24年5月第1週の買付銘柄・総合商社について
〇今週の買付銘柄
4月29日(月)~5月3日(金)に買い増しした銘柄と株数は以下の通り。
〇総合商社について
伊藤忠商事をのぞく5大商社の本決算が終了しました。各社が増配または自社株買いを発表。引き続き株主還元祭りが継続しています。
以下、各社の25.3期の還元内容です。なお、伊藤忠の本決算はまだですが、4月3日に25.3期の経営計画を前倒しで公表しており、その内容を基にしています。
各社業績の伸び率に一服感が出ているものの(※住友商事は前期に一過性の損失を計上した反動で増益率が高い)、依然として高い利益水準にあることや高水準のキャッシュ創出力を背景として株主還元を加速させています。特に三菱商事の増配率42.9%、現在進行中の5,000億円規模の自社株買いは圧巻です。
現在、各社の株価は上場来高値を更新中又はその付近に位置しています。現状、大人気セクターの一つと言えるでしょう。個人的には、ここから更にポジティブな事象(株価の上昇・短期的な利益水準の大幅な拡大・株主還元の更なる拡充等)を期待するよりは、ネガティブな事象も想定しておいた方が無難だと思っています。
ハワード・マークス著『市場サイクルを極める』によれば、「目を見張るほどの値上がりを記録した証券は、そのままずっと上昇し続けるよりも周期的な調整に見舞われる可能性の方がはるかに大きい」「空に届くまで伸びる木はない」とあります。総合商社に限ったことではありませんが、一定の警戒を怠らないに越したことはないでしょう。
確かに、現在の利益水準や資本効率に鑑みると、現状の株価水準が大幅に割高だとは思いません。また、シクリカルセクターでありながら、かつてと比べると、各社の事業ポートフォリオの安定感・財務基盤・安定的なキャッシュ創出力は格段に強化されていると言えます。ですから、過去のバリュエーション水準に囚われ過ぎるのは考え物でしょうし、株価が壊れるリスクは比較的小さくなっていると考えます。
しかし、そうは言っても、景気敏感株の代表格ですから、事業環境次第では業績が苦しくなる局面は訪れるでしょう。ビジネスにおいて常に好調を維持し続けるというのは不可能です。今でこそ各社「累進配当」を採用し、安定配当の代名詞となっていますが、長い目で見れば累進配当の看板を下ろさざるを得ない局面が来るかもしれません。これだけ高水準の利益を叩き出し、株主還元を強化し、それに伴って株価も大きく上昇すると、ついつい二度と大きく下落することはないでのはないかと考えがちになりますが、そうではないことを歴史が証明しています。投資判断が難しくなっていますが、少なくとも積極的に買う局面ではないのかなと考えています。
以上、ネガティブなこともつらつらと書いてしまいましたが、個人的には総合商社はマイポートフォリオの主力セクターの一つと位置付けています。
総合商社の最大の強みは、特定のモノやサービスを持たず、人々の暮らしに欠かせない資源・エネルギーなど「上流」の事業から、消費者に近い食料や医療など「下流」の事業まで、安定需要が見込める分野への投資や厳格な審査基準に基づいた資産入れ替えを積極的に行う世界でも類を見ない事業モデルにあります。
上述したようにこれからも苦しい局面は訪れるでしょうが、これまでの歴史を振り返ってもそうであるように、今後もその時々の事業環境に順応しながら生き残っていく可能性が高いでしょう。今後もホールド&定期的な買い増しを行うのに何ら不安はありません。