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現代アート研究

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現代アートを学び始めた外資系IT企業のプリセールス。 難解な現代アートを探求する学びの記録。
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#アーティスト

2025年の卒業・修了制作展めぐりに向けて

2025年も卒業・修了制作展のシーズンになった。 ギャラリーをはじめてから展覧会を一緒に作ってもらえるアーティストを探す旅が始まった。2023年から積極的に卒業・修了制作展を見て回っている。卒展巡りは、2022年12月の東京造形大学と東京藝術大学の博士展がスタートだった。 僕の大学院の研究では既に価値が定まりグローバルに知名度が高いアーティストを研究対象にしていたため、見にいく展覧会なども限られていた。美大・芸大の卒業・修了制作展に関心がなかったわけではない。佐賀大学の卒展は

エンジニアとアーティスト

カンブリア宮殿のホンダ特集をみた。 エンジンのホンダと言われていたが、脱エンジンであるEVの開発へシフトする。そのシフトにあたってソニーと提携というメッセージから始まり、空飛ぶクルマ(ドローン)の課題を解決する技術開発などが紹介されていた。ここでの課題はバッテリー性能による航続距離の短さで、ホンダは、航続距離を400kmまで伸ばすという。その実現方法として発電しながら飛ぶハイブリッド方式というものを研究開発している。これは小型ジェット機の開発、自動車の開発などの研究ノウハウ

アートワールド2022

Artsyのまとめ記事が便利 一つ目のまとめは2022年のオークションについて、ウルトラ・コンテンポラリー・マーケットという表現に目が止まる。プライマリーで若手アーティストをコレクションする人たちが増え、そうしたアーティストの作品がオークションに出始めたらしい。オークションデビューと紹介している。 アーリーキャリアのアーティストがオークションに出始めて、それらアーティストは、展示歴、美術館収蔵品のリスト、そしてコレクターのウェイティングリストを十分に積み上げている。年の後

伊藤雅浩「絶対写真論 アルゴリズム・オブジェクトとしての写真へ」読書メモ

写真は、かくも深遠なものなのか。 何が写真となるのか。写真を取り巻く技術や考え方の変遷を捉える。 伊藤雅浩の絶対写真論 カメラでの撮影、現像、プリントが技術の進化や、アナログからデジタルへのシフトよって、技術から操作へと変遷してきた。撮影にあたり専門スキルが必要ではなくなる。つまり、デスキリングが行われた。 フルッサーの言葉を引用し、カメラの操作者(いわゆるカメラマン)ではなく、カメラを作った技術者がアーティストと呼べるのではないかと問題提起する。そこに疑問を持ち、それ

池上高志+石黒浩 『人間と機械のあいだ 心はどこにあるのか』 読書メモ

アンドロイド研究者の石黒浩と人工生命研究者の池上高志による本、両者は正反対の立場から生命とは何か、人間とは何かという点を探求している研究者である。 本書は2016年の実験「オルタ」について触れているが、オルタの報告というわけでもない。専門用語が出てくるが、論文というよりも広く一般に読んでもらうために書かれている。深慮が必要なテーマをとても軽快な言葉で綴っているため、肩透かしに感じるかもしれない。平易に読めるのは助かる。 アンドロイドを人間らしく見せるためにはどうすればよい