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火・水曜日連載『あらたま流きもの雑記』 4月13日 茶でも華でも香でも書でもなく、私は獣の道に踏み入った
初めましての方、ようこそいらっしゃいました。
二度目以上お運びの方、本日もありがとうございます。
こんにちは、あらたまです。
『あらたま流きもの雑記』とは――
火曜日と水曜日の連載で、きもの文化検定2級ホルダーのあらたまが普段着きもの生活についてアーデモナイコーデモナイと書き散らかします。
主に普段きもの一式の紹介と解説、少々のお出かけレポートをお届けします。そして、火曜日は私がきものに思う事等のエッセイが、水曜日はきもの生活tipsやお寄せいただいた質問への回答が、それぞれミニコーナーとして付いています。
・いわゆる『映え』なきものの御提案は無いと思います。
・きものを着た可愛いポージングの女性は出てきません。
・きもので行くべき映えスポット!の御提案もありません。
きものを普段着にしているといっても、洋服を着る日だってありますし、和の習い事経験は皆無です。
大雑把な性格で、かなり雑な暮らしぶりのオバチャンのきもの生活の一端をお見せすることで、きもの生活のハードルが多少低くなり、きものを始めたい方の勇気に繋がることを願っております。
桜が盛りを迎えたら、羽織を脱いで帯付に――なんて言葉がございます。
要するに、温かい陽気になったら身も心も軽やかに、ちょっと薄着ではっちゃけたいもんですねえってことなんですけども。これをまたマナーだ何だと、あたかも法律のように厳しく取り締まろうとする向きがいらっしゃいます。
なんなんだ一体、ジャッジ・ドレッドかよ!……と、思わず胸の奥でツッコんでしまった私です。
普段着に洋の東西って関係ありませんよね?
暑かったら軽やかに装えばいいし、4月でも雪が降るような寒さなら冬物を着て温かくなさったらよいのではないでしょうか。羽織はカーディガンのような位置づけと思っていただければ、その日のお天気で組み合わせを自由に楽しんでいただいてOKだと思いますよ。
四季を愛で楽しむのは日本情緒の豊かさであり素晴らしさですけども、それぞれの体感で楽しまれれば粋だなんだと褒めそやされもすれ、誰かの鶴の一声でレギュレーションが定められるもんではありますまい。
普段着こそ、自由に。己がオシャレ道を突き進まれたし!
本日ご紹介の一式
普段着きものにリュックサック背負ってみたい!の話の続きです。
おうちの中で実験したのは先日のこと。
結果、私にも背負えるぞ!てことになりまして。普段着きものリュックサック、実証実験しました。
デニム長着、UNIQLOエアリズムパーカー、ミンサー織半幅帯、flying tigerのリュックサック
御勉強道具を持って、カフェへ。その足で晩ごはんの材料を買いに行く。こんなコースです。
足元は予定通りにウォーキングシューズね。
いやも、これ快適!
牛乳やら大根やら重たいモノ買う時ってトートバッグタイプよりもリュックの方が安定して持てるのでありがたいんです。
なんせ不肖ワタクシ、呉服屋さんから『奇跡の和装向け体形』と呼ばれた女。補正ゼロでOKなもんでね……撫で肩は衿の形を作りやすいけども、片方の肩だけに荷物を掛けるバッグはずり落ちるのが常なんです。ワンショルダータイプは斜めに掛けるのが必須なのはココにも大きな理由があります。
見目麗しいパイセンがたから「春の普段着は白大島でしょ!」と叱られたりもしますが、誰もが必ず一枚持ってるとは限りません。斯く言う私も白大島持ってません。
正攻法がお好きな方が自由にお洒落為さるのと同様に、イイ年こいてあちこちやんちゃに走り回るけどきものの雰囲気は肌に感じていたい私も居たって良いじゃない?……ていうか、居させてよ。毎日が式典なわけじゃない、庶民の服に罰則規定なんてないでしょう?
私と普段着きもの③
きものを着てみよう!と思ったはいいけれど、浴衣のように即日お出かけとはいきません。
妙なところでこだわりが強い私は、未だ自分が獣道に迷い込んだことに気付いてないんです――
着付けってどうやる?
