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嵐の軌跡【スクスタ 2nd Season】
こんにちは、ぽまえです。
はじめに
当記事は、スパボさん主催のタグ企画
#忘れない僕たちのデイズ
に参加させていただくnoteとなります。
素晴らしい企画をいつもありがとうございます。
詳細は以下のツイートをご参照ください。
【タグ企画へのお誘い】
— スパボ@忘れない僕たちのデイズ (@daisonHDD) June 8, 2023
スクスタから生まれた「あなたの"トキメキ"」を一緒に残しませんか?
表現方法は自由!!あなたとスクールアイドルの思い出を、是非教えてください!!#忘れない僕たちのデイズ pic.twitter.com/gj83ALdI87
私とスクスタの"キズナエピソード"を考えたとき、やはり強く印象に残っているのはメインストーリー 2nd Seasonでした。
期間にして約10ヶ月。
ときに涙して、ときに苦しい思いをしたあの日々のおかげで、もっともっと虹ヶ咲を好きになれたと思っています。
そうこう考えやはりスクスタのなかでも特に大好きなメインストーリー 2nd Seasonに関するブログで参加したいと思い、
「今からでも遅くない!スクスタという場所で生まれた鐘嵐珠というスクールアイドルを、いま一度好きになってみない?」
というテーマのもと、彼女の登場からの軌跡を辿り、彼女がどういった人間なのか?どういったスクールアイドルなのか?というお話で参加させていただきます。
大前提として、私自身の解釈を交えているので、このnoteに書かれている内容が公式見解という訳ではございません。
そして、当noteは全10章で構成される2nd Seasonの中でも鐘嵐珠を語る上で特に重要な20章と28章をピックアップして振り返る内容がメインになっておりますので、あくまで当noteに書かれている内容はほんの氷山の一角であることを予めご了承ください。
また、2nd Seasonを何度も読まれている方には「なにを今更こんな当然のことを」と思われるような内容かもしれませんが、そういった方は改めて懐かしむような気持ちで読んで頂ければ幸いです。
アニメ2期で彼女のことを初めて見て、大好きになった方もたくさんおられるのではないでしょうか。
先日、遂に公開を迎えたOVA「NEXT SKY」では、彼女たちのユニット R3BIRTH の新曲もあり、すっかり同好会が居場所となった彼女の姿も見られ、鐘嵐珠というスクールアイドルは今後ますます愛され続けていくことを確信しました。
だからこそ。
だからこそそんな彼女はスクスタという場所で生まれ、アニメとはまた違った歩み方をして、アニメとはまた違った彼女がそこに居たことを、少しでも多くの人に憶えていてほしくて、差し出がましいとは弁えつつこのnoteを書かせて頂きました。
それでは前置きはこの程度に、さっそく本題に入りたいと思います。
嵐の上陸
まずは彼女のプロフィールから。
鐘嵐珠(ショウ ランジュ)
香港から留学してきた虹ヶ咲学園2年生。
かなりのお嬢様で、やることすべてパーフェクトな結果を出す。
本人はみんなと仲良くなりたいと思っているのに上手くいかない。
同好会メンバーのことが大好き。好きな食べ物は肉。
彼女の初登場は2020年9月末、スクスタ メインストーリー19章『ゾンビとの戦い』終盤。
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彼女は虹ヶ咲学園理事長の娘であり、スクールアイドル活動のために天才作曲家 ミア・テイラーをニューヨークから半ば強引に引き連れ来日しました。
彼女の登場時の衝撃はすさまじく、"あなた"や周囲に対する不遜な態度や、ラブライブ!らしからぬ言動はファンたちの間に大きな波紋を呼びました
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特に
「なんでこんな冴えない子が...」
「アナタはいらないの」
など"あなた"に対する厳しい意見が目立ち、また同好会の活動を制限すべく監視委員会を立ち上げ栞子に管理を命じるなど、一見すると同好会に対する敵意すら見えるような行動を起こします。
ここで一度、メインストーリー20章時点での"同好会メンバーから見た鐘嵐珠"を一度整理してみましょう。
まるで敵キャラ?
