【あらたま流きもの雑記】ちょいと厳しい寒暖差と共に、春を待ちわびる🌼【火曜日連載:2022年2月22日版】
初めましての方、ようこそいらっしゃいました。
二度目以上お運びの方、本日もありがとうございます。
こんにちは、あらたまです。
今日は猫の日。全ての猫に感謝を捧げる一日、なのだそうな。
……年々大義名分が膨張してる気がしないでもありませんが、猫のオカアサンをやってる身としてはやぶさかではないといいますか、これでもかとナデナデヨシヨシして「いつもながらカワイイネエええええええ」と、猫っかわいがりの限りを朝から尽くしています。
しかしこれって、猫に傅く暮らしをしているならば、日常茶飯事といってもいいのでは?
今日に限らず、昨日も明日も明後日も……全ての猫・猫科の動物が喉をゴロゴロ鳴らして暮らせますように。みんな、一分一秒でも長生きしてね。
それでは、今日も始めて参りましょう。
いつものプチ拙著宣伝の後、目次が続きます。
本日ご紹介の一式
慌ただしいと言いつつも、きものに袖を通しながら季節の移ろいに耳を傾ける余裕があった頃の一式……ついこの間まではこんな感じで肩の力を抜いていたのです。
紅花で染めた紬は、体温を優しく含んでくれて、着て過ごすと不思議と心身がゆるむ気がします。
絹の湿度調整力とも相まって、一日の気温に高低差がある時期には嬉しいきもの。
冬の屋内は暖房を効かせるので、袷の長襦袢ときものとそれに合わせた帯やら小物やらで「完璧!冬の一式」を組んでしまうと、むしろ暑くてやってらんないなんてことになる場合もあります。
私は暑がりなので、一日中おうちにびちーっとおこもりする日の体温調整はちょっと気を使わねばなりません。
そういう事情をきもののプロたる呉服屋さんに相談しましたらば、教えていただいたのが胴抜きという仕立て方。
地球規模の温暖化が心配される中、私と同じ悩みを抱える方は多いようで、私の相談に乗ってくださった店舗でもこの仕立て方のオーダーが伸びているとのことでした。
一度袖を通すと病み付きまでは行かずとも、手放せない一枚に!
仕立て方の都合、袷よりも重量が軽くできていますから、平均的体力に劣る私としては長時間着ていても疲れないのが有難いです。
色合い的に春の始めから秋が深まるまで(盛夏は暑くて着られません)一年の大部分をカバーしてくれるこの紅花紬とも、もう十年単位のお付き合いをしているんじゃないかなあ。あんまり気に入って袖を通すので、ふわふわと柔らかな肌触りになってきています。
あらたま流体温調整
何度か小話で取り上げてきましたけれど、気温の上がり下がりが激しい季節が本気を出す前に、私の普段着きものにおける体温調整の考え方や取り組み方を気分も新たに書いてみたいと思います。
お洋服の場合、昨今の機能性下着の性能向上もあり、素肌に一番近いところでバッチリ適温を確保し、外側の服は薄手で伸縮性のいいものを着るような傾向があるように思います。動きやすいようにあまり枚数は重ねず、一枚一枚の機能性を追い求める感じかしら?
対して和装では「重ねの文化」という文言がしばしば登場することもあるように、とにかく枚数を重ねて装いを完成させていきます。
この構造上、肌に近いところで適温を確保しようとすると、上に重ねていくものを注意深く計算して組み立てていかなくては、最終的に適温よりも高い体温が維持されることになる可能性が高いです。こうなると、私みたいな暑がりは後々の体温調整が難しく、きものの中が汗だくになります。
逆上せてるくらいならまだ良いですが、最悪のケースでは熱中症にも繋がるので、きものの時は「重ね方」に工夫を凝らしています。
私の「きもの時重ね方」の基本は、肌に近いところでは汗を素早く吸収・発散させ、遠くなるに従い保温性と着脱のしやすさを重視する、というものです。
きものの場合、絹で出来たものが多いです。
比較的安価で肌触りも良く温かい木綿、盛夏向けの通気性と吸水性が素晴らしい麻、季節を越えて着られることもあるウール等、たくさんの素材はありますけども、寒い時期にはやはり保温性とさらりとした肌触りが心地よい絹の人気は高いです。
ただ、その特性上なのか、なんなのか?
