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340.29m/sの曲のことつれづれ。セットリストから見た曲の「成長」のことなど。

【ソニパクロニクル】

 この一年ちょっと(※このポストを書いたのは2020年6月ごろです)、340.29m/s(ソニックメートルパーセコンド,通称:ソニパ)という大阪を拠点に活動するアイドルグループのライブをたくさん見ました。ソニパは2019年5月3日に望まひろさんと糸生りとさんの二人体制でデビュー、2019年8月16日に葉月みわさんが加入して、以降三人体制で活動を続けています。デビュー1周年となる2020年5月3日までに153本のライブを行い、名古屋や東京だけでなく中四国や九州にも遠征して、精力的にいろんなイベントに出演してきました。

↑ソニパデビュー後1年間で出演した153本のイベント一覧

↑ソニパデビュー後1年間にライブをした地域と月ごとのライブ本数.残念ながら新型コロナウイルスの影響で2020年3-4月はライブが少なかった.

 ソニパのライブの後にはメンバーのまひろちゃんがその日のセットリスト(歌った曲の一覧,通用セトリ)をTwitterにアップしてくれます。例えば、こんな感じ↓

 僕は暇なときにまひろちゃんのセトリツイートをチェックして、データ入力して貯めていってます。で、そのデータを起こすと、例えばデビュー一年でどの曲を何回ぐらい歌ったかなんてものも見えてきます。

↑ソニパがデビュー1年で歌った回数(曲別)

 多くのアイドルに言えることですが、ライブでよく歌う曲、あんまり歌わない曲があります。ソニパはデビュー時の持ち曲はジェンガ、Bird Cage、Cravingの3曲でしたが、ジェンガとBird Cageはライブではほぼ必ず歌うような必須の曲になっている一方で、Cravingが披露されることは少なく、レア曲です。デビュー後、SHOUT IT OUT、ENERGY、EARLY DAYSと曲を増やし、ここまでの6曲が2019年11月3日発売の1st mini ALBUM「340.29m/s」に収録されています。その後、今やソニパのライブに欠かせないリード曲のモスキートーンをはじめ、スライドブルー、DROP LET、SONIQ、Implicit Mad Party!!、disco:takeの順に曲が増えていきます。これら6曲は2020年5月20日発売の2nd ALBUM「疾駆」に収録されています。「340.29m/s」はライブ会場限定の音源なのですが、「疾駆」は全国流通版ですので、ディスクユニオンはじめ、様々なネットショップ等で購入可能です。

 このポストでは個々の楽曲のレビューはしませんが、2枚のミニアルバムのダイジェスト版を 340.29m/s のYouTubeチャンネルで視聴できますので、ソニパの楽曲のことをよく知らない人はぜひ聞いてみてください。ロゴ等のカッコいいエフェクトはまひろちゃん作なのでぜひそこも注目してほしいです。

 さて、1年分のセトリを改めて眺めてみると面白いことに気が付きました。ライブの1曲目に歌う曲とライブの最後に歌う曲を抜き出してみるとソニパがデビューして1年間の中で変化があったことが見えてきました。

↑ 340.29m/sのセトリから1曲目と最後の曲を抽出したグラフ.左から右に153本のライブが並んでいて,1本1本のカラーバーが1回のライブを示す.紫が1曲目に歌った曲,オレンジが最後に歌った曲,緑が最初と最後に2回歌った曲.1年間のセトリの傾向が見えてくる.

 このグラフを見るとまず、全体を通してジェンガではじまりBird Cageで終わるライブが多いことに気が付きますが、少し細かく見ていきましょう。

 デビューしてみわちゃんが加入するまでの約3ヶ月間はジェンガはじまりのBird Cage終わりか、Bird Cageはじまりのジェンガ終わりのパターンが多い中で、ENERGYはじまりやEARLY DAYS終わりが少し試されています。このころは持ち曲も少なく、その中でどういう風にライブを作っていくかという試行錯誤がセトリからも感じられます。

 みわちゃんが加入して2ヶ月ぐらいの間は「ジェンガサンドイッチ」と僕が勝手に呼んでいたセトリが続きます。ジェンガではじまり、ジェンガ終わる。めちゃくちゃ楽しいけど体力的にしんどいセトリです(笑)。このころにソニパの代表曲としてまずジェンガが定着していったような気がします。みわちゃんが全曲習得するまでは、ライブの一部だけみわちゃんが参加する変則体制でしたし、少ない持ち曲の中でできる曲が限られてしまうと、ジェンガに頼らざるを得ないという事情もあったのかもしれません。

 そのあと、2019年12月ぐらいまではジェンガはじまりBird Cage終わりかBird Cageはじまりジェンガ終わりで徹底されています。この間、モスキートーンやスライドブルーが加入し、持ち曲は増えたのですが、セトリの頭とお尻は一貫して固定していました。特にBird Cageで終わるというのは、ソニパのライブの形の一つとしてこのころにしっかり浸透した気がします。

