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中学生にもわかる 旧約聖書「原罪」

(3分でわかる)



禁断の果実を食べたアダムとイブの罪
この人類最初の罪を「原罪げんざい」と呼ぶ




食べてはいけない果実

 エデンの園に置かれたアダムは神から園を自由に歩きまわって管理する仕事を与えられました。アダムは妻のイブ(エバともいう)とともにエデンの園の木の実を食べて暮らしていましたが、神によって園の中央にある善悪の知識の木の実(禁断の果実)を食べることだけは禁止されていました。

神への裏切りをそそのかす蛇

 ある日、最も頭のいいへびが、イブに向かってこう問いかけます。
「神はどうして果実ならどれを食べてもよいと言わなかったのか」
「食べたら死ぬから」
「あなたがたは決して死ぬことはないだろう。それを食べるとあなたがたの目が開け、神のように善悪を知る者になることを、神は知っているのだ」
 蛇のたくみな誘いに心揺れるイブの目に美しくおいしそうな実が飛び込んできます。イブは禁断の実を手に取って食べてしまい、さらにはそれをアダムにも渡しました。

善悪を知り羞恥心が芽生える

 すると互いが裸でいることを急に恥ずかしく思い、いちじくの葉で腰をおおって茂みに隠れてしまったのです。木の実を食べて善悪を覚えたことから、ふたりには羞恥心しゅうちしんが芽生えたのでした。
 ここで「善と悪」とは、「善さ」と「悪さ」の意味ではなく、知識の両極端を指す言葉であり全体をあらわす。つまり「善と悪を知る者」とは、知らないことは一つもなく、できないものは何もないという「全知全能者」のことです。

人類は数々の労苦を背負うことに

 神はふたりを問いただしましたが、アダムはイブに、イブは蛇に責任をなすりつけました。もちろん一番悪いのは蛇ですから神は蛇に「お前はすべての生き物の中で最も嫌われるものとして地をい、ちりをめて、生きよ」と罰を与えます。さらに女には子を生む苦しみを、男には額に汗して労働をする苦しみを、そしてすべての人間に命の期限を与えました。
 神に問われたイブは「蛇がだましたので食べた」と責任転嫁したので、「全知全能者」にはなれなかった。そこに到達できない限界に気づかされたのです。

アダムとイブの楽園追放

 神の命にそむいたという原罪を背負ったふたりは楽園を追われました。楽園と人をへだてるためにエデンの東には炎の剣を持った天使が置かれます。人間が知識の代償に得たものは労苦と死だったのです。しかし、神はエデンの園から追い出したが、ふたりに皮の衣を着せて情けをかけたのです。

蛇の存在

 『旧約聖書』では、知能の高い存在として描かれている蛇。世界各国の歴史においても、特別な存在として扱われてきました。中国では畏怖いふ(恐れおののくこと)の対象となり、西洋ではその容姿から魔的なものとして恐れられてきたのです。そして日本では、ハブは罪のある者を見わけてかみつくとされ、白蛇は神聖視されている。特異な姿の蛇に対する思い入れの深さは人類共通のものといえます。

理解するポイント

 ここでの罪は神の命に背き、また神に問いつめられ責任転嫁したところにあるのではないでしょうか。他のものに責任をなすりつけたことが神の怒りにふれた。そして、「全知全能者」にはなれず、限界に気づかされた。禁断の果実、善悪の知識の木の実を食べて得た、その知識の代償はあまりにも重かったのです。しかし、問題はこの限界をどのようにして生きるかということでもあるのでしょう。



出展「創世記」第3章
『イチから知りたい! 聖書の本』より


1,469文字






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