あくまでも私の主観的体感ですけども。
肌の近くに絹製品を持ってきた場合、汗が液体としてドバドバ出る私の場合、吸水と放散が追い付かない感じがしていまして。真冬でも肌に近いところ(長襦袢など)は麻や綿麻を着ることが多いです。
年齢を重ね、肌表面のカサツキが気になる年頃になった昨今ですと、外気に晒される環境に居る場合は気体の汗もしくは液体の汗が肌表面をしっとりと覆う感じになってきましたので、絹の袷の長襦袢が心地よく思えるようになってきました。
元からお肌が弱い・かぶれやすいというお悩みがある方は、襦袢や肌着は絹(生糸の、肌触りが滑らかなもの)をおススメするようにしています。
外側にくる服に関しては、好みを前面に押し出し、着たいものを着ていますが、室内に籠り切りで暖房に温められ続けるような場所に居る日は一工夫しています。
お洋服の時、ちょっと寒いなと思える時は一枚ひざ掛けをプラスしたりしますでしょ?暖房の効きが良くなってきたらひざ掛けを外して調整します。或いは、大判のショールを一枚羽織るとか。
そんな御洋服の時の「プラス一枚でこまめな調整」が効くように、きものも保温性が一番高いけれど、暑くなったらサッと外せるような機能性があるものを一番外側にくるように計算して一式組むと、一日を通して心地よく過ごせます。
そんなわけでして。
私は胴抜きのきものを愛用しているわけナノデス(*´ω`*)
胴抜きというのはきものの仕立て方のこと、というのは「本日ご紹介の一式」でちらりと書きましたが、袷のきものの胴回りの裏地が省かれているきものを指します。
胴回りが一枚分軽くなっているため、婦人ものの着方の特徴であるおはしょりや帯の下(お腹も背中も)きものを着終えた後だと体温調整が難しい部分での保温性が低くなります。
そこで登場するのが、体温調整用のプラス一枚、です。
袷の裏地部分で確保しようとしていた保温性を、羽織り物にシフトすることで臨機応変な体温調整が可能になります。
「本日ご紹介の一式」で登場した紅花紬を例にとりますと、糸を染めている紅花の効果もあってか、暖房が効いた部屋で書き物をする分にはプラス一枚の必要は感じないほどヌクヌクと過ごしています。定期的な換気で室温が下がるとか、別の寒い部屋での作業の時等は大判のウールのひざ掛け一枚でお腹周りを中心に下半身を覆います。こうすると帯との相乗効果で、お腹周りが温かくなると末端(特に足の指先)までしっかり温かさを感じることができまして、結果的に頭寒足熱の状態になるみたいデス。
和装には羽織という服もあります。
よく言われるのが「紅葉が色づいたら羽織り、桜が散ったら帯付(=羽織を着ない)にする」という文言。
現代社会ではエアコンの普及で、夏でも寒いところや冬でも暑いところもあって、一概には季節で区切るのは難しいと思います。
秋号のきもの雑誌などでモデルさんが御庭でポーズ付けてるところを多く目にするからか、羽織=アウターの一種?スプリングコート的な?と思われてる方もいらっしゃるみたいですが、羽織は厳密にはアウターではないです。機能的な観点からはカーディガンの位置づけ、というのがわかりやすいかも。
カーディガンを羽織らずにコートを着ることがあるように、冬だからといって羽織は必須ではないし、夏場の冷房での冷え対策で薄手の羽織をひっかける場合もあります。
御洋服の場合、体温調整だけでなく、お洒落のワンポイントとしてカーディガンを羽織るという場面もありますよね?きものの場合も、なんだか全体が寂しいから羽織っとこうかな……くらいの気持ちで一枚の羽織をプラスすることもあります。
紳士の方々のきちんと感を重視する一式では羽織が欠かせない場面もあります。が、婦人ものではお天気や体感気温、体調に合わせて自由に羽織る・羽織らないを選んで良いのじゃないかなあ……と思います。
冷えて風邪ひいちゃった!
暑くて熱中症になって、ぶっ倒れちゃったよぉ……。
アレコレ重ねるたびに紐で締め付けてたら、苦しくて気持ち悪くなっちゃった💦
等々……きものの体温調整に慣れないうちは、私も数々失敗してきました。
「お洒落は命懸け」という(詠み人がどなたかはわかりませんが)名言がありますけども、ほんとにぶっ倒れてしまっては元も子もありません。
帯がコルセット或いは姿勢矯正器具代わりになって、きもので暮らしているうちに体幹が鍛えられました!というエピソードであれば、ひとりスタンディングオベーションで讃えたい派の私です。そのくらい、健康第一で居たいのです。
命を懸けるほどの真剣勝負は、ほどほどに。
いざという勝負時に備えて、普段着は健やか路線で纏われることをおススメしたい……そんな、あらたま流でございます。
いかがでしたか
先日、某所にお伺いして、アートの薫りを存分に堪能してまいりました。
私の勝手な思い込みで、素朴な中に小粒にして強烈な個性が光る展覧会を予想していましたら、間口も奥行きも高さもウンと広くて軽やかな雰囲気に満ちており大変に驚きました!人間の想像力・創造力はもっともっと自由になれるのです、と優しく諭されたみたいに。
私も現状、オフラインイベントに向けてのデザイン作業を抱えています。そこにはまだまだ思い込みで要らぬ制約を課しているようです。私の、私によるポップアップショップなのだもの、もっと楽しんで良いのかな……時間が許す限り、深く掘り下げていきたいと思います。
どさくさ紛れに、自分の作品ときもの小物のセルフコラボとか、やってみても罰は当たらんかもしれませんよね?
記事のテーマとして取り上げて欲しいという質問・ふとした疑問がございましたらコメント欄や質問箱でお寄せ下さいませ。
質問箱は匿名でのご質問を受け付けておりますので、恥ずかしがり屋さんでも大丈夫!Twitterに連動していますので、回答がそちらに流れることもございますが、きものに関する回答はnote内で出来る限り分かり易くお答えしていきます(公序良俗に反するもの・個人情報流出の可能性のあるものは、如何なることもお答えできません)。
記事を書いた人についてはコチラをどうぞ
コメントでの気軽なお声掛けは随時、お待ちしております。
スキマーク・フォロー・マガジンのフォローも、勿論ウェルカムです。遠慮なく、無言でどうぞヤッチャッテくださいませ。
それでは。
最後までお読みいただいて、感謝感激アメアラレ♪
次回もお楽しみに、バイバイ~(ΦωΦ)ノシシ