①"あなた"が不在の時に突如、「スクールアイドルフェスティバルを見てスクールアイドル活動をしたくなった!」と香港から来日してくる
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②同好会の仲間が増えた......と思ったのも束の間、「最高の環境で活動させてあげるから同好会を捨てて部に来なさい」と告げられる
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③もちろん拒否したところ、権力を濫用し同好会の活動を厳しく制限される
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④そんな鐘嵐珠が立ち上げた部に、朝香果林・宮下愛・三船栞子の3名が移籍してしまう
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...
......
.........
最悪ですね。
そう、最悪なんです。
まるで敵キャラ、悪役のような振る舞いをし続ける彼女。
もちろん一部ファンからも反感を買い、スクスタがいわゆる"炎上"のような状態になることもしばしばありました。
でも、忘れてはならないのが、これはラブライブ!であるということ。
悪いスクールアイドルなんて居ないのです。
伝わらない気持ち
ランジュの傍若無人っぷりに困惑し、また「アナタはいらないの」といった歯に衣着せぬ物言いに自信を失いかけていた"あなた"のもとに表れたのは、ランジュの幼馴染であり、過去に同好会と敵対関係になった経験を持つ栞子。
彼女の口から語られたのは
「ランジュには悪気はなく、一連の暴走は善意から来るみんなの為を思った行動である」
というもの。
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ここが、ランジュを考える上で最も重要で、最も初見殺しなポイントです。
だって、「悪気はない」なんて言われても明らかに度が過ぎていますよね。
善意からの行動にしては、どう見ても彼女の暴走はちょっとやそっとのすれ違いや勘違いに収まらないものばかりです。
ですが、本当にこの言葉の通りなんです。
本当にランジュには「みんな」を喜ばせることが第一目的にあり、その上で自らも一緒に切磋琢磨し成長しようとしていただけなのです。
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でも、「みんなの為を思う」というなら、"あなた"に対する仕打ちはどうなるんでしょう?
同好会の活動制限などは「スクールアイドルたちに最高の環境で活動してもらいたい」という善意から来る行動として、"あなた"に対しては明確に棘のある物言いをしていました。
例えば「アナタはいらないの」という発言から"あなた"に対する善意を見つけるのはかなり厳しいものがあります。
そんな疑問に対する解答は2nd Season終盤 第29章『これが私のスクールアイドル!』にてランジュ自らの口から明かされました。
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答えはある意味単純明快。
"あなた"に対しては、「嫉妬」と「対抗心」から強く当たってしまっていたのでした。
「アナタはいらないの」など棘のある物言いは「嫉妬」から。
「ランジュはアナタよりすごいのよ。」などのマウントは「対抗心」から。
「嫉妬」「対抗心」
それらは、人間誰しも持っている普遍的な感情です。
ですがランジュの場合は
人とのコミュニケーションが極度に苦手で
自分の思い通りに物事を推し進めようとする本能的な支配欲も高く
なまじそれを実現できてしまう力量と権力があり
しかしその力に見合わない幼児的な精神性......
