(基本解説022)日本の法律のほとんどは「官僚」がつくっている
(政治や法律の基本解説)
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国民が直接、法案を国会に
提出することはできません
また法案が通るのは
内閣(国家公務員の官僚)がほとんど
国会議員が自分の思いを実現させるには
かなりハードルが高いんです
法案を出せるのは内閣か国会議員だけ
国会に「法案(法律案)」を提出できるのは「内閣」と「国会議員」だけと決められています。国会議員でない人が、いくら「こんな法律があればいいのに」と思っても直接、国会に求めることはできません。法律をつくって世の中を変えていきたいと思ったら、政治家に託すか、国会議員か官僚になるしかない、ということになります。
三権分立なのに「立法」も官僚が主体
実際に成立する法案は内閣が提出したものが多く、国会議員が法案を提出することを、あえて「議員立法」と呼ぶこともあります。
内閣が提出する法案は、官僚と呼ばれる国家公務員たちがつくっているのがほとんどです。
日本は三権分立の統治体制になっています。三権分立制度では法律を作るのは立法機関である国会ですが、実務上は国会が主導して法律を作っているわけではありません。行政を担当する内閣での官僚が立法にも強く影響を及ぼしているのも事実です。
内閣が提出した法案はほぼ可決される
内閣が提出した法案は、ほぼ国会で可決されます。平成29年の通常国会では、内閣提出法案66件のうち63件が成立、その一方で議員立法136件のうち、成立したのは19件でした。過去のデータでは、内閣立法は5年間で89.2%が成立しているのに対して、議員立法は15.6%しか成立していません。
国会議員の提出法案が通る可能性は低い
そもそも、国会議員が法案を国会に提出すること自体が簡単なことではないのです。国会議員が法案を国会に提出するには、法案をつくるための専門的な知識も必要になるうえ、衆議院では20名以上、参議院では10名以上の国会議員の賛成が必要です。その法案の内容が予算を必要とする場合は、衆議院では50名以上、参議院でも20名以上の賛成が必要となるので、賛同する議員も多くいないといけません。
国会は官僚がつくった法案に賛成するだけ
作成された法案は、内閣法制局に提出され、各省に示されます。内容によっては他の省からクレームがくることもあるからです。これをパスすると各省の事務次官が集まる「次官連絡会議」を経て、閣議で決定されると衆議院や参議院に提出、審議されます。成立後、天皇が公布します。できた法律は「官報」として一般にも販売されます。政治家が決めるというよりは官僚、役人たちの意思が反映された法律が多くつくられています。
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