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大阪府警 地域警察の組織・施設・職務・装備・運用【2024.9更新】

本記事では大阪府警(地域警察)の組織・施設・職務・装備・運用を解説します。


1.警察本部地域部の組織

(1)地域総務課養成係地域指導室職務質問指導班

原則、職務質問指導班の警察官2名と所轄警察署の警察官1名がパトカーに乗車し、パトロール等を行っている。

(2)通信指令室

110番通報を受け付け、警察署やパトカーなどに指令を出している。

(3)方面機動警ら隊

原則、警察官1~3名がパトカーや青バイに乗車し、機動警らや職務質問、薬物事案を中心とする重大事案への対応などを行っている。

(4)鉄道警察隊

制服・私服の警察官が駅や電車内等で犯罪の防止・検挙活動を行っている。


2.警察署地域課の施設

(1)警察署

地域警察官が常勤し、パトロールや事件事故の対応などさまざまな業務を行っている。
◯車両
無線警ら車、小型警ら車、原動機付自転車(地域活動用)、自転車など。

(2)交番

主に都市部に設置される。
◯人数
約1~10人の地域警察官が常勤している。
◯車両
無線警ら車、小型警ら車、原動機付自転車(地域活動用)、自転車など。
◯勤務体系
地域第一係・地域第二係・地域第三係の三交替制勤務である。1回の勤務は朝9時頃から翌朝の9時頃までの24時間勤務である。交番に勤務する警察官は当番(朝9時頃から)→非番(翌朝の9時頃まで)→休日を繰り返している。
◯内部
公かい、執務室、台所、トイレ、洗面所、シャワー、休憩室、収納等。
◯外部
駐車場、車庫、物置等。
◯その他
警察署に交番が組み込まれている署所在地交番(大阪水上警察署)や英語の指定通訳員を24時間体制で配置している外国語対応モデル交番(関西空港警察署ターミナル交番)がある。

(3)駐在所

主に都市部以外に設置される。家族と居住している場合がある。
◯人数
原則、地域警察官1人が勤務している。
◯車両
小型警ら車、原動機付自転車(地域活動用)など。
◯勤務体系
原則、日勤である。
◯内部
事務室、台所、トイレ、洗面所、シャワー、収納、和室、洋室等。
◯外部
駐車場、物置等。

(4)警備派出所

地域警察官が勤務している。
◯車両
<泉州警備派出所>船舶など。
<空港警備派出所>無線警ら車、自転車など。

(5)警ら連絡所等

地域警察官は常勤しない。
交番等が廃止された施設で警察官が立ち寄って警戒活動を行ったり、一部を除いて住民が警察電話で警察署に連絡したりすることができる。
祭礼等における警戒拠点を除き、建物の老朽化が著しい警ら連絡所等は地域住民との調整完了後、順次、撤去される。

(6)その他

地域課が運用する施設ではないが、便宜上紹介する。
①交通警察官詰所
交通警察官は常勤しない。
交通警察官が交通指導取締りや交通の整理等のために不定期で使用している。通常、施錠されている。

②警備詰所
周辺にある総領事館や空港の警備のため、機動隊等が使用している。


3.地域警察官の職務

(1)パトロール・警ら

受け持ち区域の警戒活動を行っている。パトロールは犯罪の多発する時間帯や地域に重点をおき、事件・事故の発生を未然に防止している。

(2)事件・事故の初動対応

110番通報を受けて一番早く現場に出動している。事件・事故の内容によって、交通課・刑事課・生活安全課等に引き継ぐ。

(3)職務質問

警察官が防犯警戒や被疑者検挙のために、行先・用件・氏名・住所・年齢・職業などを質問したり、所持品・自動車の車内・自転車の防犯登録の確認をしたりしている。

(4)交通指導取り締まり

交通違反の取り締まりをしている。交通課等と合同で実施する場合もある。

(5)他部署の応援

重大事案の捜査や国際会議の警備などを行う場合がある。

(6)巡回連絡

警察官が家庭や会社などを訪問して事件・事故の発生状況や被害の防止方法を説明したり、警察に対する意見や要望を聞いたりしている。
また、巡回連絡カードを作成している。巡回連絡カードは個人情報を記入し、迷子・高齢者の方を保護したときや大きな事件や災害などが発生したときに家族等への連絡に使用される。