と、ランジュが持つ人間性の全てが上手く嚙み合わず、あそこまで度が過ぎた行動に繋がってしまったのでしょう。
ここが「初期ランジュの冷徹でキツい性格が苦手......」という方には理解してあげてほしいポイントで、かつてのランジュは"あなた"に興味が無いから無関心に接していた訳ではなく、むしろその逆。
嫉妬心から敢えて強く当たってしまっていたのです。
つまり、ランジュの素の性格は"あなた"に対する態度ではなく、スクールアイドルたちに対する態度の方だと言えるでしょう。
「羨ましかったから"いじわるをした"」というまるで幼子のようなマインド故の行動を、どうか理解してあげてほしいです。
では、次はその幼児的な精神性についてのお話を。
才色兼備、文武両道。
様々な事柄に対する才能があり、その上で努力を努力とも思わない頭抜けたストイックさまで持つ彼女。
そんな完璧な彼女なのに、何故コミュニケーション能力や感情コントロール能力だけが極端に低いのでしょうか。
「往々にして天才はどこか抜けている」
......きっとそんな曖昧なものではなく、理由はしっかりと物語のなかで示されていました。
その原因は、他でもないその完璧さにありました。
完璧で"特別"な存在
29章から話は少し戻り、27章にて。
薫子(栞子の姉)に向けたライブの構想を練る栞子に対し、高度な技術を要するパフォーマンス演出を提案したランジュ。
しかし栞子にはこう断られてしまいます。
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「ランジュは特別だからなんでもできるのでしょうが」
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「特別」
この言葉が、ランジュにとっての何よりの地雷でした。
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なんでも容易にこなせてしまえる。そのうえ努力も惜しまない。(そもそもランジュにとって並大抵の努力は"努力"の内に入らない)
それが自分にとっては"普通"なのに、"普通のこと"をしているだけでどんどん人の先を進んでしまう彼女が持つ、かなり特異な悩み。
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豪家に生まれ、あらゆる才も有する、言ってしまえば全てを持つ完璧超人は、大抵の人間からすると友人として接しづらい存在だったのです。
"スクールアイドル"にかかわらず、元から「みんな」が大好きだったランジュ。
ですが、ランジュ自身の飛び抜けた能力のせいで「みんな」は離れていき、いつも最後には独りぼっち。
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コミュニケーション能力や感情のコントロール能力が極端に低い理由。
それは、彼女が完璧すぎるが故に、これまで殆ど友人関係を築いてこれなかったからでした。
有り体に言うと、友人とコミュニケーションをとった経験が一般的なそれと比べて絶望的に欠如していたのです。
全てを持って生まれたからこその致命的な欠損。
この切なさこそが、これまた鐘嵐珠の大きな魅力のひとつです。
そして、そんなランジュがここまでスクールアイドルに固執していた理由も、その切なさの中に隠されていました。
たったひとつの願い
ランジュは回想のなかで、「いつもみんなランジュのもとから居なくなってしまうけれど、栞子だけは一緒に居てくれた」とも語っていました。
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そんな数少ない友人である栞子が、何やら"スクールアイドル"なるものを始めたらしい。と観に行ったのが、スクールアイドルフェスティバル。
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全力で競争しているのに仲良し。
ランジュは、ずっと望んでいた理想郷をそこに見たのです。
思い返せば、ランジュはこれまで事あるごとに「友達」や「親友」といった言葉を多用したり、友人としてのコミュニケーションや関係性に強い関心や欲求を見せている描写が多くありました。
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食堂で何気ない会話をしただけで"親友"認定したり
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みんなとやりたいことをわざわざリストアップしたり
ランジュにとっての最大の願いとは、「友だちと全力で遊ぶこと」でした。
きっと、多くの人にとってはなんでもないことですが、ランジュにとってはずっとずっと切望している願い。
そんな彼女が「ここでなら自分の願いが叶うかも」と希望を見たのが、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会でした。
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でも、ダメだった。
今回も、また。
諦めと叫び
こうしてランジュは、今回もまた自分の願いは届かないのだと。
「だってランジュは特別だから......」と、遂に諦めてしまいます。
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そして、このランジュの「諦め」をトリガーに、ここからランジュとスクールアイドルたちを取り巻く状況は急変の一途を辿ります
