火~木曜日連載『一日一妖!』 2月9日【衾】
初めましての方、ようこそいらっしゃいました。
二度目以上お運びの方、本日もありがとうございます。
こんにちは、あらたまです。
『一日一妖!』とは――
怪異や怪談が大好きな私あらたまが、妖怪や怪異に関連する与太話をさせていただくという連載企画です。
毎日読むのにちょうどいい、約1000字の超ショート・ショートテキストサイズ!
さっくり楽チン軽やかな、ゾワッと怪しいひとときを楽しんでいただけたら嬉しいです。
日差しがすっかり春めいてまいりまして……杉花粉が本気出してますよ!まったくもううううううう!
今朝も涙が止まらず、鼻水がサラサラと。水道管が破裂したみたいな勢いなら一周廻って笑っちゃうかもしれませんが、チョロチョロと節水モードで際限なく漏れ出てくるもんですから、嫌になります。
これがなければ、春って大好きな季節なんですがねえ。
それでは、前置きはこのくらいに。
本日の『一日一妖!』始めましょう。
【衾(ふすま)】
新潟県佐渡島でいう怪異。
夜道などで、いきなり大きな風呂敷のようなものが覆い被さってくることを言う。
シーツやタオルケットを頭からかぶって「オバケだぞー」とやる遊びに、ドハマりしていた幼少期。
家族全員分のシーツを端から順番に、全て被ってしまわないと気が済まない子でした。
布団を畳む邪魔、このうえなしですよね。母の気持ち、今ならすごくよくわかります。ごめんなさい。
――このシーツに包まったまま、シーツから出られなくなったらどうしようか?そしたらほんとにオバケになったりして!
そう想像すると、子供ながらにゾクゾクいたしました。
布越しにも温かさを感じる朝のお日様は、シーツの色に染まった透過光でもって私の手足を柔らかく浮かび上がらせていたのにも関わらず。
オバケの時間は終わったばかりだというのに、オバケになっちゃったら!朝のオバケだ!ぎゃあああ、なんか、なんか、タノシー!
……一事が万事と申します。
こんな調子の、しかも同学年の一般の子よりも発育状況が芳しくない子でしたから、そりゃあ大人たちは心配もしましたし手を焼きますよね。ごめんなさい(二回目)。
早々に母がシーツを剝がしてしまうので、まだ畳まれていないシーツを被りあらためて「オバケだぞー」とやります。そして、前述の妄想の繰り返し。
今思うと、私が被っているシーツを気の済むまで被せっぱなしにして、残りのシーツを先に畳んでから引っぺがしても良かったようなものを……なんだかんだと、母も私の妄想に付き合ってくれていたのかもしれません。
流石に半世紀近く生きてきた今となっては、この手の遊びはやらなくなりましたが、あの遊びに興じていた気持ちを思い出すことはあります。
人間世界の温もりからの離別するかもしれない怖さと、オバケになるという夢が叶うかもしれない期待の、相反する気持ちの狭間でドキドキした時間の残滓は、少なからず今の私の心と言いますか魂と言いますか、そんなようなモノの根っこらへんに埋まっているから。
世の中に潜み生き続ける怪異たちの影を、こうして追いかけながら日々薄ら昏い笑みを浮かべてしまうのは、その証左のようなもんでしょう?
衾は人間に覆い被さって、何をなしたいのだろう?
私は覆い被さられて、オバケになってみたいというあの気持ちを思い出すだろうか?
私と衾が出会ったら、そこにはどんな化学反応が生じるんだろう?
原点回帰。私は何故オバケになりたかったのか、そして今、怪異との出会いを切望するのか。一段深く掘り下げて、見直しをかけてみるのも一興かしらね。
了
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それでは。
最後までお読みいただいて、感謝感激アメアラレ♪
また明日ね、バイバイ~(ΦωΦ)ノシシ