【あらたま流きもの雑記】同じ場所を探しても何も見つからないなら、探す場所を変えるしかない【火曜日連載:2022年4月19日版】
初めましての方、ようこそいらっしゃいました。
二度目以上お運びの方、本日もありがとうございます。
こんにちは、あらたまです。
『傘がない』という井上陽水さんの楽曲があります。
その曲になぞらえてというわけでは決してないのですが……ないのですが!あああああ、小話のネタがない(´;ω;`)ウゥゥ
プロットが一文字分も立たず、一晩寝てから考えようと布団に潜り、朝を迎えて御祈祷よろしく「不思議な踊り」を踊ってみたりもしましたが、アイデアがこれっぽっちも出てこないのです。
まあ……私の人生なんて大体こういう事の積み重ねなのですな。とほほ。
というわけで、本日の小話は変化球も変化球、これがファッション系なのか?きもの系エッセイか?と首を傾げる向き続出の方向で……つまりは私の独断と偏見が炸裂する趣味丸出しで、お送りいたします。やけくそではございませんよ、エンタメの可能性を私なりに追求した意欲作!のハズ!!ですっ!!!はぁぁぁぁ……不安だわ。
それでは、本日も始めて参りましょう。
いつもの拙著プチ宣伝のあとに、目次が続きますよ(^▽^)/
湿布をいっぱい貼ってた日の一式
雨が降って気温が下がって、肩こりや頭痛が厳しかった日に着ていたのは軽い和洋折衷な一式でした。
しんどい時は無理せず、小さな楽しみを見つけてのんびりしちゃいます。
湿布を貼って、ヒートテック再び引っ張り出し、おとなしく本を読んでいた日には胴抜きを着ていました。振り返ってみると、袷のきものでヌクヌク過ごしても良かったかもしれません。通気性が良いのも、時と場合によりけりですね。
この日から帯上~衿元の記録も残すようにしています。
主に衿の抜き具合と季節の関係を見て見たいなと思ったんですが、単純に半衿(洋装の時は襦袢替わりのシャツやカットソー)の記録としても便利ですね。
ハイネックを合わせる場合、衿は抜かないで着るのが私の好み。
ですが婦人もののきものは衣紋を抜く設計になってますので、衿を抜かずに着ると詰襟とまでは行かずとも衿が立ちます(二枚目の写真)。
かっこいい感じ・ボーイッシュな感じを目指す場合はこれでバチっと印象が定まりますが、乙女っぽい雰囲気にするならば、やはり少々衿を抜いた方が良いですかしらね。肌の露出は無くとも、爽やかな色香を纏うのは、女性っぽい気分の醍醐味だと思うのです。
たまに読むなら、こんなきものを着てみるのはどうだろう?~きもの×本でマリアージュを考える~
よく「人は食べたものや飲んだもので出来ている」なんて話を聞きます。体内に取り入れたものが肉体を、延いては味わった時の感情が人格を、日々作り上げていくのよってことなんでしょうね。
それを言うなら、読んだもの・聴いたもの・観たもの……そういった外部刺激全てが私たちを作っているのじゃないかしら?と思うのです。
どんな色を身に付けるかで、気分が変わったりします。
気分が変われば、行動が変わるなんてこともありますでしょう?
身に付けるもので何かが変わるのであれば、それはきものでも同じことが起こるのではないだろうか?――普段、なーんにも考えずにその日の「気分」で読み止しの本の続きを読んだり、寝かせておいた本の表紙をワクワクしながら開いたりしてますが、もしかするとそれは纏ったきものからの影響を多分に受けてるのかもしれません。
一式でご紹介した写真に見切れておりますが、この日に『テスカトリポカ』を選んだのにも私が自覚してない理由があったのではないでしょうか?
