時間が解決してくれるという言葉について


「時間が解決してくれるよ」

何かを失って落ち込んでいる時、この言葉を使う人が一定数いる。

この言葉は私にとってこの世で嫌いな言葉ランキング3位以内に入る言葉だ。

大失恋した当時の私は、「失恋から立ち直る方法」を検索する度にこの言葉にぶち当たり、時間が解決してくれるなんていつだよ、今すぐ解決しろや、時間頼みなんて甘いし軽々しく使ってくれるなよと思っていた。

けれど、振り返ってみて「時間が解決することもあるんだな」と思ったことがあったので、今回はこの言葉が嫌いな理由と考え方が変わった経緯について書いていきたいと思う。


●「時間が解決してくれる」という言葉が嫌いな理由
この言葉が嫌いな理由は様々あるけど、大きく挙げると、
・どのくらいの時間がかかるか自分にとっては想像がつかないから
・とにかく今この辛さから一刻も早く抜け出したいのに時間が解決してくれるのを待つなんて耐えられないと思うから
・時間頼み、他力本願な感じがするから
・「時間が解決してくれる」という言葉で片付けられる感じがして納得いかないから

大体こんな感じ。
自分で打ってても、つくづく私はめんどくさい人間だなと思う。

大失恋した時、私は本当にどん底で体重も5キロ落ちた。復縁も望んでいたし、彼がいないこの日々をどうやって過ごしていけばいいんだろうと思っていた。
執着や自己肯定感だだ下がりだったんだと思う。
そこから抜け出した話はまた今度書きたいと思う。

そんな毎日枕を濡らして眠るどん底の中、「時間が解決してくれる」という言葉を聞いて

『時間が解決してくれるって簡単に言わないでほしい、何時間、何日、何年?どのくらいで解決するっていうの?この悲しみから抜け出せるっていうの?』

と西野カナもびっくりな失恋ソングが書けそうなレベルだった。

苦しい時は、今すぐここから抜け出したいと思う。だからこそ、時間が解決してくれると言われると、まだ苦しまなきゃいけないのか、その時がくるまで耐えなければならないのかと途方に暮れるからこの言葉は呪いにも感じるのだと思う。


●「時間が解決してくれる」という言葉を理解出来るようになった経緯

では、なぜ私がこの言葉を多少は自分なりに咀嚼し飲み込める部分もできたのか。

それもやはり「時間が経ったから」なのである。

暗記パンでもない限り、人間誰しも思い出は一分一秒全て覚えていることはできない。
女性だと「あなたは〜年前のデートでこんなことをした」と事細かに覚えてはいたりするが、それでも忘れることは忘れるのである。

失恋する数ヶ月前〜失恋して半年は本当に辛くて、週に1回はわんわん声に出して泣いていたせいか、5キロ痩せたせいか、右目の瞼が三重になって今も前のような二重には戻らない。ちなみに胸も2カップ落ちた。

付き合っていた頃の思い出も鮮明すぎて、相手の言葉やLINEの内容も事細かに覚えていた。

そんな未練たらたらな日々だった。
でも仕事はあるし、お金を稼いで生活しなければならなかった。
あとはただ落ち込んでるのも癪なので自分磨きもした。
そうしてるうちに、リアルタイムのように出てくる記憶が少しずつ思い出になって懐かしむようになっていった。

当時はあれだけ早く過ぎてほしいと思っていた時間も、最近はあっという間である。

「最近昔のことを思い出して苦しくなることが減ったな」と感じることが段階的にある。
この間よりも楽、を更新している感じ。
そんな中で、時間は本当に誰しも平等にちゃんと過ぎていくんだなと体感していった。


●時間が解決してくれるという言葉の本当の意味

大抵の事は本当に時間が解決してくれる。

腸が煮えくり返る人や思い出も、離れて時間が経てば引きずるのももったいなくなってどうでも良くなる。
なんならそれなりに元気でいたらいいなと思うこともある。二度と会いたくはないけど。

良い思い出も、都合のいい部分だけ栄養として引き出せるようになって、あとは消化される。

ただし、これは「解決してくれる」のではなく、許せない気持ちが和らいだり辛い記憶が薄れたり、「今」のことを頑張る、楽しむ余白をくれるということだ。

なので、私は「今」が辛い人にどれだけかかるかも分からない「時間が解決してくれる」という言葉はかけたくない。
私が辛い時もやはり聞きたくない言葉であることは今でも変わらない。

ただ、解決には長くも短くも必ず時間が必要なのだ。
なぜなら、時間だけが解決はしてくれないように、「一発逆転の解決方法」はこの世にひとつもないから。

苦しみや辛さに打ちひしがれた日々が積み重なって、戻れない過去を惜しみ、今ある瞬間を少しずつ大切にできるようになる。戻れない過去にすがるよりも、今を少しでも楽しく生きれる方がいいと思えるようになる日は遅かれ早かれ来ると信じて過ごしていくしかないのだ。

「時間が解決してくれる」という言葉を使う人も、私の知らないところで辛い出来事を時間と共に乗り越えてきた経験があるのだろうと思えるくらいにはなった。
たまに考えなしに使ってくる(と思えてしまう)人もいるので、そういう人は一瞬でスルーを決め込むことにしている。


●「今」が辛くて「未来」を信じられなかった私と渦中の人へ

世の中には時間が解決してくれることとそうでないことがある。
時間薬の効果を体感した今も、基本的に何かを乗り越えるのに必要なのは「時間と行動」だと思っている。

「時間が解決してくれる」という言葉が信じられないくらい「今」が辛い人に私がかけられる言葉があるとしたら、
「今は沢山泣いていいし落ち込んでいい。そうやって自分と向き合ってなんとか過ごしてきた時間が、必ずあなたの栄養になるし味方になってくれる。」

そんな風に言ってあげたいし、新しい1歩を踏み出せるようできる限り応援したい。


どんなに楽しくても悲しくても嬉しくても苦しくても、時間は止まることなく進み続けてしまう。
だからこそ、立ち止まりながらも私も皆もそれぞれの愛おしい瞬間を重ねていけますように。




いいなと思ったら応援しよう!