あんパン
「世界音痴」
著/穂村 弘
ひさしぶりにほむほむの著作を読んでいると「あんパン」という名のお話が目に入った。
内容から察するに、ほむほむはこしあん派のようだった(そう感じただけでご本人は~派などで分けて考えてないかもしれない)。
そのお話を読んでいるとき、ふと、私って「つぶあん」と「こしあん」どっちが好きなんだろうというギモンが生まれた。
正直、出されたらどっちでもそこそこ満足だし、あんこ自体積極的に食べたいと思ったこともなく、どちらの魅力がより好きかとかない。しかしそう思いつつも、舌が、脳が思い出したのは「つぶあん」のことだった。
そう、こいつ。実家の食卓のテーブルに、日常的に積まれている菓子パンの中でも常連レベルでよく見たこのつぶあんパンのことを思い出した。
当時も特に積極的に食べていたわけでもなかったが、学校から帰ってきて夕ご飯までの小腹を満たしたいときとか、たまに朝ごはんに自分から選んでみたときとか。そういう時に食べた記憶がある。
そしてだいぶゆるい暮らしを謳歌している今、あんこを食べた記憶がないことにも気づく。
自分好みに食の取捨選択をするようになった今、食べたいと思わない食材や味とはもう一生食べないまま終わるのかもしれないと思うと、今まで作ってくれてたごはんや自分では選ばない食べ物の、愛おしさと儚さを実感する。
健康のためか彩のためか、唯一嫌いなプチトマトを毎回お弁当に入れられていたことにも意味はあったんだなぁ(そりゃそうじゃ! cv:オーキド・ユキナリ)。
そう思うと「世界音痴」を読む前には候補にすらならなかったあんパンが食べたくなってきた。
パン屋巡りを計画している今がベストタイミング。やっぱり「つぶあん」が好きだと自覚するのか、それとも「こしあん」の良さを知るのか。
ノスタルジックが思い出させてくれたあの味にまた会いたい。
ちなみに、以前知り合いに唐突にふられた「もも肉とむね肉どっちが好きですか?」という問いへの答えを、私はまだ探している。