酷暑とコロナに阻まれて
中断
思えば、遅筆とは言え、身辺整理の件は一か月ほど筆を置いてしまった。まぁ、他では多少は書いていたのだけれど。
つまりは、作業が進んでいなかったのだ。
理由(言い訳)その1。暑過ぎた。
まず、手を付けようと思っていたのは実家の整理だったけれど、我が実家には冷房装置はあるものの、ここ最近は年単位で使用していない。
駄目だろう。長期放置のエアコン。
冷却装置が機能するかどうか極めて怪しいし、縦しんば機能したとしても、フィルター掃除だけでは、カビやダニの猛威を軽減することは困難だろう。
相当古くはなっているものの、扇風機だったら4台ある。そして、どれも動く。風は来る。電源コードが接触不良らしきものもあるけれど、コードの向きを変えたりして、最適のポジションで固定して、騙し騙し使えば動く。
ただ、旧式の扇風機は火災の原因になることが多々あると聞いている。モーター部分に積年の埃が詰まっていて加熱炎上したり、我が家の1台の如くに電源不良からショートしての発火だったりするのだろう。実際、使用した後にモーターカバーを触ると結構熱い。危険な雰囲気だ。
なるべく使わないのが賢明なのかもしれない。
更に、各部屋には網戸が取り付けられていない。全て外してしまって久しい。
かつては、夏の間は使っていたものの、外して汚れを落とした後、蚊もいなくなって、寒いから開けっ放しにもしない冬場には、再び埃などで汚れないよう外したままにしていたのだ。
当然捨てた訳ではなく、二階の物置部屋に鎮座しているので、必要とあらば改めて取り付けられるのだけれど、仮にそうしたとしても、窓を開けたぐらいの室内の換気だけでは、今夏の猛暑からは逃れられなかっただろう。
そんな訳で、猛暑・酷暑の中、冷房なしでの作業は、自ら熱中症の海に飛び込むようなものだと判断したのだ。
だから躊躇った。
理由(言い訳)その2。新型コロナがここでも立ち塞がった。
ここで「も」と言うのは、別のところで書いている、音楽ライブの楽しみを奪われたこと等々、2020年は新型コロナ憎しの年となっている。
そんな状況の中、またもやコロナが予定を狂わせてくれた。
具体的には、まずは大物からいろいろと捨てようと思っていたのに、市の粗大ゴミ受け入れ窓口が暫く閉じてしまっていたのだ。
そしてその後、再開はしたものの完全予約制だった。足繁く持ち込みたい者にとっては、いちいち予約しないと持ち込めないことは、案外小回りが利かない。
一気に片付けようとしてトラックを借りて持ち込もうとすれば、業者お断りの市民用窓口的には好ましくないらしい。
こういうことを気にする性質なのだ。
それに、そうでなくても日頃から持ち込み用の受け付けは混んでいると承知している。そんなところに一気に大量に持ち込むことは、市の担当者にとっても、同時刻に持ち込んできた他の人にとっても、迷惑か嫌がらせになりかねない。
と言うか、間違いなくそうなる。
そんなこんなで、やはり躊躇っていたのだ。
ところが先日、市の公式サイトでゴミの分別の仕方を調べていて偶然にも発見。実は、従来通り、2か月程前から予約なしの受け付けに戻っていたのだ。
しくじった。
あまり熱心に市の広報を読まない自分が悪かったのだから、誰に恨みも言えないけれど、2か月ほど行動が遅延してしまった。
もっともこの間、それ以外にも更に多大な影響を受けている生活上の変化があったりしたので、リアルタイムで情報キャッチしたとしても、即座に行動出来ていたかどうかは怪しいところだが。
ずらずらと(言い訳を)書き並べてしまったけれど、結果、ここで改めて実家の整理を再開したいと思うに至った訳である。
領収書の束
そうは言っても、僅かながら進めることが出来たこともあった。折角行動したのだから触れておきたい。
