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デザインと絵画の研究
きたれ、バウハウス
新潟に観に行こうと思っていたバウハウスの展覧会、西宮市大谷記念美術館に巡回展がきていた。神戸でグレゴール・シュナイダーを見る前に立ち寄ってみた。結果としては、グレゴール・シュナイダーのインパクトが大きすぎて、鑑賞した実感が飛んでしまったような、もったいないことをしてしまった。
建築、家具、デザイン、タイポグラフィ、様々な影響を与えたバウハウス。開校100年の機会は、見直しのよいタイミングだという。
デザインを学ぶ、これほど体系立てていたこと、今のデザイン教育もあまり変わっていないという驚きがあった。
素材がどういうものなのか向き合う。
このエリアだけ撮影が認められていて、触ってもいい。歯ブラシの先だけを敷き詰めたもの、スパイクのようにビスを埋め込んだもの、同じ形、大きさで比べてみると、なるほど違いが明確になるし、ある素材と他の素材はどう違うのか、似ているのか、代替できるのではないか、いろいろなことに気がつく。
形の訓練もすごい。
形とは何か。基本的な形を組み合わせて、新しい形を作る。形は形から成り立っている。その基礎の形を観察する。そうしたデザインへの探求、体系化された教育。
イリノイ工科大学に思想は引き継がれたということで、単科なり聴講してみたいと思った。
デジタルの時代、バウハウスの教育はどうなっていただろうか。なんて”もし”を考えたりもした。
メアリー・エインズワース浮世絵コレクション
少し時間が戻って、8月に大阪市立美術館にメアリー・エインズワース浮世絵コレクションを見に行った。絵画をよく知るため。
初期の作品から北斎・広重まで。
膨大なコレクションの中から、展示する作品を選んだ。そこからは、作品保護のための額装の映像だとか。かなりのボリュームがある。
浮世絵は、絵本から文字が無くなり、絵だけを楽しむ習慣が現れたことから文化となった。従い、絵のモチーフは物語、だから人物が被っていたり、後ろを向いていたり、人物が途中で切れたりする。
暦としての浮世絵、これは出版禁止前につくられたもの。解説を見て、初めて文があることに気がつくもの、いろいろなモチーフを描くのを楽しんでいるようである。
紅嫌い。紅を使わずに表現した浮世絵がすごかった。文字通り、赤を使っておらず、それなのに、色が浮き立つような、鮮やかさがある。赤がないことによって、脳が赤を補完しているのだろうか...。
鈴木春信がすごい。
最低限の線で躍動感があり、すなわち物語がある。
かと思えば、沈み込むような黒を画面の大部分に使い、それが逆に表情を引き立てる。晴信すごい。
鳥文斎栄之の『風流やつし源氏 朝顔』、『御殿山の花見』の両作品。前者は紅嫌い、浮き上がるような鮮やかさがある。後者は花見の図、画面を横切る、黒の枝、これが画面構成を決めており、奥の水平線と海岸線、3つの線がバランスを保ち、調和している。安定感を感じる。
こうした、浮世絵の画面構成が一瞬の印象を切り取った印象派に接続したというのが頷ける。
そして、歌川広重の ベロ藍 である。
印象派が誕生したときは、浮世絵は、もっと色鮮やかだったのだろう。物語性は、例えばエドゥアール・マネ《フォリー=ベルジェールのバー》に影響を与えたのではないかと想像してしまう。ゴドフリーによれば、最初のコンセプチュアルアートとして、「コンセプチュアル・アート」に考察が掲載されていた。
写楽の奇抜さは、他の浮世絵と並べると際立つし、葛飾北斎が風景画を描いたのは、自分が描きたいから。それが、大衆に受けて爆発的な人気を呼ぶ。浮世絵は版元が売れそうなモチーフを絵師に要求するのが一般的だった。それをひっくり返すような葛飾北斎の富嶽三十六景、ひとつのジャンルである風景画を作った。東海道五十三次、江戸百景へと花開く。
さて、ミュージアムショップを眺めていたら、浮世絵の販売をしていた。アダチ版画研究所だった。
令和の時代の浮世絵は、ラメが入ったり、きらびやかに現代風になっているということ。たしかに、ビードロの美人画は、キラキラしていた。
紅嫌いは無いかと尋ねたら、単価が上がってしまうので、みたいなことを話していた...。
展示もされていた広重の猿若町の夜を買い求めた。
通常、浮世絵に影はつけない。ビードロ美人にも影がない。刷が一工程多くなってしまうから。この作品は月明かりを際立たせるもの、だから影が重要である。そして月にかかる雲、この雲の入れ方は刷り師に任されているということ。ここに刷り師のための余白を入れている。それが、この作品のいいところだと思う。
令和の版画、飾るところがないことが、悩み事。
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