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なんとランジュは突如メッセージ上で部のメンバーに対し部の解散を告げ、音信不通になったのです。
これまたいきなりで部員たちを置いた自分勝手な行動に見えますが、いつだってスクールアイドルたちの為を思って行動してきたランジュです。
この記事では紹介できていませんが、2nd Seasonの始まりである20章からランジュが音信不通になるまでの28章の間に、(元)部員であるしずく・果林・愛・栞子・ミアは各々の形で成長を遂げており、またこのランジュ失踪時点で既に同好会メンバーたちと和解に近い状態になっており部と同好会間のわだかまりは殆ど無くなっていました。
つまり、「部員たちはもう部という場所が無くなっても困らないだろう」というランジュなりの判断のもと、ここまで唐突な行動に出たのだと私は考えています。
そして、それを考えた上で本当に切ないのが、「スクールアイドルたちは部が無くなっても困らないだろうから、部を解散しても大丈夫だろう」という判断を以て部を解散した...ということは、「ランジュが突如消息を絶った」のは「スクールアイドルたちはランジュが居なくても困らないだろう」という判断のもと行われていることを意味しているのです。
常に自己評価が高く、ひどく傲慢にすら見えた彼女が、「自分は必要とされていない」という判断をしてしまった。
ずっと、ずっとスクールアイドルたちへ好意を向けていた彼女が。
「自分はスクールアイドルたちにとって不要だ」と。
そんな残酷な諦めと共に、ランジュは最後にもう一度だけライブを披露し、香港に帰ることを決意。
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一方その頃、解散の報せを受け取ったメンバーたちは総員総出でランジュの捜索に繰り出していました。
捜索の傍らに、幼馴染である三船栞子から話を聞き、自分たちは鐘嵐珠という人間のことをまだ何も知っていなかった。
それどころか溝の深いすれ違いが起きていたことに気付きます。
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「話し合うこと」そして「理解すること」の大切さ。
私は、スクスタが2nd Seasonを通して、そして鐘嵐珠という人間を通して最も伝えたかったことはこれだと思っています。
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こうしてランジュの気持ちや抱えてきたものを理解し始めたスクールアイドルたちは、ランジュともう一度顔を合わせて話し合うことを決意します。
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......しかし、ランジュとは連絡が付かず無情にも時が流れていきます。
そんなある時、ファンコミュニティから「ランジュのライブがもうすぐ行われる」という情報が入り、急いで開催場所である講堂へ向かいます。
"知る"ことで"変わる"、鐘嵐珠と『Queendom』
スクールアイドル 鐘嵐珠の、最後のステージ。
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最後のステージで、ランジュはパフォーマンスに想いのすべてをぶつけます。
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(ランジュのステージ、目に焼き付けてる?)
(ニジガクに来て、大正解だと思った。
こんなに楽しい毎日初めてだったの)
(だって、お友達になれると思ってたから。
合同イベントとか合宿とか、ずっとワクワクしてた)
(でもこれでおしまい。ランジュの全部をここに置いていくわ)
(お友達が欲しかったの!
ずっとずっと、一緒に頑張りあえるお友達!)
(誰も諦めないで、みんなで高め合うのよ!
そんな毎日が欲しかったの!)
(ねえ、ランジュと遊んでよ!
本気で遊んで!!)
決して声には出さなかったこの想いは、しっかりと同好会メンバーたちにも伝わっていました。
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ここで再び重要なポイントです。
何故、ここで初めてランジュの「声」が聞こえたのでしょうか?
エマさんの言葉に「"ずっと"、わたしたちに伝えてたんだ」とある通り、ランジュは"最後のステージだから"特別にパフォーマンスに想いを込めた…という訳ではなく、これまでに行われたライブパフォーマンスでも同じようにランジュの想いは込められていたことが分かります。
それなのに何故、今まで気付けなかったのか?
そして何故、今気付けたのか?
気付けなかった理由。それはランジュのことを「知らなかった」から。
気付けた理由。それはランジュのことを「知ることができた」からに他ならないのです。
同好会の活動を制限してまで部に誘った理由。
自信満々で傲慢で自分勝手な態度の理由。
そして、鐘嵐珠という一人の女の子がずっと望んでいた願い。
皮肉にも、ランジュが想いを諦めたことで、ようやく想いが伝わったのです。
このように、鐘嵐珠は"知ること"でその姿を180度変える本当に面白い存在です。
そして、この特性は彼女のソロ曲である『Queendom』にも共通します。
『Queendom』が初披露されたのは20章の開幕。
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そのとき初めて『Queendom』を、そして鐘嵐珠というスクールアイドルを目の当たりにした"あなた"は、我々は、その歌詞や姿から何を感じたのか?