年賀状の処分に悩んだ際に、結局シュレッダーで処理するしかないだろうという結論に至った。まだ手を付けられずにいるのだけれど。
猛暑のせいでもコロナのせいでもない。また別の事情があるのだ。話が拡がり過ぎるのでその顛末は省略するけれど、兎に角それっきりになっている。
ただ、あれも出来ないこれも出来ないという状況ではあったものの、結果として少なからず時間的余裕が生まれた訳で、暑さの和らいだ夕暮れとかには、ふと「何か少しでも出来ないものか?」と考えていた。
そんな時、実家で何気なく室内を見回していたら目に付いたものがあった。
領収書の束だ。
実家を引き継いでから、光熱水費は勿論自分で支払っているのだけれど、チェックしやすいようにとの思いから、口座引き落としにすることなく、都度コンビニで支払って来た。
目の前の箪笥の上に、その領収書類が山積みになっていたのだ。
以前から気にはなっていたけれど、支払額を押さえておきたい気持ち半分、そういうものを捨てられない性分であること半分で、毎月積み上げ続けていたのだ。
この際、よく考えてみよう。
要るのか?これらは。何かに使うのか?これらを。
答えはNO!でしかない。とは言え、全部一気に捨ててしまうのは、後になって未払い疑惑みたいなトラブルが起きた際に、自力で証明出来なくなってしまう。(そんなことは滅多にないとは思うけれど)
なので、1年分だけ保存しておくことにした。あとは綺麗さっぱり廃棄だ。
ただし、住所氏名という個人情報が記されているのは気になる。
別段、それが路上を舞ったところで大きな被害を被ることもないのだろうけれど、防げるのだから防ぐに越したことはない。だから、シュレッダーに登場してもらうことにした。
既に、自宅にあった書類の数々を終活の手始めとしてシュレッダー処理していたので、我が家の家庭用シュレッダーの処理スピードは心得ていた。
けれども、実家においてある機種と自宅の機種は異なる。実家にあるものの方が廉価版。やはり少なからず安いものは性能が劣るのだろう。
実際、処理後の紙は実家の機種の方が粗い。単に縦方向に裁断するだけの激安機種よりはいいけれど、横方向の裁断もこちらの方が粗い。
ただし、スピードは変わらないようだ。目の前の領収書の山の処理は3時間ぐらいで終えるように思えた。
ところが、目論見は目論見であって現実のものになるとは限らない。
やりはじめてみれば、シュレッダーの投入口に、次から次へと無造作に投入する訳にもいかず、関係ないものが混入していないかとか、1件1件確認してしまう。
そもそも、確認した方が良いと思うし。
そして、時系列に沿って規則正しく積んでおけば良かったものの、思いの外ランダムに積んであったのだ。
自らの性格を自己分析するに、整理整頓とかファイリングすることは好むところではあるものの、いまひとつ一貫性に欠けるところが弱点なのだ。
つまりは、整理整頓しているようで出来ていないのである。何かにつけて。
結局、3時間かかって領収書の山の3分の2ほどを処理し終えた。
用意していた45リットルの袋はほぼ満タンに。頭痛がするし、古いインクでかぶれてしまったのか、指先が妙に痒い。
あと一時間かかるだろうか。やはり、、目論見は目論みに過ぎなかった。
あとは明日の作業とすることにしよう。
※後日談:結局、また暑くなったりして数日後にやっとこさ完了。
ついに布団に着手
領収書の整理は挨拶代わりのジャブみたいなもの。一軒の家の片付けの序章にも満たない。
市役所の粗大ゴミ持ち込みが再開したのだから、以前ここで書いたように、2階の部屋の床が見えるようにしよう。
そう、次なる一歩は布団の整理に着手すること。
とりあえず、2階に上がる。布団は2階の二部屋に置いてあるので、それらを全て1階の玄関脇の部屋に移動してから、積み込む順を考えることにしよう。
