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道路を緑豊かな憩いの場に!個人からアーティスト、フェミニスト支援団体…みんなでつくるウィーンのパークレット

道路の駐車スペースを公園のように作り変え、仮設の憩いの場とするパークレット。サンフランシスコから始まり、いまは世界各地の都市で見られるようになってきています。

サンフランシスコのパークレットの例

オーストリア首都・ウィーン市でも2015年から市がパークレットの支援プログラム「緑のパークレット」(Grüne Parklets)を開始しており、自宅やオフィス、商店の前の路駐スペースにパークレットを設置したい個人/団体を金銭面・申請面・管理面で支援しています。

ウィーンのパークレットの例 デザインは個々オリジナル
いちごなど食べられる植物もよく見られます(ブドウやカボチャなども!)
遊び場のあるパークレット
歴史ある中心市街地の商店街にも。本棚も置かれています

パークレット支援プログラムの目的は気候変動によりますます暑くなるウィーンの街を少しでも涼しくするために緑を増やすこと、またあらゆる人が使い憩うことのできる空間を地域に設けることとなっています。

支援された数は2023年時点で90箇所近くとなっており、浸透具合が伺えます。また、当初は冬季には一旦解体しなければいけなかったのですが、コロナ禍中に感染防止の観点で屋外空間の重要性が高まったことから、暫定的に常設になっていたところ、2023年には正式に通年設置が可能となりました。

設置されている場所の特性として、中心市街地の商店街にもありますし、住宅地にもありますが、基本的には大通りというよりは、少し車通りが控えめな生活道路的なところにあります。

設置主体はやる気に満ち溢れた住民個人のほか、商店街、ホームレス支援団体、フェミニスト支援団体、自転車促進団体、アーティスト支援団体など、とても多様です。その団体の特徴に応じて、パークレットのデザインにも違いが現れてもいます。

自転車支援団体が設置したパークレット。自転車の空気入れと工具が置かれています
有名な建築家フンデルトヴァッサーの美術館の前にも…
アートが飾られたパークレットがあります
アーティスト支援団体のスタジオの前にはステージにもなるパークレットが

話を聞いた設置団体はどこもとても意欲的で、これからもパークレットを維持したい!と前向きでした。外でリフレッシュしながらランチやミーティングをしたり、自分の家の前が緑豊かになったり、メリットを強く感じているよう。消費をしないでも居られる場ができる、という言葉も印象的でした。自分たちでまちの空間を変えていくんだという気概を感じました。

苦情も騒音や駐車スペースの減少に関して出ることはあるものの、そこまで大きな問題にはなっていないようです。

トップ画像の木々が茂るパークレット「Wiedner Wald」(ヴィードナー地区の森)を設置管理しているのは左のパワフルな女性2名!

2024年にはデザインを自分たちで考えるのが大変な人向けに、規格化されたモジュール式のパークレット資材も提供され始めたので、ますます広がるかもしれません。今後が楽しみですね。

モジュール式のパークレット。新規開発されたゼーシュタット地区から出た廃材が使われています

パークレット支援プログラムの仕組みや、設置団体の特性、動機などの詳細な調査結果は論文にまとめる予定です。

どれも素敵ですがこのパークレットは可愛くて特にお気に入りです

★本調査は第一生命財団2023年度研究助成(奨励研究)を受けて実施されています。




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