浴衣が一通り着ることができた私は「紐の数と着込む枚数が増えるだけでしょ。浴衣といっしょじゃね?」とまあ、随分と高を括っていました。平たく言って、和装を舐めてたんですね。
とりあえず、何でも教則本で解決する子ちゃんですから。書店で『きもの』と札が下がってるコーナーで何冊か立ち読みし、これだ!と思った本を買ってきました。手順は一工程ずつ丁寧に写真が付いてますから「楽勝~♪やっぱ、浴衣と大差ないじゃん」てなもんでホイホイ着ていくわけですよ。
でね――仕上がりに絶句するんです。
なんじゃこりゃ?と。
衣紋が詰まって、帯から上はガバガバと生地が浮きまくり。見えてなきゃいけない半衿は行方不明で、御太鼓のバランスときたらランドセルかよ!って悪さです。トータルで見て、三時間ほどフルコンタクトで闘った武闘派の仲居さんみたいでした(←本物の仲居さんに失礼……)。
思い返せばどこが悪かったのか分かるし、簡単に対策を打てますけど、その時は何がだめで何が浴衣と違うのか、これっぱかしもわかってなかったです。
しかもこの日、ことも有ろうにお出かけの約束をしてました。わざわざ「きもの着てくから、腰を抜かしたまえよ。あっははははは」と予告までして。
馬鹿でしょう?大馬鹿です。
御自分で和装される方は骨の髄まで染み付いているコトだと思いますが、きものは着ている真っ最中にも着崩れていくものなのです。
長襦袢無しで着る浴衣は一枚でもしっかりと腰紐で押さえるべきポイントを押さえ、婦人ものならばおはしょりも作って補正の代わりにもしますから短時間で着替えられる上にまあまあ着崩れせずに最後まで出来上がります。
しかし長襦袢は違います。対丈で着るものだし、襦袢の素材と紐の素材の相性や長着(紬とか小紋とか留袖とか……乱暴な言い方すると私たちが『きもの』と呼ぶファッションチームのセンターを張ってる、アレです)を着るときの動作一つで簡単に着崩れます。
そして、長襦袢は着姿の肝心要ですから、着崩れた長襦袢の上におはしょりの処理を上手い事やったり素敵な帯を締めたりしても、着姿のリカバリーは絶望と言っても過言ではない……いろいろ勉強して実験して、わかったうえで書いていると大変に恐ろしい事実なのですが、この時はそういう仕組みを全然わかってません。
初心者向けの教則本の落とし穴として、手順は分かり易く説明されてはいるものの、初心者にはこれは理解できないだろうなあ……と本の作り手が判断したところは大胆にカットされるというケースがあります。
とはいえ、どんな内容がカットされたのかが分かるのもある程度知識がついてきたからこそのこと。
初心者向け知恵袋にどれだけの事を詰め込むか?とは、ニワトリと玉子どっちが先的で、実に悩ましい問題です。
仕方ないので、怒りに任せてきもの一式を脱ぎ散らかし、いつも通りのパーカーとデニム、ブーツで出掛けました。待ち合わせ場所にいた知人には「え、フツーじゃん……」て顔されましたけども。
ここで絶望に打ちひしがれて、もうきものなんて着ない!となってたなら、私もここでこんな話を書くことは無かったのですが。
「くっそおおおおお、よくも赤っ恥かかせてくれよって。今に見とれよ!」
松の廊下の刃傷沙汰よろしくオノレ、オノレ……と言ってますけども、誰に怒られたでも嘲笑われたでもなく、勝手に一人で恥じ入ってただけなんで。完全に逆恨みなんです。しかもターゲットが分からない逆恨みなんで大変に質が悪いですね。
しかし人生なにがどう転ぶかわからないものでして。
このやり場のない屈辱感と負けず嫌いと、一式にかかった費用の素を取らねばならぬという使命感(貧乏性とも言います)が、私を獣道の奥へと追い詰めていく事になりました。
<次週につづくよー>
いかがでしたか
自分で書いててもヒドイ話だなあーと思います。思い出しながら書いていて、危うく泣くかと思いました。そのくらい、初めての自装は惨憺たるものだったんですな。あっはははははは!(←笑ってる場合ではない)。
さて。今回もまた、だいぶ長くなってしまいました。
ですが今回盛り込もうとしていたプロット、実は少々積み残しております。
私と普段着きものの歩みはまだまだ続きますが、しばしご容赦、お付き合いくださいませね。
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それでは。
最後までお読みいただいて、感謝感激アメアラレ♪
また明日ね、バイバイ~(ΦωΦ)ノシシ
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