実家の階段はストレートタイプ。一般的な(一昔前の)日本家屋の標準的なサイズと傾斜だ。
階段途中にも、いろいろと物が積んであったので、まずは安全のためそれらを撤去する。撤去と言っても階段脇に積んでおくだけだけれども。
そして一つ目の部屋から。
こちらの部屋には、一番最近まで使われていた布団類が、予め設置されていたソファーベッドの上に積んである。
一度に2・3枚運びたいところだけれど、無理して躓いて階段を転落し意識を失おうものなら、倒れているところを発見されるのは、早くても夜になるだろう。
今は自宅も含め、皆出掛けていて自分一人しか居ないのだ。
ここは危機管理的に、一度に1枚ずつ運ぶこととする。
ふっくらと分厚い布団、使い込んで薄くなった布団、上掛け、マットレス。資源ゴミの日に布として収集される毛布やタオルケット類は脇に外し、粗大ゴミ扱いの物だけを階下に運ぶ。
階段を数回往復し、一部屋目が完了した。
そして、もう一つの部屋の方に、従前から問題にしていた床置きの布団類がある。
布団の上に更に積まれていた枕や座布団、座椅子などを隣の部屋へと移し、先程と同様、布団類のみを1枚ずつ階下に運ぶ。
ひとつだけ、大型の分厚いマットレスがあった。昔テレビで宣伝していた特殊なマットレス。今も同様の機能のものは売っているけれど、技術の進歩でかなり薄型になっている。高かった品物ではあるが、もう使うことはないだろう。
捨てる。
中にはまるっきりの新品もあり、それは自分で使ってもいいかなと思い、2階に残した。
そして、階下に降りる。既に2階まで何往復したことか。
結構、脚に来ている。
以前にも書いたけれども、1階の押し入れにも布団類があることは承知している。勿論、同時に整理しないと。
押し入れを開ける。思いの外、ここに入っている布団類は少ない。むしろ毛布類が多いようだ。
几帳面に布でくるんであるのは亡き母の仕事。それを開けて中身を確認する。やはり毛布類が多かった。
布団類のみを隣の部屋に移す。
これで全ての布団類が玄関脇の部屋に出揃った。合わせて14枚。
このことも以前に書いたけれども、我が愛車は軽自動車である。つい最近までワンボックスタイプに乗っていたのだが、エンジン不調等々のため、最近セダンタイプ(と言っても軽だから2ボックス)に買い替えたばかり。中古から中古への買い替えだけれど。
そんな訳で、後席をたたんでも荷室は相当に狭い。高さもない。5枚は積めるかなと見込んだが、実際には頑張って6枚積み込んだ。いや、詰め込んだ。
愛車の車内は後ろ半分布団で満たされた。
古い布団の香りに包まれながら、愛車を市の粗大ゴミ受付へと走らせる。ほんの数分のドライブだ。
そして、無事現地に到着。平日の正午より少し前。先客はいるものの、ガラガラに近い2・3人待ちだ。
順番が回り、担当者が用意した台車に布団類を積み込み、簡単な手続き書類に記入する。
手数料は300円×6枚で1,800円。安い。自宅まで取りに来てもらうとなると倍以上かかってしまう。やはり持ち込まない手はない。
引き取りはあっという間に完了した。すかさずトンボ返りして、第2便を積み込む。
残るは8枚。一度に積めるかどうか。特に、あの大物マットレスが残っている。
気合とともに荷室に7枚を詰め込んだ。そう、やはり積み込みではなく詰め込みだ。
あと1枚。なんだ、助手席があるじゃないか。最後の一枚を助手席に鎮座させ、詰め込み完了。
2往復で済んだ。
2回目の持ち込みは300円×8枚で2,400円。1回目と合わせて、4,200円で無事布団の整理は完了した。
やってしまえば2時間程度の作業。酷暑の最中でも出来たのか?
いや、きっと熱中症の海に、肩まで浸かってしまったに違いない。逃れようがなかっただろう。
かくして、2階の床は、少しだけ見えるようになった。
次はどこに、何に手を付けたら良いものか?