 年の暮れが近づくと、EARLY DAYSはじまりやモスキートーンはじまりのライブが出てきて、セトリの試行錯誤が感じられます。年明けにはDROP LETが加入し、持ち曲は9曲になり、1つのライブで全曲やることがなくなっていきます。そして、個人的にはとっても印象的だったライブここで入ります。ソニパ定期ライブを兼ねた断然スリーマンです。イベントタイムテーブルとその日のセトリと僕のライブレポート↓

 この日のライブはホントに面白くて、終わった後に話したオタクはみんな口をそろえて満面の笑みで「楽しかった!!」と言っていました。この日の一番印象的な出来事はアンコール。ソニパのアンコールはそれまではジェンガが定番みたいな感じがあって、みんなアンコールしながら「ジェンガだろうなぁ」と考えてたと思うんです。そしたら鳴ったのはEARLY DAYSでフロアに歓声が上がりました笑。みんなEARLY DAYSをもう一回聞けるのがうれしかったみたいで笑。この日のEARLY DAYSはめちゃくちゃ良くて、エモくて、自分のライブ史に深く残るものでした。で、ライブ後にプロデューサーの中林さんがこんなツイートをしています。

「今日はもしアンコール来たらその時に一番歌いたい曲を歌いなさい。でした♪」

 この日、中林さんはライブ会場にいらしゃらなかったのですが、こんな粋な指示あります?メンバーはその時、EARLY DAYSを歌いたくて、フロアはEARLY DAYSを聞きたかった。気持ちが完全に一致して、ビックリするぐらいエモくて一体感のある空気が生まれたわけです。とにかくすごかった。

 で、セトリ考に戻ると、このライブ以降、2月に入ると圧倒的にEARLY DAYS終わりのライブが増えていき、またソニパのライブの新しい形が加わりました。僕はこの頃にEARLY DAYSがソニパのキラーチューンになったんじゃないかと考えていて、その一つの大きなきっかけが難波メレの断然スリーマンだったんじゃないかなぁと思っているわけです。

 実はソニパがはじまってすぐのころ、よく会場で会うオタクたちと「わかりやすいキラーチューンがないよね」って話をよくしていました。もちろんソニパの楽曲は良曲揃いではあるのですが「これ!!」っていろんなオタクが同意するキラーチューンと呼べるものはまだなかったような気がします。というか、それはライブを重ねる中で作り上げていくもので、ソニパにはまだそういう積み重ねがなかったわけです。で、ソニパ6曲目として登場したEARLY DAYSですが、最初の印象はソニパの楽曲にはなかったわかりやすいバンドサウンドの良い曲やけど、ソニパの代表曲!みたいになると思ってた人は少ないんじゃないかと思います。むしろ、ソニパの楽曲としては特徴が薄いぐらいのわかりやすいバンドサウンド。それがライブを重ねるなかでじわじわとEARLY DAYSの存在感が増していきます。秋ごろにはライブハウスでオタクとしゃべっていて、ソニパの好きな曲トークになるとEARLY DAYSを挙げるオタクが増えてきたような気がします。その傍証として、1st mini ALBUM「340.29m/s」の発売を受けて、まひろちゃんが2019年11月12日にオタクに問いかけたツイート「どの楽曲が好き?」のリプ欄を見ると、23人のオタクが曲名を挙げていて、うちEARLY DAYSが9票を獲得して一番人気でした。

どういうきっかけで、みんながEARLY DAYSを好きになっていったのか、とっても興味深いのですが、とにかく1st mini ALBUM「340.29m/s」が出て、秋が深まることにはみんなEARLY DAYSのことがすっかり好きになっていて、ソニパのキラーチューンとしての実績を積みつつあったように思います。そして、断然スリーマンでEARLY DAYSへの気持ちが爆発、その後、ライブのトリを務める大事な曲として定着していく中ですっかりソニパの代表曲になったんじゃないないなぁなんて考えているところです。

 2019年5月からライブをたくさん見て、間近でソニパの楽曲の「成長」を感じた一年でしたが、一番伸びたのはEARLY DAYSだったのかなぁと思います。セトリの分析をもっと細かくやってみたらそれぞれの曲の面白みがもっといろいろ見えてきそうですし、何より今!現在進行形でソニパのライブは動いていて楽曲の位置付けや感じ方が日々変わっています!特に新型コロナ自粛中にリリースされた2nd ALBUM「疾駆」の曲がめちゃくちゃ面白い仕事をしている!ソニパのセトリや楽曲について、他にもいろいろ考えてることあるんですが、それはまた今度!

ぽれもん

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