比34.5%増の1554億円
◆通期計画の4200億円に対する進捗率は37%
◆配当予想・業績予想に変更なし

増収増益の決算となりました。元々今期は各損保とも好業績見通しとなっていますが、進捗率37%は好調な滑り出しと言って良いと思います。昨日決算発表のあった東京海上と比較すると、進捗率という観点ではMS&ADの方が好調です。

自然災害による保険金支払いの減少や、政策株式売却で資産運用益の増加、新型コロナ影響の剥落などが増益に寄与しています。

とはいえまだ1Q段階ですし、これから台風など本格的な自然災害発生期を控えています。引き続き進捗を見守りたいと思います。

なお、MS&ADについては先週5株だけ新規で投資しています。保険セクターについては業界トップの東京海上が主力という認識に変わりありませんが、投資時点の配当利回りが4.85%と高かったこと(東京海上は4%弱)、08年4月のHDとしての上場以来非減配であり実質的な累進配当銘柄と評価できること、相対的にバリュエーションが低いこと、などから新規投資に至りました。


〇キリン中間決算

【決算概要】
◆2Q累計の売上収益は前年同期比5.8%増の9702億円
◆2Q累計の最終利益は前年同期比42.2%減の319億円
◆通期計画の1130億円に対する進捗率は28.3%
◆配当予想・業績予想に変更なし

増収減益の決算となりました。進捗率は28.3%に留まっていますが、1Q時点の進捗率は4.9%でしたので、だいぶ盛り返してきた印象です。

2Qの数字だけを見るとビックリですが、以下に述べる通り、本業はまずまず好調。

以下、2Q決算のサマリーです。

キリン決算説明資料より引用

まず、売上高にあたる売上収益は前年同期比+5.8%と好調。本業の利益を示す事業利益についても、原材料高騰の影響を受けながらも値上げやコスト削減などが功を奏し+4.3%と好調です。1Q時よりは売上・事業利益共に失速感はありますが、この通り本業はまずまず好調です。

一方、今年1月にミャンマー事業の譲渡手続き完了に伴う子会社売却損193億円を計上したことが響き、営業利益以下大幅に減益となっています。

また、4月に約1700億円を投じて買収を発表した豪健康食品最大手ブラックモアズは、ブラックモアズ側の株主総会や豪州裁判所、中国当局の承認が進み、8月10日に手続き完了予定。決算説明資料によれば、「売上収益1000億円、事業利益率15%以上をめざす」とされています。

なお、今回の決算説明資料の1ページ目に企業価値向上に向けてと題して下記のような資料がありました。

キリン決算説明資料より引用

課題として、「当社のPBRは1倍を大きく超えるが、目指す企業価値とは乖離がある」と明記されています。

正直、ライバルのアサヒGHDの株価と比較するとキリンの株価パフォーマンスには物足りない印象をもっています。1947年の上場以来非減配を貫くなど株主還元意識の高さは素晴らしいのですけどね。株主としては業績の回復および安定感を求めたいものです。


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