そんなわけで、本日はきものを纏った時の「気分」に合わせたのかもしれないいくつかの本について少々考察をしてみたいと思います。
ご興味あれば、どうぞこのままお付き合いくださいませ。
元気いっぱいカラフル×『心に太陽を持て』
ギンガムチェックと繋がるように、振りの裾部分にストライプ柄も入っている浴衣。はたら・きもので着る事が主になっているので、年がら年中おうちの中で着倒している、丈夫な一枚。
洗いざらしのカフェエプロンを乗っけたら、そこはかとなく西部開拓時代に思いを馳せたいような気分になったんでしょうかねえ……夢と希望溢れつつ大人の階段を昇っていく不安も隠し切れない少年少女たちに向けられた、山本有三『心に太陽を持て』を空き時間に読んでいたようです。
※限定の文アルカバーはお気になさらず☆彡
古い時代の児童向け書籍は歌うように軽やかな調子の文体で書かれているものが多く、本書のように爽やかな感動を与えてくれる短いお話を集めて一冊にする構成の本は大変に読みやすいです。
奇をてらうことなく真っ直ぐに元気に為りたい、そんな気持ちもあったのかもねえ……。
欧州の東の方の色合いを感じた?×『魔女の薬草箱』
二足歩行の動物たちが妖しくも楽し気な森の中で語らう柄の浴衣には、ガチャピン色と勝手に読んでる半幅帯を合わせることが定番化してきている私。はたら・きものの範疇ですけども、アイデアを質より数でドカドカ出したい時に着ていることが多い気がしますねえ🤔
ポケットにはKindle、アクティブで読んでいたのは『魔女の薬草箱』でした。全体的にくすんだ色合いですが、それこそは人工的な色彩の無い自然光の優しさを感じます。行ったことはないけれども、魔女が薬草を摘んで数多の薬を調合している森の夏ってこんな色合いなのかしら?……と無意識下ではちゃんと調和を考えた選択だったのかもしれません。
普段着でもピシッと気合いが入ったから×『「超」怖い話 亥』
怪談をお話になる方の中には、きものを仕事着にされてる方って多いのです。フォーマルでもなく、かといってカジュアルダウンし過ぎず。稲川淳二先生がビジネスカジュアルっぽい位置づけとすると、男性の場合はウォッシャブルタイプも展開してるビジネススーツ、女性の場合は綺麗目カジュアルな雰囲気かなあ?
此方の一式は、私の中ではコンサバど真ん中!って感じです。おうちの中で着てましたけど、やはり背筋の伸び方が一段違うと言いますか、この日読んでいたのが直球系実話怪談『「超」怖い話』シリーズからの一冊というところに、怪談を生業にされてる諸先輩方への敬意や仁義或いは怪談への真摯な取り組みみたいなものを感じます。
こうやって振り返ると私も、ちゃんとするときはちゃんとします!というタイプなのね、こう見えて(;^ω^)
個性的な浴衣で涼むなら……×『でえれえ、やっちもねえ』
真夏はちょいと怖い話で涼もうじゃありませんか……こんな呼びかけにド直球で応えた一式。
そこへ志麻子先生の『でえれえ、やっちもねえ』を読もうと思ったのには、個性的な柄行が一役も二役も買っていることに疑いの余地はありますまい。
岩井志麻子先生の作品は女性の情念、女性として命を全うしたい人の悲しみ、可笑しみが湿度高めで描かれてる印象が強いです。お洒落な顔してお友達とさざめき合うアノ彼女やコノ彼女も、胸の奥底ではどんな思いを育てているかしら?
ポップでキュートな浴衣に伝統のミンサー織を馴染ませるように締めたのは、時代に翻弄されながらも自分の足でしっかり立ちたいと願う登場人物たちへの憧れからだったのかもしれません。
この組み合わせはどちらかというと、本の方から着るものを引っ張ってきた稀有な一例かも……オカルト的な意味において、ですが。
だいぶ偏った選書ですけども💦
もうもう、怖い話大好きな人なものですから、偏に「そういう人なので……」ということでご了承くださいませm(__)m
時に、本ときもののマリアージュについて、現在進行形で一式考えている最中です。他の曜日で度々お話を書いていますが、イベント出店に向けての準備を着々と進めているところでして、私も店主として席を温めに行かないわけにはいきませんのでねΣ(゚∀゚ノ)ノキャー
半日ほどの出店とはいえ、店番をするとなると「お店の顔、看板でございます」という態で臨みたいところ。なので、持ち込む作品に合わせて、店主の装いも趣向も凝らしたいなあと……これがなかなかに悩ましいのです。
わかる人にわかればいいさ!と開き直るのは簡単、されど気付きやすい工夫もしたい下心。そのジレンマ。匙加減。イベントのその日まで、ぎりぎりめいっぱい!悩むとします(その前に原稿をアゲないと🤣)。
いかがでしたか
ネタがない!ないィィィィ!!――
そう騒いだ割には、いつものとおり暑苦しく書いてここに至ることができたようです。
ネタに枯渇したときは原点回帰、自分の趣味趣向に立ち返り突き進むのも一計でございますね。必要は発明の母と申しますが、こちらの求めに応じて何某かのアイデアが胡乱より立ち昇る場所は、そうやって恐れを振り払って突き進んだ先にようやく見つかることもあるのでしょう。
いつもいつも、このようにうまく行くとは限りませんが……。
どんなに緻密に計画を立てても準備が滞ってしまう時、今後はこの手法を活用してみることにいたしましょうね。
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