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僕がタバコを辞めた話(最終回)

  タバコを辞めるという事はタバコを忘れなければならないのに、タバコだけをガマンすると、逆にタバコの事ばかり考えてしまって誘惑に負けてしまいそうになりました。まるでフラれた恋人の事ばかり考えて新しい恋ができなくなる状態に似ています。

経験ないですけど。

  それならたくさんの事を一気にガマンして、気持ちがタバコに集中しなければ良いのではないかと閃めいたので、他の好きなものも一緒にガマンする事にして、好きの度合いが低い順に禁止リストを作りました。僕の場合はこんな感じです。

1.お酒を飲む
2.お腹いっぱい食べる
3.スイーツを食べる
4.甘い飲み物を飲む
5.タバコを吸う

  習慣になっている好きなものを禁止すればいいので、飲食に限らず、パチンコ、競馬などに行かないとか、女性の居る時間制のお店に行かないとか、自分に正直に「習慣になっている好きなもの」をみつけて禁止リストを作ります。

  さて、禁止リストが決まったら、ひたすらガマンするのですが、そのうちタバコを吸いたくなります。そして、ガマンの限界が来たら、上記の禁止事項1.を解禁するのです。そうすると何故か少し気が紛れます。何となく自分を騙して時間を稼ぐのです。せめて3時間は次に進まないようにします。それでもガマンできなかったら次の禁止リストに進みますが、もちろん、絶対にタバコまで行かないようにします。危ない時は禁止事項を戻して好きなものを楽しむ事でタバコを精神的に遠くに置くのです。また、夜が明けたら禁止レベルは最初に戻します。そうすると、なかなかタバコには辿り着けません。「タバコが吸いたい!」を「お腹いっぱい食べたい!」や「アイスクリームが食べたい」にすり替えてしまうのです。

  僕にはこの方法が功を奏しました。そのうち1年が過ぎ、タバコの匂いを不快に感じるようになり、タバコを吸いたいと思わなくなりました。タバコを辞めて気がついた事で1番驚いたのは、近くで吸われるだけで自分の洋服に匂いが付くという事でした。自分が吸っているうちは気が付かなかったのですが、自分勝手に吸ったタバコの煙は他人の服や髪の毛に付いて、その人が部屋に帰った時に「タバコ臭っ!」となっていた訳です。申し訳ないです。僕がタバコの匂いが苦手になってから、因果応報とはいえ、他人のタバコの匂いを取るために洗濯やスチームをかけてケアするのは理不尽だなと思いました。2020年4月に飲食店が基本禁煙になったので随分と快適になりましたが、人通りの多い店外路地でタバコを吸う人を見ると、タバコ税を喫煙スペースに使って欲しいなと思います。僕は1日3箱くらい吸うヘビースモーカーだったので、吸いたい気持ちはよく分かります。タバコを吸う自由もあるのかもしれません。でもそれはせめて、他人の服に匂いを付けない前提での自由だと思います。

  などと偉そうな事を言いながら、後日この方法には盲点がある事が分かりました。最も深い禁止事項のタバコを禁止しなくてもよくなると、他の禁止事項は自然に解禁されてしまって止められないということです。僕の禁止リストは食事に関することだったので、かなり食べるようになりました。しかも禁煙すると鈍っていた味覚や嗅覚が細部まで戻るので、何を食べても美味しくなり、禁煙前に比べて、8キロも太ってしましました。

8キロはちょっとダメですが、禁煙すると必ず一旦体重が増えます。でもそれはご褒美だと思って、少しの間だけ、自分に優しくしてあげましょう。

2年もすれば、食欲も収まり、満腹にし過ぎないとか、野菜から食べるとかの緩やかなダイエットで体重は落とせます。(と7年前に書きましたが、何度かダイエットに失敗して2021/06/14現在3度目のダイエット中です。。)

  それでも結果として、タバコを買わなくていい、タバコを吸う場所を探す必要もない、灰皿を洗わなくていい、部屋が汚れにくい、歯が黄ばみにくい、タバコの火の後始末を心配しなくていい、タバコやライター灰皿などを持ち歩かなくていい、など、タバコのさまざまな不自由から解放されて自由を満喫しています。

あと、僕の声は居酒屋で店員さんに気づいてもらえるようになりました。

最後までお付き合い頂きありがとうございました。

おわり

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