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火~木曜日連載『一日一妖!』 2月2日【粋呑~すいとん~】

 初めましての方、ようこそいらっしゃいました。
 二度目以上お運びの方、本日もありがとうございます。
 こんにちは、あらたまです。

『一日一妖!』とは――
 怪異や怪談が大好きな私あらたまが、妖怪や怪異に関連する与太話をさせていただくという連載企画です。
 毎日読むのにちょうどいい、約1000字の超ショート・ショートテキストサイズ!
 さっくり楽チン軽やかな、ゾワッと怪しいひとときを楽しんでいただけたら嬉しいです。

 節分ですね。
 皆様、豆まきなさったのかしら?
 我が家の節分、今年はこんな感じです。

 家の中も、私自身も、地味にバタバタしていて節分の用意をすっかり忘れていたというのが真相なのですが……気分的には旧い暦の大晦日っぽい感じなのでこういうのもアリかな?と(旧暦の大晦日は別の日らしいです。ご興味ある方はググってみてね♪)

 それでは、前置きはこのくらいに。
 本日の『一日一妖!』始めましょう。

【粋呑~すいとん~】

 鳥取県、岡山県境の蒜山高原に伝わる妖怪。
 人の心を読み、悪い心を持った者の前にスイーッと来て、トンッと一本足で立ち、引き裂いて食ってしまうという。
 素朴な民芸品が土産物店で売られている。

 心を読む妖怪といえばサトリが有名ですが、あちらは考えたことを読んでチャンスがあれば攻撃を仕掛けるというタイプ。
 粋呑のように無言でやってきて、無言でパク―っとやってしまうというのとは少々違いますね。なんと言いますか、対比してみますと、粋呑の無慈悲感が際立ってしまいますね。

 問答無用で裁くということは、絶対正義を標榜しているということなのでしょうか?

 善悪の線引きというものは、理屈が入り込んで考えれば考えるほど難しくなるものだと思うのですが、皆様どう思われますか?
 例えば。窃盗というのは悪い事と法律にもあります。
 前科〇〇犯の窃盗犯には、ほとんど病と言っていいほどの依存性でもって盗みを繰り返す人も居れば、明らかに誰かの損失を狙って罪を犯す人も居て、なるほど大半の『盗み』は悪なのだなあと思えます。
 では、お腹が空きすぎて生き延びるために食べ物や金銭をつい盗んでしまったというケースはどうでしょう?盗み自体は悪い事ですが、その引き金になった心の方『生き延びたい』という本能は粋呑に裁かれる悪なのでしょうか?
 もし粋呑がこの腹ペコ窃盗犯を食べてしまったとしたら。
 今後盗みを繰り返してしまう負のループを断ち切るためという理由だったらまだ救われるのかしら……そんな風に良い方に解釈したいなあと、甘い夢を抱いてしまう私です。

 とはいえですよ。粋呑がどのように人の心を読んで、悪い心を持つ人を選んでいるのか?この判断基準が人間がカジュアルに言ったり考えたりしているところの『正義』にあるのか?
 ちょっと疑問を挟む余地がありそうだなあとも思います。

 癌の患者さんをニオイで見つける癌探知犬のように、悪い心特有のニオイを嗅ぎつけて「なんか知ってるニオイがするよ!これ、美味しいんだよ!」と、ただそれだけだったりして。
 無慈悲ではなく、無邪気ゆえの、妖怪仕草。
 ヒトの味を覚えてしまった野生動物のように。
 嗚呼、これはこれは、久しぶりに怖い。逢ったとしても望遠レンズ越しでお願いしたいなあ。

 了


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 それでは。
 最後までお読みいただいて、感謝感激アメアラレ♪
 また明日ね、バイバイ~(ΦωΦ)ノシシ

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虎徹書林店主あらたま
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