コーカサスから中東へのバイク旅行 (その104)
2023/11/4 (その2)
実際のところ、自分はこの状況によってひどく落ち込むこともなく、逆にジェットコースターのようなこのイラク旅行中の突然現れた何もしなくて良い時間を満喫していた
何しろ時間になったら飯が出て、それを食べたら寝たり言葉が通じないなりにイラク人達とふざけあったりして過ごした
ここが留置場だということが信じられない位穏やかな時間を過ごせた
他の囚人たちも仲が良く、総じて陽気なイラク人達
静かなパキスタン人達
部屋で寝る位置はきれいに分かれていて、入り口側はイラク人、トイレ側はパキスタン人と自分
トイレ側は出っ張ってスペースが狭くなっている分、数の少ないパキスタン人がそちら側になっているのは合理的
きれいに分かれているのは、仲が悪いわけではなく言語の問題があるために、別れているだけで友好的な空気だ
そうなっている立役者はその間を取り持つ1番陽気なアミル
アミルは非常にコミュニケーション能力が高くムードメーカーであり、看守との橋渡しもやっていて、看守たちからも評価されて居るようだ
タバコが必要なら箱でもらってあげるよと細かい気配りもできる
何かと、気を遣って自分を助けてくれた
彼には感謝している
彼はもう拘留されて20日経つらしい
本当かどうかわからないが、彼が言うにはあと10日で強制送還になるそうだ
逆に彼にいなくなられると、看守たちが困るので、刑期が伸びたりしないのかな
この国なら充分あり得るゾ〜
気をつけて〜アミル〜!
イラク人側にも負けず劣らずムードメーカーがいて、40がらみのおじさんがいる
イラク人囚人の中の中心的人物でいつも何やら適当なことを吹いて周りを笑わせている
自分が起きているときには、いつも歌を歌ったり拍子をとって踊らせようとしてくる
適当に、日本の盆踊り的な動きで踊って見せたら、それが彼らには面白かったらしい
自動車の修理屋をしているらしく、仕事を聞かれたときにエンジニアだと言ったら、俺のところで一緒に働こうと誘われた
いやいいや、エンジニアでも畑違いだから
自分が来たときに1番奥でずっと寝ていた。ガタイの良いイラク人は警察官と言うこれまた変わり種
同じ警察官同士、逮捕されちゃうんだ
何やったんですか?お兄さん
喧嘩で捕まったってここに収監されているらしいが、いたって温和な感じの人で部屋の1番奥を陣取っている者同士仲良くやりましょうや👍
ちなみに、この房の中の1番最年長は自分で
次が警官、修理屋となっております
話の都合上、次はこの中の自分以外の唯一眼鏡属性の長身の若者を紹介しなければならない
身長は高めだが痩せてかなり華奢な風貌の坊主刈りの青年
ちゃんと教育を受けてきた人間の雰囲気を持っている希有な存在
中性的な雰囲気で、気になるのは先程の警官といつも寄り添っていて、そちらの方を見てはいけないんじゃないのかって言う気がして、意識的にそちらは見ないようにしていた
まぁ、世の中の流れはSDGsらしいのでそれはそれでいいんだろう(何言ってんのか自分でもよくわかってない)
そんな彼がなんで喧嘩でパクられてるのか不思議だ
そして高校生ぐらいの若者2人
彼らは自分たちの知らない奇妙な動きをする外国人に興味津々
また変な踊りをしないか、いつもキラキラした目でこちらを凝視している
可愛いんだけど、あまりずっと見られても居心地が悪い
2人よりちょっと年上っぽい、いつも眠そうでほとんど表情が動かない少年がいて、周りも言っていたが、彼は食事をするかそれ以外の時は寝ているらしい
最初知恵遅れかな(これって今は差別用語だっけ?)と思ったが、そこに収監されている間に
原因はわからないが、仲間に何か言われたかでちょっと怒っていたのか急にアクティブになることがあって、もうこれは怒らせると怖いタイプだなと思った
他にもメッシとあだ名で呼ばれていた人と南部出身かなと思われる肌の浅黒い彼は進んでアラビア語の拙いパキスタン人とも交流を取っていた
パキスタン人達は総じておとなしいが彼らは彼らでそれぞれ独特なキャラクターを持っていて、背が1番小さくて歳若い子はマッサージの特技を持っていてイラク人に頼まれて、マッサージをしてやったりしていたし、ぼーっとしているあまり表情に変化がない彼はアミルが1番心を許していそうな友人のようだ
自分に1番奥のスペースを譲ってくれたパキスタン人も朴訥とした雰囲気で表には出ない目立たないところで1番大変な仕事を黙々とこなして文句も言わない様なこの中で1番大人な性格の人もいた
記録する手段がないので、名前も聞けずじまいだった(聞いても忘れてしまうだろう)が、とても居心地の良いそんな留置場生活だった
可能なことならば、堀の中ではなく外でまたみんなで再会してみたいと思うがそれは不可能だ
今日は日暮れ前に運動タイムがあった
部屋を出させて、留置場の建物の横の細長い柵で囲まれたスペースで運動不足解消のために1時間ほど行われる
出された囚人たちは、その細長い通路を行ったり来たりして運動する
囚人たちが部屋を出ている間に当番が決まっているのかわからないが、数人の囚人のマットレスをめくって、床を洗剤で洗ってワイパーで水気を取ったりする作業を行っている
自分の持ち込んだタバコはもう切れてしまっているので、同室の囚人にタバコをもらって一服
このころには図々しくなっていて、他の囚人にタバコを集ったりするようになっていた
囚人たちも優しくてこちらが言わなくても、タバコを勧めてくれる
ここの留置場は、2つあって同時に外に出される
別の房の人たちとは初対面だが、やはり皆普通の人に見える
ただ、その中に1人だけゴールドのリングのピアスを耳に付けている顔に数カ所生傷がある男は違う雰囲気を持っていた
これは本物だなぁと思ったが、向こうもおかしな奴がいると思ってかこちらを見ているので軽めに挨拶をしておいた
やばいやつは、雰囲気が出てるんだよね
何か仕草が爬虫類みたいで
掃除も終わって部屋に戻り、マットを元に戻す前に夕食が届いて、みんなで1つの大皿を囲んで食事をとる
この頃には、自分も全く何の抵抗感もなく、みんなに混じって手づかみでおかずをすくいパンに巻いて食べるようになっていた
みんな一斉に食事を取るわけではなく、自然にそうなったのか、イラク人グループの食事とパキスタン人の食事と時間差をつけて別れてとっていた
日本人の自分にはわからない。何か都合があるのかもしれない
自分はどっちにも混ざるけどね😜
といっても、2倍食うわけじゃないけど
食事の時にどちらからも声がかかるから断れないから2回に分けて食べている
そんな穏やかな獄中生活も信用ならない警官の言う通りならば、明日解放されるのか?
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