マジックを演じるために知っておくべきこと(連載7)
連載7です。今回は「独断マジック格言」解説、中編(その2)です。8個の格言とその解説となります。数年前からSNSで公開していた、僕が勝手に考えたマジックに関するあれこれです。共感できるものもできないものもあると思いますが、マジックに関する何かを考え始めるきっかけになれば嬉しいです。
「技法を感じてしまうのは、心の「助走」と動きの「加速」によってリズムが変わるから」
柔らかいクッションの上で1メートルの距離を跳ぶのと、落ちたら助からない崖の切れ目を1メートル跳ぶのでは話が違います。技法を覚えて鏡の前である程度できるようになっても、人前では緊張感が違います。崖の切れ目を跳ぶように、無意識に心で助走を付けてしまいがちです。また、緊張というストレスを早く終わらせようと動きが速くなり、秘密の動作を感じさせる事があります。このように技法は心が動くと気配を感じさせます。名人を目指すなら技法を実行する時に心が動かなくなるまで練習すべきなのかもしれません。
「不自然なのはやましいから、やましいのは嘘があるから、嘘があるのは自信がないから、自信がないのは正しい方法を知らないから」
セリフの嘘をできるだけ無くした方が良いというのは連載6でも触れましたが、嘘をついてしまうのは自信がないからなのかもしれません。さらに自信がないのは自分が信じられる正しい方法を知らないからではないでしょうか。演技全体に漂う原因不明の不自然さは、多くの要因によって醸し出されるものだと思います。演じる時の過度な不安や緊張感は、あなたが信じられる正しい方法をマスターした時、初めて解消されるのかもしれません。逆に言えば演技の同じ場面でやましさを感じたり、つい嘘を言ってしまうのなら、もう少し精神的に負担の少ない、楽しむ余裕のある方法を探してみるべきだと思います。
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