(基本解説016)「衆議院」と「参議院」の2つがある理由
(政治や法律の基本解説)
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二院制のメリット
審議をふたつの視点で
誤りのないようにダブルチェック
二院制のデメリット
審議に多くの時間と費用が
かかること
二院制のメリットとデメリット
日本の国会は、「衆議院」と「参議院」からなる「二院制」を採用しています。スウェーデンやトルコ、韓国、台湾などのように議会が、ひとつだけという一院制の国もあります。国会議事堂を正面から見て、右側が参議院、左側が衆議院です。この二院制のメリットは国民の幅広い意見を取り入れた審議を、ふたつの視点でダブルチェックして誤りのないようにするという目的があります。デメリットとしては、「審議により多くの時間と費用がかかる」ことです。
異なるのは解散の有無
衆議院と参議院では人数や被選挙権(立候補できる年齢)、任期などに違いがあります。異なる選挙方式にすることで異なるタイプの議員が選ばれ、別の視点を持つ議員が生まれることを期待してのことです。
大きく異なるのは、解散の有無です。参議院に比べ、任期が短く解散がある衆議院は、より直近の民意を反映していると考えられるため、様々な面で参議院に対する「優越」が認められています。逆に、解散がなく任期が長い参議院は、政局に振り回されることなく、長期的な視野に立って審議を進める「良識の府」であることが期待されています。
*良識の府
日本国憲法下のもとで生まれた参議院では作家や有識者を中心とする大きな会派があり、衆議院のように政党の立場にとらわれず、議員一人一人の良心や信念にもとづく自由な議論が行われていた。このことをさして参議院のことを「良識の府」と呼んだのです。
国会の開会式には天皇が隣席する
参議院の本会議場には、衆議院の本会議場にはないものがあります。それは天皇の御席です。参議院議長の背後に一段と高い席が用意され、国会が開会されるときは、天皇が参議院の議場で「お言葉」を述べられます。戦前の国会(帝国議会)も「貴族院」と「衆議院」の二院制を採用していました。貴族院の議場を引き継いだ参議院の本会議場には、天皇の特別席があり、現在でも天皇が隣席する国会の開会式は、参議院の本会議場で開催される慣わしとなっています。
*天皇の御席 : 天皇を「すめらみこと」と読むと特定の天皇もしくは今上天皇を指すのに対し、「すめろき」と「すめらぎ」は皇祖もしくは皇祖から続く皇統を意味し、古より続く皇統の連続性を含んだ文脈で用いられる。いずれも、天皇 (てんのう) を敬い尊んでいう語。
御席「みまし」は、貴人が座る席。また、そこに敷くもの。「天皇(すめらみこと)の―に置きて」〈顕宗紀〉
衆議院と参議院の比較
①議員定数
衆議院 480人
参議院 246人
②任期
衆議院 4年 (解散があれば資格を失う)
参議院 6年 (3年ごとに半分が選挙で入れ替わる)
③被選挙権 (立候補できる年齢)
衆議院 満25歳以上
参議院 満30歳以上
④選挙区
衆議院 小選挙区300人・比例代表並立制180人
参議院 選挙区146人・比例代表100人
⑤解散
衆議院 あり(衆議院議員ではなくなるということ)
参議院 なし
意見の食い違いで「ねじれ国会」に
二院制では、衆議院と参議院で意見が食い違うこともあります。特に衆議院で与党が過半数を占めているのに参議院では、野党が過半数を占めていると意見の食い違いは必死です。このような状態を、「ねじれ国会」と呼んでいます。法案について、たとえば衆議院が賛成多数で可決したのに参議院が反対多数で否決したときは、どうなるのでしょうか。
両院協議会で話し合いで決める
このような場合には、衆議院の代表と参議院の代表が集まって、「両院協議会」を開いて話し合って決めます。それでも決まらないときは、衆議院が改めて出席議員の3分の2以上の賛成で可決したら、法案は成立します。3分の2に達しなければ廃案に。もし、参議院が可決も否決もしない場合は、衆議院の可決から60日経った段階で衆議院が、「参議院は否決したものとみなす」(みなし否決)と宣言して独自に再可決することも可能になります。
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