多くの人にとってそれは「支配」や「高圧」だったんじゃないか、と思うんです。
そしてそれは、きっと同好会メンバーたちも同じだった。
ここでまたややこしいのが、「支配」などの印象も別に間違ってはいないところなんですよ。
ランジュは場の空気を支配するタイプのパフォーマンスをするスクールアイドルであることはきっと事実で、それは彼女なりの空気の作り方なので彼女の良さであり、きっとこれからも変わらない部分なのだと思います。
問題なのは、観客にその部分"しか"伝わっていなかったことなのです。
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「支配」「高圧」といった印象しか伝わらないので、結果としてランジュの想い、ランジュが伝えたい気持ちと真逆に伝わってしまう。
特に人一倍同好会そのものへの思い入れが強いかすみなんかは、「いきなり支配者が侵略してきた」なんて印象すら持ったことでしょう。
ここまで話したように、メンバーたちからの鐘嵐珠の見え方が変わったトリガーは「ランジュを知ること」でした。
これは少し余談なのですが、メンバーたちが体験したその感覚を、こちらの世界のファンも分かり易く体験できるギミックがあると思っています。
(あくまで私の解釈です)
その方法とはずばり、「QueendomのShort ver.を聴いた後に、Fullを聴くこと」です。
20章時点、つまりランジュの想いを知らなかった頃のメンバーたちから見た"鐘嵐珠"は『Queendom』のShort ver.のような印象で、上記にもある通り「支配」「高圧」といった印象が強い仕上がりになっています。
次に28章時点、つまりランジュの想いを知ったメンバーたちから見た"鐘嵐珠"は『Queendom』のFull ver.であり、主に落ちサビが分かり易いと思います。
拒まないで 解き放って
求めるがままに
私が奏でる旋律
待ってるわ 随时欢迎♡(いつでも歓迎よ)
これでもかというほどランジュの想いが分かり易くストレートに綴られたこの歌詞。
メンバーたちがランジュの想いを"知る"ことによって体験した感覚を、同じく歌詞を"知る"という方法で我々にもリンクさせるよう明確に意図されて作られた展開だと私は思います。
私は28章を読んだのちに『Queendom』のFullを聴いたとき、この作り込まれ様に震えました。
ミアからの挑戦状
ここまででストーリーを読む上で重要なパーソナリティの解説はそれなりに済んだので、ここからはいよいよクライマックスに差し掛かるストーリーの振り返りを増やしていきます。
これ以降スクショがメチャメチャ増えるので覚悟してください。
閑話休題。
話を戻しまして、ランジュの"最後のステージ"を観てランジュの想いを理解したメンバーたち。
いよいよ物語の歯車が噛み合い始めたように思えた折、「ランジュは虹ヶ咲を退学して香港に帰ろうといている」という情報が舞い込んできます。
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ランジュが自分の願いを諦めてしまったことを知ったメンバーたち。
部に居たメンバーたちは「自分たちはとっくにランジュのことを友だちだと思っていたのに、ランジュに伝わっていなかったのか」とショックを受け、
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今までランジュのことを良く思っていなかった同好会メンバーたちは「もっとちゃんと話し合うべきだった」と後悔に駆られます。
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ランジュと他メンバーの想いがすれ違うなか、「このままランジュを帰らせるわけにはいかない」と決意するメンバーたち。
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しかし相手はあの鐘嵐珠。
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肝心の本人をその気にさせなければ、もし会ったとしてもまともに話せないだろうと踏んだメンバーたちは、
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スクールアイドルとしてのパフォーマンスを以て、鐘嵐珠を引き留めることに。
そんな時、ミアが口火を切ります。
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ランジュのパートナー的存在であるミアは、ランジュがDiverDivaの「本気で競い、高め合える関係」を羨んでいたことに気づいていました。
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そしてミアから一つの"わがまま"が。
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「この曲は、ランジュと栞子とボクで歌いたい」
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こうしてミアからの熱烈な要望により「ランジュ・栞子・ミアの3人で歌う」「挑戦的で、曲の中で競い合うような曲」をミアが創り、それを手にランジュを引き戻す計画が始動しました。
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そうして始まった作曲作業。
