#持続化給付金について
コロナ禍に苦しむ中小事業者に現金を支給する「持続化給付金」を巡り、経産省は給付事業を「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」に業務委託することになったが、入札の経緯が不透明である。業務委託に関して、官が民間の力を借りること自体は理解できるが、問題はやり方だ。
入札について
今回の入札は、価格だけでなく、提案内容なども加味して決める総合評価方式で行われた。不正の温床になり得る仕組みなだけに、文書の開示等で透明性が求められる。
ところが、経産省は協議会の応札額しか公表していない。応札したデロイトトーマツの提案書と応札額は非公開である。これでは適正な評価で委託が決まったのか、外部からの判断のしようがない。
「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」は約769億円で受注したが、このうち97%にあたる約749億円を電通に再委託していた。また事業は電通からさらに子会社などへ再々委託されている。業務委託の全体像が何とも不透明である。直接電通と契約すれば良いのではないのか。
業務の再委託について
経産省と協議会の契約では、業務をまるごと再委託することを禁じている。ところが、協議会が再委託した額は全体の97%だ。不自然で、契約に違反しかねない受注形態である。また、下請けが増えるほど、経産省がお金の使い道をチェックしにくくなる。実際に事業を委託された企業に対し、補助金の公正な使用を求める補助金適正化法の直接的なコントロールが及ばない。
一般社団法人サービス推進協議会について
サービスデザイン推進協議会は、2016年5月に設立された一般社団法人である。広告代理店の電通、人材派遣会社のパソナ、及びITアウトソーシング会社トランス・コスモスによって設立された。
また、一般社団法人なので非営利団体である。今回の20億円の差額を事務処理にかかる手数料や職員の給与などと説明しているが、納得できない。
協議会は、経産省の入札に過去4年間で15回応札し、このうち14回と非常に高い確率で受注してきた。政府と近い業者に不当な利益が流れているのではないかとの疑念を持たれてもやむを得ない。
公金を動かしているのに責任の所在もよく分からない。この仕組みが無駄な費用や非効率の温床とならないのか。
持続化給付金に対しては、申請から給付までに時間がかかり、中小企業から悲鳴が上がった。中小企業の危機に乗じて、大企業が過大な利益を上げる仕組みのようにも映る。