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【SB目線で観るモダンフットボール】20210911 Leicester City vs Manchester City

①本日のサイドバック

皆さん、こんにちは。Polar Bear(ポーラ・ベア)です。


今回は、現地時間2021年9月11日に開催されました、
Leicester City vs Manchester City @King Power Stadium の試合を分析していきたいと思います。


本日フォーカスする選手は、マンチェスター・シティのカイル・ウォーカー選手(以下「K.ウォーカー」)です。

K.ウォーカーのパフォーマンスや、この試合における役割&タスクを分析する前に、さらっと試合の概要を振り返ります。


②試合の概要


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●フォーメーション:レスター:4-2-3-1 /マンチェスターC:4-3-3


●前半ハイライト:ゴールをこじ開けようとするシティと、一瞬の隙を狙うレスター


・試合開始から、シティが押し込み、ポゼッションを高め、守備面では、レスターのビルドアップを許さない、「前に重心をかけたプレス」により、シティがレスター陣内でサッカーをする展開。


・一方レスターは、J.ヴァーディーがシティ守備陣の一瞬の隙を狙おうと、虎視眈々と裏のスペースを狙う戦略。

実際に彼の裏への抜け出しから、クロスをあげ、H.バーンズが飛び込み、あと一歩というチャンスを作る場面も。



●後半ハイライト:オフサイドに終わったレスターのショートカウンターと牙城を崩したシティ


・後半開始早々の49分(後半4分)、中盤で、レスターのW.エンディディが、ボールを奪いショートカウンター。J.ヴァーディーが相手CB間に位置取った所から裏に抜け出し、GKを抜きネットを揺らすも、オフサイドの判定。

・以降は、押し込むシティと守るレスターという、前半同様の構図のまま試合が進み、ついに、62分(後半17分)、ミドルシュートのこぼれ球を、B.シウバが押し込み、シティが先制。


・その後は両者ゴールを奪えず、0-1で試合終了。


③K.ウォーカーの役割とタスク

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それでは、本題であるK.ウォーカーの話をしていきます。

攻撃時の役割と守備時の役割を整理したいと思います。

●攻撃時の役割:敢えて開かない、敢えて幅を取らない

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高校生の時の私もそう指導されましたが、サイドバック(SB)は、「攻撃時:サイドに幅を取る」「守備時:ピッチ中央に絞る」という動きが基本かと思います。


そんな常識を覆したのが、グアルディオラ監督が、バイエルン・ミュンヘンを指揮していた際に導入し、数年前からシティでも行っている、この「偽サイドバック」戦略。


今節でも左SBに入った、J.カンセロがこの役割をこなすことから、「カンセロロール」とも呼ばれている戦略ですが、この試合では、右SBのK.ウォーカーも、攻撃時、敢えてサイドに幅を取らず、内側のレーンに留まっております。(上図参照)


「偽サイドバック」戦略がチーム全体の攻撃にもたらすメリットは複数ありますが、シティの攻撃戦略の一つである、「ポケットを取る」ことにどのように繋がるかを紹介します。

※ポケット=相手ゴール脇のスペース



パターン1:インサイドハーフがポケットを取る


1. 内側に留まることで、K.ウォーカーのマッチアップであるH.バーンズを引きつけ、右WG(G.ジェズス)へのパスコースを空けることができる。



2. 右WGが少し位置を落としパスを受けることで、相手左SB(R.バートランド)を食いつかせることができる。



3. 上記2により、相手左CBと左SBの間のハーフスペースを味方インサイドハーフ(I.ギュンドアン)がランニングしポケットを取ることができ、左CBを引き出すことができる。(上図参照)




パターン2:WGがポケットを取る

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1. ディフェンスラインでボールを繋いでいる際に、右CBとはあまり距離を取らず、内側のレーンでボールを受けることで、右WGへのパスコースに角度を付ける。



2. 体を開き、右WGへのパスを準備。相手左SBがインターセプトを狙うような素振りで食いついた瞬間、相手左SBと左CBの間にスルーパス。
→ポケットゲット。



第2節のシティ対ノーリッチ戦では、パターン2の形で2点ほどゴールを奪っていたため、レスターも警戒したようで、今節ではあまりパターン2が見られず、パターン1がほとんどでしたが、選択肢を最低限2つ用意できるという意味で、非常に洗練されたシティの攻撃の形でないでしょうか。

※第2節 シティ対ノーリッチ戦 ハイライト
https://youtu.be/egtI9hRKEoY


まとめると、

●WGへのパスコースを空ける。

●WGへのパスコースに角度を付ける。

の2点がこのタスク/ポジショニングのポイントです。




●守備時の役割:強度の高い守備とカウンター阻止


K.ウォーカーといえば、前所属のトッテナム時代から、スピードを中心としたフィジカル面に絶対的な自信を持っていました。


当時は、攻撃時のオーバーラップと、その後の戻りで、試合中何度も長距離スプリントをしていましたが、シティ移籍後は味方を追い越すスプリント回数は減ったと思います。



一方で、この絶対的なフィジカル面のアドバンテージを守備時に効果的に活かしております。



レスター戦では、マッチアップのH.バーンズが後ろ向きでボールを受け、K.ウォーカーを背負っている際は、かなり激しめにチャージすることで、前を向かさず、相手攻撃を遅らせる重要な役割を担っておりました。



また、レスターのカウンター時には、攻撃時の内側に絞ったポジションニングから、素早く中央3レーンにスプリントして戻ることでき、相手のパス回しを外回りにさせ攻撃を遅らせる、もしくはボールを取り切っておりました。




例えば前半44分のシーン。


レスターはシティのサイド攻撃を凌ぎ、中央からY.ティーレマンスがカウンターを仕掛けようとしたものの、K.ウォーカーがスプリントすることにより、ボールをカット。


長距離スプリントではないため、あまり目立ちませんが、レスターのカウンター攻撃の機会を防ぐ、非常に重要な守備でありました。



④最後に


K.ウォーカーの特徴である、絶対的な対人の強さを適切に発揮するためのこのポジションニングは、より本人の自信に繋がり、パフォーマンスを向上させているなと、近年の彼のプレーを見ると思います。


トッテナム時代と比較し、プレーの幅が広がった彼の活躍に今後も期待です。


それにしてもイングランド代表は本当にワールドクラスな右SBが多く、代表監督にとっては、今後も嬉しい悩みが続きますね。




以上、長々と書いてしましましたが、SBの魅力が少しでも伝わり、
次回以降の観戦の際に、ちょっとだけSBを意識していただけたら幸いです。



ではまた次回。
皆さん、週明けもお仕事や学校など、それぞれ頑張りましょう!

※画像:
twitter @LCFC(https://twitter.com/LCFC)より引用
twitter @kylewalker2(https://twitter.com/kylewalker2)より引用
※TACTICAListaを使用


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