作曲家としてのミアはこれまで見知らぬ大衆に向けた曲を創ることを得意としていましたが、今回のターゲットは「大衆」ではなく「鐘嵐珠」ただひとり。
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故に「これまでの作曲方法ではダメだ」と、"あなた"のようにその曲を歌う人だけに向けた作曲をしようと、ミアたちは自らの知る「鐘嵐珠」の姿を互いに共有していきます。
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また、その過程でさらにランジュへの理解を深めていくミアたち。
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そうして、遂にランジュへの挑戦状が完成しました。
のちに出てきますが、ここで完成した挑戦状としての曲が『MONSTER GIRLS』です。
【番外】栞子とミアの共通点
またも少し本筋から離れてしまうのですが『MONSTER GIRLS』の"挑戦状"としての側面を語るうえで私の凄く好きなポイントがありまして、ここはどうしても語っておきたかったので少々お付き合いください。
ランジュへ向けた"挑戦状"であるこの曲を歌うのは、ランジュに加え栞子とミア。
私はこの二人のスクールアイドルとしての性質に大きな共通点があると思っていて、それは
「想いを歌にして伝えること」
です。
言葉でうまく想いを紡ぐことが苦手だから、歌に乗せて相手に届ける。
この二人の人間性やスクールアイドルとしてのテーマにはそれが大きく含まれていると思っており、それを表す要素は(このnoteでは紹介しきれませんでしたが)これまで『決意の光』『翠いカナリア』や『I'm Still…』が生まれた物語で提示されていました。
幼馴染なのに、パートナーなのに、ランジュと言葉ですれ違ってきたこの二人だからこそ、"挑戦状"が歌であることの意味や説得力が本当に高まるのだと思っています。
そういった理由もあり、『MONSTER GIRLS』は、R3BIRTHのメンバーがこの3人である意味が本当に強く感じられる曲で大好きです。
響け、届け、繋がれ
ミアたちは、満を辞して完成した"挑戦状"をランジュに送信しました。
しかしメッセージに既読は付いたものの、依然ランジュから返答はありません。
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そんなとき、再び舞い込んできた報せ。
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「ランジュが帰国日を前倒しした」
これを受け、急いで空港へと向かうメンバーたち。
ここからより一層、物語の焦燥感と緊迫感が強まります。
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しかし無情にもタイムリミットは迫ります。
そして場面は切り替わり、ランジュの視点へ。
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このとき、ランジュにとって幸か不幸か、気象の影響で乗っている飛行機が一時的に離陸を見合わせていました。
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届いた想い
メンバーたちが自分のために奔走していることなど露ほども知らないランジュは、一刻も早くニジガクでの日々を忘れ、元の生活へ戻ることを望んでいました。
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過去の清算として。
ここでの日々を忘れるため、ニジガクに抱いた希望を諦めるため、ランジュは遂にミアから送られてきた曲を受け取りました。
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noteとしてあるまじき行為なんですが、もうここは私がとやかく言うよりも書いてあることをそのまま読んでください、としか言えないほど完璧で大好きなシーンです。
あ~~~~~
好きだ~~~~~
それしか言えません。
敢えて何かを書くとすれば、ここはランジュの思考の変遷が自然に巧く描かれているポイントが個人的に好きですね。
ランジュがこの曲を聴いて最初に出てきた感想が
「ランジュにこんなものを聴かせてどうしたいの」
「ひどいわ、こんな曲聴かせるなんて……」
というもの。
ここが凄く自然で、前述した通りランジュは「ニジガクメンバーから自分は必要とされていない」と思い込んでいるわけです。
そんなランジュの視点からすれば、必要とされていない自分にわざわざこんな曲を送ってくるなんてどういうつもりだ、と思うのが自然ですよね。
しかし、そんな所感から曲を聴き込むにつれて、
「……ミアと栞子が見えるみたいね」
と、その曲に込められた想いがランジュに響き、遂には
「これはミアと栞子からの挑戦状だわ」「戻らなきゃ」
と、なぜミアたちがこの曲を送ってきたのか、そして自分はいまどうすべきかを理解する流れが本当に自然でアツくて巧い。
そして再度場面は切り替わり、同好会メンバーたちの視点へ。
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ランジュが乗る予定だった飛行機の離陸には間に合わなかった一行。
しかし、
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ここの一連の流れが本当に大好きなんですよ……!!