(7)相談・届出等の受理

犯罪等の被害相談や落とし物・拾い物等の届出の受理を行っている。

(8)その他

・地理案内
・立番
・広報活動
(交通課・生活安全課等との連携)

※(6)~(8)は警察署地域課特有の職務である。


4.地域警察の装備

(1)無線警ら車

<会社名・車名>トヨタ・200系クラウン、トヨタ・210系クラウン、トヨタ・220系クラウン
<所属>警察本部地域部地域総務課、方面機動警ら隊、警察署地域課
<配置>警察本部、方面機動警ら隊本部・分駐所、警察署、交番、警備派出所
<用途>パトロール・交通取り締まり・事件事故の対応など

(2)交通取締用四輪車

交通取締仕様だが、無線警ら車と同様の職務を行っている。
<会社名・車名>トヨタ・210系クラウン
<所属>方面機動警ら隊
<配置>方面機動警ら隊本部・分駐所
<用途>パトロール、交通取り締まり、事件事故の対応など

(3)小型警ら車

<会社名・車名>トヨタ・パッソ、スズキ・ソリオ、スズキ・スイフト、日産・ノート
<所属>警察署地域課
<配置>警察署、交番、駐在所
<用途>パトロール、交通取り締まり、事件事故の対応、事務連絡など

(4)移動交番車

本来は交番がない場所で交番業務を行うための車両だが、大阪府警は移動交番を運用していない。府警本部で移動交番の運用に関する方針は策定しておらず、各警察署で運用方法を決定している。
<会社名・車名>トヨタ・ハイエースバン、日産・キャラバン、マツダ・ボンゴブローニィバン
<所属>警察署地域課
<配置>警察署
<用途>事務連絡、資材運搬など

(5)地域遊撃車

容疑車両がパトカーに衝突して逃走を図る事案に対応するため、グリルガードを装着した覆面パトカーが導入されている。
<所属>方面機動警ら隊
<配置>方面機動警ら隊本部
<用途>逃走阻止

(6)スカイブルー隊用二輪車(青バイ)

当初はひったくり事案に対応するために導入されたが、現在は多様な職務を行っている。
<会社名・車名>ホンダ・CB400スーパーフォアなど
<所属>方面機動警ら隊
<配置>方面機動警ら隊本部・分駐所
<用途>機動警ら、交通取り締まり、事件事故への対応など

(7)原動機付自転車(地域活動用)

<会社名・車名>ヤマハ・アクシストリート、ヤマハ・トリシティ、ホンダ・ディオ110など
<所属>警察署地域課
<配置>警察署・交番など
<用途>事件事故への対応、巡回連絡、事務連絡など

(8)自転車

近年はシルバーやホワイトの塗装が多く、書類を入れるためのリアボックスの有無などの違いがある。一部の警察署では電動アシスト付き自転車が導入されている。
<会社名・車名>マルクル・リブレットシティ、サカモトテクノ・ギムレット、丸石サイクル・グラウス、アサヒサイクル・ジオクロスAなど
<所属>警察署地域課
<配置>警察署・交番など
<用途>事件事故への対応、巡回連絡、事務連絡など


5.交番の運用

(1)交番相談員の配置

警察官がパトロールや事件事故の対応などで不在となる場合に、交番相談員は相談・届出等の受理を行っている。
交番相談員は警察職員のOBから非常勤職員として採用される。勤務中は常に警察官と同じような防刃チョッキや催涙スプレーを着装し、警棒を携帯している。警察署の術科指導者を実際に交番に派遣し、これらの装備品を活用した訓練を行っている。
令和3年時点で413交番に配置されている。不在になりやすい交番や多忙な交番などが選定されている。

