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【SB目線で観るモダンフットボール】20210828 Liverpool vs Chelsea

①本日のサイドバック

皆さん、こんにちは。Polar Bear(ポーラ・ベア)です。

今回は、現地時間2021年8月28日に開催されました、
Liverpool vs Chelsea @Anfieldの試合を分析していきたいと思います。

本日フォーカスする選手は、リバプールのトレント・アレクサンダー・アーノルド選手(以下「TAA」)です。

TAAのパフォーマンスや、この試合における役割&タスクを分析する前に、簡単に試合の概要をおさらいしましょう。

②試合の概要

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●フォーメーション:リバプール:4-3-3 /チェルシー:3-4-2-1

●個人的注目ポイント:
システムの噛み合わせが良くない中、お互いどのようにプレスをかけ、守るのか。

前半ハイライト:互いにインテンシティーの高い、ハイレベルな攻防

・試合開始から、リバプールが、チェルシーの3CBに対し、3トップで圧をかけ、全体的に前からプレスをかける、”リバプールらしい”展開。
Anfield開催であることも後押しし、敵陣内でプレーする機会が増える形。

・チェルシーは、ボールを奪取後パスを繋ぎ、リバプールの両サイドバックが上がった後ろのスペースを、R.ルカク&2シャドーで攻撃していくようなイメージ。

・前半22分、セットプレーから、K.ハヴェルツのヘディングで、チェルシー先制。

・試合の流れを変える、R.ジェームズのハンドによるPK献上&一発退場
→前半ロスタイム、M.サラーが冷静にPKを決め同点


後半ハイライト:トーマス・トゥヘルの強かな戦略と勝ち点へのこだわり

・1枚少ない&アウェイゲームのチェルシーは、割り切ってゴール前にブロックを引き、カウンターで勝ち越し点を狙う戦術。

・状況を考えると、チェルシーとしては、勝ち点1でも御の字であることから、トーマス・トゥヘル監督の”勝ち点”へのこだわりをひしひしと感じます。

・リバプールは、何度も攻め込み、惜しいミドルシュートを放つ場面もあったが、E.メンディのファインセーブもあり、勝ち越し点が取れない、フラストレーションの溜まる展開。

・最終的に、どちらも勝ち越し点を奪えず、試合終了。
この状況下でも負けなかったこと=勝ち点1を持ち帰ったことが、
現在のチェルシーの強さを象徴しているのかと感じました。

③TAAの役割とタスク

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※画像:twitter @TrentAA(https://twitter.com/TrentAA)より引用

さて、本題であるTAAの話をしていきましょう。
攻撃時の役割と守備時の役割を整理したいと思います。
(クロップ監督の考えは、クロップ監督にしか分からないので、
あくまで私見です。)

攻撃時の役割:右サイド&中央右レーンの司令塔

・ビルドアップ:
相手WBであるM.アロンソが、ある程度TAAまでプレスをかけてくることから、サイドに開いた上で、隣のJ.マティプと同程度のラインまで位置を落とし、ビルドアップをサポート。

位置を低くすることで、プレスを1歩2歩分避けることができ、
その間合いを活かし、得意の右足で、素晴らしいボール(パス)を供給しようというタスク/役割。

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・中盤&敵陣:
ここでは、ビルドアップで、チェルシーの前からのプレスを攻略した後の、中盤&敵陣でのプレーについて、述べていきます。

M.サラー、H.エリオットの位置を見極めて、両者がサイドに陣取っている場合、中央3レーンの右側レーン位置でサポート。

今回の試合では、特に、サイドに開くエリオットの位置を意識し、中央右レーンでのサポート→インナーラップを行っていたように思います。

中央に、彼のようにキックの精度の高い選手がサポートに入っていると、
サイドで仕掛けることができず、横パスで攻撃をやり直したとしても、
ミドルシュートや、浮き球のスルーパス等もあるため、ディフェンス側は息つく間がありませんね。

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守備時の役割:ハイプレスにおける司令塔

上述の通り、攻撃時には、H.エリオットの位置を意識し、サポート位置を変更していたように見えますが、守備時には、状況に応じて、H.エリオットに的確な指示を出しているように思えました。

相手のビルドアップ時、3トップを3CBにぶつけ、ハイプレスをかけている際、その強度に応じて、TAA自身がM.アロンソまでプレスに行くのか、もしくは、H.エリオットに行かせるのかの判断が素晴らしかったと思います。

その判断によって、M.アロンソが余裕を持ってボールを扱うシーンは少なかったように思えます。

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④TAAのパフォーマンス 
〜世界的なSBであることの再確認〜


上記の通り、TAAの役割とそのタスクについて説明してきましたが、
そんな理論的&戦術的な所だけでなく、やはり、彼のキック精度は非常に特別なものがあり、SBとしてワールドクラスだなと再認識いたしました。

(キック精度がワールドクラスだからこそ、上述の役割&タスクが遂行可能とも言えますね。)

”単純にキックが上手いよね”ではなく、少し深掘りをすると、様々な種類のキックの質が高いために、常人では見えないパスコースが見えていると感じました。

例えば、前半9分のJ.ヘンダーソンへの対角のパス。
結果的にゴールに繋がりませんでしたが、空間に落とすパスが上手い、
TAAだからこそ見えるパスコースであり、ストレート気味にバックスピンをかけたキックを選択しております。

TAAの代名詞である、インフロント気味のカーブの掛かったボールだけでなく、ストレートボールにおいても、高さ&スピード共に質が抜群であることが、このシーンから分かりますね。

もう一つは、後半12分(57分)のM.サラーとのワンツーの場面。
何気ないパスなので、あまりクローズアップされませんが、
ワンタッチパス&アウトサイドでこのパスがだせるTAAはさすがですね。

キックの種類と質が高いからこそ見える、空間的なパスコースです。


⑤最後に 〜プレミアリーグ300試合出場の経験〜

ここまでTAAの話をしてきましたが、最後に、チェルシーのRCB(後半:RWB)のC.アスピリクエタについても、触れさせていただければと思います。

※今後も、3バックシステムの場合は、両脇のCBまたはWBにフォーカスを当てたいと思います。

この試合で、プレミアリーグ300試合出場となったC.アスピリクエタですが、流石の経験値だなと感じる場面が何度もございました。

総じて目立ったプレーはしていないのですが、そこが最大の褒め所というか、ビルドアップでのミスもなく、S.マネ相手に、最後までタイトにカバーリングする等、随所に良さが際立っていたゲームでした。

通常のディフェンダーであれば、S.マネとマッチアップとなると、かなり苦戦するはずですが、相手のハイプレスも、状況によってはセーフティーに逃げ、S.マネの裏への飛び出しに対しても、先を読み、しっかりと準備をして対応しておりました。

プレー面だけでなく、ゲームが熱くなりそうな時に、レフェリーと味方の間に入り、キャプテンとして冷静にレフェリーと話す姿など、流石の応対でした。

このような堅実さがないと、レベルの高いプレミアリーグで300試合も出れないですよね。脱帽です。


以上、長々と書いてしましましたが、SBの魅力が少しでも伝わり、
次回以降の観戦の際に、ちょっとだけSBを意識していただけたら幸いです。


ではまた次回。
皆さん、週明けもお仕事や学校など、それぞれ頑張りましょう!



※画像:twitter @LFC(https://twitter.com/LFC/media)より引用※TACTICAListaを使用
   



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