結果的に言えば、離陸の遅延という偶然が生んだ運命的なロスタイムのおかげでランジュは離陸する前にあの曲を受け取ることができたわけなんですが、もし仮に"偶然"が起こらず定刻通りに飛行機が発っていてランジュが香港へ帰国していたとしても「追いかけて聴かせていた」という事実が本当に温かくて。
運命的な展開のあとにわざわざこの流れを挿入することで、ランジュが同好会に加入することの必然性を強調して描いてくれたような、本当に嬉しい描写でした。
そして遂に、
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遂に、再会の時がやってきました。
これまで「想いが伝わっていなかった」「伝えてこなかった」ことへの後悔や反省も含めてか、栞子、愛、ミア、果林の元部員をはじめ、同好会メンバーまで全員がランジュに思いの丈をありのまま伝えていきます。
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思ってもみなかったような自らへの想いを矢継ぎ早にぶつけられ、混乱するランジュ。
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ずっと望んでいたことが一気に叶い、遂には精神がキャパオーバーして感情が決壊してしまう。
つながった心
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あらためてランジュと話し合うメンバーたち。
そして
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ミアからの挑戦を正式に受け取り、遂にランジュは学園に戻ることを決意します。
「みんなの中のランジュ……」と噛み締めるランジュが本当に愛おしい。
『特別』
そして少し時が流れ、R3BIRTHの初ライブへ。
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2nd Seasonで、私が一番好きなランジュの言葉。
「特別」
ランジュの人生に於いて呪いのように付きまとってきた、ランジュを最も苦しめてきたこの言葉を、遂にまっすぐに受け取ることができた瞬間。
「特別」の呪いからランジュを解放する方法が、「ランジュは特別じゃない」という方向じゃなく、「ランジュだけが特別じゃない」という落とし方だったのが本当に、本当に本当に大好きです。
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28章『ランジュの想い』 END
清算、そして大団円
ここからは29章のお話になります。
ただ前置きにも書かせていただいた通り、当noteは20章と28章の内容がメインとなりますので、29章はスクショメインで短く纏めて締めたいと思います。
鐘嵐珠関連の視点から見る29章を端的に形容すると、「過ちの反省と清算」がメインのお話だと思っています。
R3BIRTHの初ライブを終え、祝賀会へ向かおうとするランジュ。
しかし愛に呼び止められ、説教と話し合いが始まります。
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すれ違いの原因は自分たちにもあったことを反省し謝罪する栞子たち。
あらためて2nd Seasonは「話し合うこと」、そして「理解し合うこと」の大切さを説く物語だったな、と感じます。
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赤ちゃんすぎる。
以上がランジュと(元)部員たちの清算でした。
次はランジュと"あなた"の清算。
栞子からの説教を受け、あらためて「みんなとちゃんとお友達になりたい」という想いを抱いたランジュ。
"あなた"もその「みんな」の一人でした。
お友達になるために"あなた"のことを理解しようとするも、他人の感情の動きを理解することが苦手なランジュにとって"あなた"は俄かに理解できない存在でした。
そこで、"あなた"のことを理解しようと歩夢に"あなた"のことを訊きます。
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しかし、やはり言葉では理解できない様子。
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そこでランジュは、直接"あなた"と話し合うことを決意します。
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これはおそらくこのnoteで9,000文字くらい前にも書いたので割愛しますが、つまりは今までの"あなた"に対する態度は「嫉妬」と「対抗心」から来ていた、という話でした。
以上がランジュと"あなた"の清算でした。
次はスクールアイドル部とスクールアイドル同好会の清算。
同日に行われたスクールアイドル部のスペシャルライブ。
