全盲の教師最後の授業、ドキュメンタリー備忘録
ハートネットNHK「デクノボー魂、全盲の中学教師最後の授業」
新井淑則(よしのり)さんは、埼玉県の中学校の国語教師だ。今年の3月に定年を迎え、最後の授業を行った。
新井さんは34才で両目を失明し、自暴自棄になり、半年引きこもった。その後「目が見えなくても、先生に復帰できるよ。」と、弱視で教壇に立つ先生や、同じく失明した仲間と出会い、
『目が見えない自分だからこそ、伝えられる事がある。』と盲導犬と共に復帰をした。一緒に働く先生が言う。「新井先生がきてから、すぐに生徒の空気が変わった。みんな、自然に、先生を助けたいと椅子を出したり、手を引いたりする。みんな、先生の役に立ちたいのです。」
さいごの授業は、宮沢賢治の「アメニモマケズ」の朗読。この詩は、失明した新井先生を救った大切な詩だ。
さいごの授業のさいごに。
先生
「お前たちにに伝えたいことがあるよ。良い話と、悪い話、みんな、どっちから聞きたい?」
(生徒のみんな、笑いながら。)
「悪い方から、聞きたいです。」
先生、にっこり。
「じゃあ、悪い話から。
お前たちは、今まで受け持った生徒のなかで、、、、、一番成績が悪い。」
(生徒のみんなの笑い声)
『良い話。お前たちは、俺が受け持った生徒のなかで、一番、本当に、心がいい。優しい。
本当にそれを思う。すごく思う。』
(みんな、じっと先生の声に聞き入る。)
『みんなと、出会った3年前、餅田(仮名)、最後だから話していいか』
(餅田君が、頷く)
『餅田と、餅田のお母さんが、学校にきて、先生と話をしたんだ。餅田は手が不自由(片手?)だから、いじめられたり、からかわれたりしないか、心配だ不安ということで三人で話した。
その時、俺は餅田と餅田のお母さんにこう言った。
“目が見えない俺のクラスで、餅田が手のことで悲しい気持ちになったりがないように、俺が、自分の教師人生、命をかけて餅田を守る。”
そう言った。
でもな、そんな心配、本当にいらなかった。
お前らみんな優しいから。それはすごいことだ。本当に伝えたい。』
卒業式。先生を終えた新井さんは、ひとつのボイスレコーダーを持っている。これは、この春卒業した三年生からのプレゼントだ。新井さんへの声のメッセージだ。
「先生、進路の悩みを歩きながら聞いてくれたの、覚えてますか。」
「先生に会えて、進路をきめました。」
「新井先生に出会えて良かった。」
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よく、インクルーシブは是か非か。と、聞いたり読んだり考えたりするのだけど、
人と人のつながりや出会いは、計り知れない希望がある。こどもと、先生も、出会いや別れがあるが、毎回感動する。
カテゴライズしすぎずに、体系化せずに、やわらかい気持ちでいたい。
お楽しみは、これからだ。