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【創作小説】猫に飼われたヒト 第50回 アッシャー事件〜レオはどこへ?〜
6:10
レックス宅。
朝っぱらからスマホの着信音が鳴り響く。アドからだった。レックスは眠たい目を擦りながら、少し眉間に皺を寄せて電話に出た。
「…どうしたアド。こんな朝早くに…」
「先生大変です!レオくんが研究所から出てきた知らない車に乗って、どこかに行っちゃいました!」
「………何?!」
急いでベッドから降りリビングを覗く。そこにレオの姿はない。家中探し回るが、どこにもいなかった。
一気に血の気が引く。
アドの電話を切ると、また別の着信がかかってきた。フルーメンからだ。
「レックスだ」
「レックスさん。今朝、研究所からNo.18がいなくなっているところを早番のティオが発見しました。どこに行ったのか分からない状態です」
「何だと?!」
おかしい。何がどうなっているんだ。
「人間の檻には鍵がかかっていたはずだ。一体どういうことだ」
血の気が引いているノックスと、それを横目にレックスに電話をしているフルーメン。
「鍵については昨晩の遅番担当のノックスから閉め忘れはなかったと報告を受けましたが、今朝彼に確認したところ彼が昨晩鍵閉めをした全ての鍵を紛失していることがわかりました。」
「………鍵を無くしたことを今責めても仕方がない。鍵が無くなっているところを考えると、何者かが侵入したのだろうか。警備システムはどうなっていたんだ」
「監視カメラも防犯ブザーも、全て故障していました」
「…嫌に手口が巧妙だな。鍵が無くなり、警備も全て壊されている。研究所の内部を知らない猫が一つの防犯カメラも取り残さず破壊などできるだろうか。…とすれば…」
「レックスさん。今は人間の行方を第一に探すべきでは。警察には連絡を入れましたが、我々も探すとしましょう」
「そうだな。くそ…どこに連れて行かれてしまったんだ…」
「そういえば」
「昨日のニュースですよ。人間を盗むなら奴がまず候補に上がるでしょう。町外れの天才発明家、アッシャー。彼ならやりかねないでしょうね」
「そうか…」
アドの話からして、レオとNo.18はともに連れ去られている。
行き先がアッシャーの元だとして、それはどこなんだ。警察が捜索中のアッシャーを、私1人で見つけられるか。
昨日のルナとの会話が思い出された。
アッシャーは2年前の夏頃にも逮捕されていて…ネットニュースにはならなかったが、新聞の小さな記事になった…
「…これだ。わかったよフルーメン。何とか私も探してみる」
「ええ。よろしくお願いします」
次回に続く