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芸術と体験
2008/02/09 No.21の便りを改変
★声の重要性
趣味で歌を習っています。
マイナーな専門職なので、通勤1時間かかかる職場を選ばざる負えないことがあるわけです。そうなるとこの1時間を何をしようか、車の中で歌の練習でもすれば、いいんじゃないか~と、習ったのがきっかけです。もしも私が車の中で大声で歌ってるのを見かけても、いつものことですから気にしないようにしてくださいね。(*・・*)
音程は、合唱団に所属している娘によく「違う!」と指摘されるので自信はないんですが、声を鍛えていることで結構いい声が出てるようで、講師をしたときにほめてもらったことがあります。
声というものは、自信がないと声が小さくなったり、うらがえったりしますし、逆に自信があったり楽しかったりすると大きい声になる。「声」はかなり感情に直結しているものですね。
表現アートセラピー入門(小野京子著)の中で、声による表現について説明されています。
「声を出すことでいろいろな感情が解放されて自分の中の隠れていた感情に触れることができる。」とあり、アートセラピーの中では、様々な声を使った表現方法が工夫されています。著作の中で、声楽家の方が「声は自分の『見えない手』」と言われたことが紹介されていて、的確で素敵な言葉だな、と思いました。
歌を習い始めてから、「声を出すのは自己表現だ」ということが実感できるようになりました。歌っているうちにスッキリしていく感覚があるのです。
子どもの習い事だったら、多少なりとも将来に役立つとか競い合うとか、あるのかもしれませんが、大人の習い事なので、よけいに楽しくできたのかもしれないです。
何度歌っても楽しいけれど完全に満足はしない。「偽らない等身大の自分というものの声」が素直に出せたら、きっと気持ちがいいのだろうな、一人一人がそんなタイミングを目指していると感じることがあります。
★自分の中核に触れる芸術表現
音楽教育の中では、合唱や合奏などで感受性、こころの部分を大切にして表現させようとしているそうです。
曲を聴いて、その中でいいと思ったところをとりあげ、その部分に感じるイメージや感情などをしっかり高めてから、演奏や合唱をする・・・その作曲者に共感するような形で、音楽を体験するのだそうです。(音楽の先生に聞いたことを自分なりに理解したのですが、さすがに専門的すぎてわけわかりませんでした~ちょっと違うかもしれません。)
「こころ」と音楽が、しっかりと結びついていて、音楽の教育方法や表現方法の中で取り入れられているのだと思います。
著名な中井久夫先生は、芸術療法の著作を多く執筆されていますが、音楽療法は理論化が難しいが、人は確実に音楽に治療的効果を感じている、とい書かれているのを読んだことがあります。
芸術表現法は、今まで病院や教育の一部にしか使われていなかったけれど、近年は一般の人の「自己啓発として創造性をのばす方法」として、また「心の健康のためのストレス軽減」にも、広く活用され始めています。
人は表現を欲する生き物だということをよく聞きますが、表現というのは自分との対話なくして成り立たないもののようです。癒しは、自分の中にある強さや喜びに触れるところから起こる、という言葉もあります。
大人の習い事は、うまい下手を気にしなくてもいいと、思えるようになってからが、面白いのかもしれません。
自分の中核に触れる体験として、余裕があれば芸術系の趣味を持ってみませんか?この時期よくある光景として、子どもの卒業式などに参加される方が居たら、久しぶりにちょっと歌ってみて、表現を楽しんでみるのもいいかもしれませんよ。
ゆかり
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今も歌う習い事をしていますが、当時はゴスペル、今は民謡を習っています。中井久夫先生の著作をもうちょっとたくさん読んでから書きたかったなと思ったりしました。