アンコールの最中、突如ランジュから言葉が発されます
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「このライブをもって、スクールアイドル部は解散」。
ランジュが学園に戻ってきたことで廃部の危機は去ったかと思いきや、再び彼女の口から解散が告げられました。
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少しだけ話の時系列は前後しますが、先に言ってしまうと「ランジュが望んだ光景は同好会にあったから」という理由からの行動でした。
そして、廃部に際して(元)部員たちは再び同好会に戻ることに。
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これまでの謝罪も含め、(元)部員たちと同好会メンバーたちが話し合います。
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(元)部員たちと同好会メンバーの9章越し、こちらの時間にして9ヶ月越しの和解と相成った、感慨深い瞬間です。
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以上が、スクールアイドル部とスクールアイドル同好会の清算でした。
ということで、20章から続いたお話のなかでキャラクターたちの間に生まれた負の感情も含めてしっかり清算してくれたお話でした。
個人的に、29章でしっかり諸々を清算するパートがあるからこそ2nd Season全体がチープにならずに締まったと思うので、29章はほかの章に比べると大きな展開の動きは少ないものの物語全体を見たときに大切な役割を持つ章だったと思います。
そして、ここをもちまして今回のnoteも締めさせていただきます。
最後に
括りとしては2nd Seasonは20~30章なのでここからまだ30章が残っていますが、これ以降は「校内オーディション編」というまた別のお話になるので、鐘嵐珠の軌跡を辿る当noteではここまでにさせていただきたいと思います。
ここまで約12,000文字強を書いた最初の感想としては、「全然書き足りない!!!」でした。
私がこのスクスタ2nd Seasonを大好きな理由の一つに、「キャラクター全員が各々の役割を持って、全員が相互作用している」というものがあるんです。
例えば、20章の更新当時わたしは「幼馴染の栞子ちゃんはまだしも、なぜ愛ちゃんと果林ちゃんが部に行ったんだろう」という疑問を持っていました。
しかし、よくよく考えてみれば、社交的かつ好奇心旺盛な宮下愛と、向上心や負けん気が人一倍強い朝香果林ほど適任なキャラクターは居ないように思います。
そして個人的にとても好きな役割を持っているのが彼方。
彼女は、同好会派閥ではあるもののかすみやエマのように強く部に反発するわけでなく、しかし部に迎合するわけでもなく。
常に物語のバランサーのような役割を持っていたように感じられます。
20章から29章までに同好会と部の亀裂が致命的な崩壊に至らなかったのは、彼女がああいった立ち回りをしていたからこそだと思っています。
(特にエマと果林の間に彼方が居た功績は本当に大きい)
このnoteでは一切紹介できませんでしたが、21章でのしずく、22章での璃奈、24章でのせつ菜……など、本当にそれぞれがそれぞれの持つ特色を活かして物語を動かしているのが2nd Seasonです。
このnoteはあくまで鐘嵐珠の軌跡を辿る、という名目なのでその辺りが漏れてしまうのは仕方ないといえば仕方ないのですが、それらの動きは鐘嵐珠の行動にも密接にかかわっているので、そこの説明を省くのは鐘嵐珠の行動原理や文脈を省いているのと同義でもあり、正直そこは悔しさが残ります。
ですがそれを全て紹介しているとそれはもう2nd Seasonを全編転載しなければならなくなるので不可能に近いです。
何を言いたいかというと、2nd Seasonを読んでくれ。という結論になります。
2nd Seasonを読んでくれ。
サービス終了までもうあと1日もありませんが、それでもなんとかして読んでください(無茶ぶり)
手前味噌ながらこのnoteはかなり頑張った方だと思います。
が、2nd Seasonの魅力を100とした場合、正直10も伝えられていない、というのもまた率直な感想です。
なので、2nd Seasonをはじめ、スクスタのメインストーリーを読む方法を公式がリリースしてくれることを願っています。
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。
たとえスクスタのサービスが終了しても、スクスタから貰ったものは消えません。
私はこれからもスクスタから貰ったものと一緒に、虹ヶ咲と歩んでいきます。
このnoteが、この世界のどこかの誰かが鐘嵐珠とスクスタをほんの少しでも好きになる一助になれていたら幸いです。
それでは、スクスタ2でお会いしましょう。
さようなら。スクスタ。
ありがとう!スクスタ!