<交番例>天王寺警察署天王寺駅前交番

(2)女性相談交番の開設

痴漢等の被害相談には女性警察官が対応している。しかし、女性警察官が常勤するためには交番内に休憩室やトイレなどを整備する必要があり、女性警察官が常勤できる交番は限られている。
平成27年度時点で女性警察官が配置されている122交番のうち、80交番で女性相談交番を開設している。

<交番例>天王寺警察署天王寺駅前交番

(3)バリアフリー化の推進

大阪府福祉のまちづくり条例に適合したバリアフリー化を進めている。
令和4年時点で187交番を整備している。

(4)高度セキュリティ化の推進

令和3年度に本部地域部地域総務課に専従係の安全対策係を設置した。
交番等に勤務する全ての地域警察官に新型拳銃入れを配備した。
車両の後部を建物側に止め、出動時に路上に背を向けないようにした。
令和3年度には既に全ての交番に設置済みの防犯カメラ等のセキュリティーシステムの保守や各種装備品の更新等を行った。交番内のカウンターや机等のレイアウトを変更した。交番の公かいにある机やカウンターを乗り越えての襲撃を防止するため、新たに遮蔽板等を設置した。
令和3年時点で交番等の内部の防犯カメラや敷地内だけでなく交番の外周も広く撮影できる防犯カメラ、交番の入り口で来訪者を感知するセンサー式チャイムを全交番・駐在所に設置した。建物の周囲で人の動きに反応して点灯するセンサー式ライトを137交番に設置した。
交番等勤務員の夜間帯における複数勤務体制の拡大や防刃チョッキの二十四時間着装を義務づけている。交番の襲撃事案を想定したロールプレイング方式・ブラインド形式の訓練や講習会を開催し、視聴覚教材を作成・配信するなどしている。

(5)オンライン化の推進

警察内部のネットワークに接続することによってシステムを使ったさまざまな業務ができる。
交番のオンライン化を進めることで各種届出時間が短縮でき、警察官の街頭活動の時間が確保しやすくなる。
令和5年時点で約360交番のオンライン化が完了している。

(6)木造化・木質化の推進

「大阪府木材利用基本方針(令和4年5月改定)」に基づき、交番設計の際は木材利用を検討する。

(7)その他

①交番に警察官がいない場合
交番内にある電話から卓上案内板の手順に従って警察署に連絡する。500番か12番である。必要な場合は交番勤務員が戻ったり、他の交番から警察官が派遣されたりする。

②警察署・交番配置の無線警ら車が事故や故障で運用できない場合
以下の車両が貸し出される。
・警察署地域課に配置する小型警ら車
・警察本部総務部装備課に所属する貸出用の無線警ら車/小型警ら車 ※
・警察本部地域部地域総務課に所属する予備の無線警ら車 ※
・方面機動警ら隊に所属する予備の交通取締用四輪車
・方面機動警ら隊に所属し、運用開始から約6年以上経過した無線警ら車
・警察本部交通部に所属する予備の交通取締用四輪車
修理不能の場合は廃車予定だったが供用継続している予備車(※)が車両更新までの間、再登録される。


6.参考文献

大阪府
https://www.pref.osaka.lg.jp/
大阪府警察
https://www.police.pref.osaka.lg.jp/
大阪府議会
https://ssp.kaigiroku.net/tenant/prefosaka/pg/index.html
WHITE and BLACK-車種別パトカー画像館
policecar.nomaki.jp/
大阪府警察本部総務部装備課「車両管理データ」
(R502行政文書公開請求→R504部分公開)
大阪府警察本部地域部地域総務課「警察署地域警察運営規程」
(R603行政文書公開請求→R603公開)
大阪府警察本部地域部地域総務課
「交番・駐在所の施設に係るセキュリティの高度化を図るための方針」
(R603行政文書公開請求→R603非公開)
大阪府警察本部地域部地域総務課「移動交番の運用」
(R603行政文書公開請求→R603不存在→R603情報提供)
大阪府警察本部地域部地域総務課「警察官詰所等一覧」
(R603行政文書公開請求→R603情報提供)




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