見出し画像

心から笑える、ステキな未来に向かって―TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』3期第1話「私の決めた道」

 2024年10月6日、待望の『ラブライブ!スーパースター!!』TVアニメ3期がスタート。ようやく結ヶ丘に新しい春が来ました。というわけで、これまでのように各話の感想を毎週書いていこうと思います。
 結論から言いましょう。私の期待どおり、いやそれ以上のものでした。やっぱり『ラブライブ!スーパースター!!』という作品が大好きなんだと、さらにこの作品への想いが深まりましたね。居ても立っても居られず、沼津から100km離れた渋谷まで日帰りで行ってレンタルスペースで視聴してきたほどですが、そこまでやった甲斐があったというもの。そんな素晴らしい未来への予感を受け取った第1話、振り返っていきましょう。

1期生の成長とこれから

 ウィーンに行けなくなってしまったかのんとマルガレーテは一旦置いておいて、まずはLiella!として残った1期生4人を見ていきましょう。それぞれの言動から、成長とこの先の展開が垣間見えましたからね。

唐可可

 サラッと流れつつも非常に印象的だったのが、部長の千砂都と一緒に新たな練習メニューを考えていたということ。結ヶ丘に入学した当初は一番体力がなく、2期第4話でも体験入部の四季に柔軟性でボロ負けだった可可ですが、フィジカル面でLiella!を引っ張ってきた千砂都とこんなことをするなんて…。2年という期間で大きな成長を遂げた証ですね。
 かのんの決断をまだ上手く飲み込めないようでしたが、それもそのはず。可可にとってのスクールアイドルは「みんなで楽しく歌いたい」(2期第9話)ですから。ラブライブ!で結果が出せなかったら上海に帰る、という大きな壁を突破したわけですが、そもそもこれこそが可可にとっての憧れであることは今でも変わりないのです。その夢をどのように叶え、その先に何を見るのか――これが3年生として再度のラブライブ!優勝を目指す可可のゴールになるのではないのでしょうか。

嵐千砂都

 最も想いが強いかのんについてはもちろん、部長としてLiella!がより成長する方向へ舵を取ってきた千砂都。かのんを送り出して遠くから支えるという決意を固めたことで、強くあろうとする想いは一層深まったのでしょう。マルガレーテからの宣戦布告を受けても、それをかのんに伝えることなく「Liella!は今年も優勝するよ!」とメッセージを送っていて、心配をかけまいとする気持ちも伝わってきます。

「行くの?マルガレーテちゃんのところに。」
「…分からない。」
「フフッ。そういうことか。」

『ラブライブ!スーパースター!!』3期第1話「私の決めた道」

 結ヶ丘に残ることをLiella!には伝えられずにいたかのんですが、最終的には千砂都にだけ一足先に事実を明かしていました。その代々木公園での会話は非常に印象的ですね。千砂都なら背中を押してくれるだろうという、かのんからの信頼が伝わります。ここから大きな決断へと繋がっていくわけですが、それはかのんと千砂都が互いに支え合ってきたからこそで、強い千砂都がいたからこそかのんも強くなれたのだと、そしてこれからも固い絆で結ばれ続ける2人なのだと感じられた第1話でした。

平安名すみれ

 誰にも認められず苦しんでいたところから、Liella!のメンバーとして救われ、そして誰よりも仲間を支えることに尽力してきたすみれですが、その変化が感じられたのは、中庭での恋とマルガレーテの会話に割って入るシーン。

「ちょっと!もう少し言い方があるんじゃない?一緒のステージで競い合った相手にわざわざ手を差し伸べてあげているのに。」

『ラブライブ!スーパースター!!』3期第1話「私の決めた道」

 このセリフ、個人的にはかなり違和感がありました。というのも、2年前に同じ場所で繰り広げられたやり取りと、どことなく重なるからです。

「お、同じクラスの、平安名すみれちゃん…だよね?突然なんだけど、ス、スクールアイドルに興味あったりしない?もしよかったら…」
「私を誰だと思ってるの!?」

『ラブライブ!スーパースター!!』1期第1話「まだ名もないキモチ」

 入学当初すみれが不機嫌だった原因は明かされていないものの、個人的には「結ヶ丘の音楽科に落ちた」からだと考えていて(すみれの背景を考えれば当然音楽科を目指すはずなので)、だとすれば同じ「選ばれなかった」立場のマルガレーテへの声のかけ方としては悪手。実際そこもマルガレーテに突かれているわけですし。にも拘らずこのように言ったのは、すみれがLiella!として結ばれ救われたからこその変化、なのかもしれません。結果的にマルガレーテの意志はすみれの想像を超えていたわけですが。

 それから、かのんがLiella!に戻らないことを明かした際、すみれがかのんに理由を問い詰めたのは、2期第9話の屋上でのかのんとのやり取りを彷彿とさせます。1期第4話からも分かるようにかのんと似ているすみれですが、だからこそかのんが不在となる状態のLiella!において、非常に重要な存在になっていくのではないかと思います。
 もっと言えば、かのんと似ている分マルガレーテとも近い背景を持っていますし、かのん同様に妹がいることから鬼塚姉妹との関係性も見込まれますから、3期でも目が離せないキャラクターになりそうです。

葉月恋

 母親の遺した結ヶ丘を一身に背負っていたところから、その結ヶ丘が結んでくれた仲間たちに救われてきた恋。そんな恋の想いと3年生として目指すゴールについては、中庭でのマルガレーテとのやり取りが全てでしょう。

「分かりました。でも、これだけは覚えておいて下さい。わたくしたちは…同じ結ヶ丘の生徒だということを。」

『ラブライブ!スーパースター!!』3期第1話「私の決めた道」

 ラブライブ!優勝だけでなく、母親の想いが込められたスクールアイドルを結ヶ丘に根付かせたいと、2期第2話で語っていましたが、そこが3期の大きなテーマになるのだと思います。Liella!として前人未到のラブライブ!連覇を成し遂げ、結ヶ丘で結ばれてきた想いをスクールアイドルが受け継いでいき、結ヶ丘をこの街で一番の学校にすること。それこそが恋の「私を叶える物語」ですから。
 文字通り結ヶ丘の代表というだけでなく、かのんが不在となるLiella!においてエースとして、そしてリーダーとしても活躍していくのではないでしょうか。そして、メイをはじめとした後輩たちとも距離感が近く潤滑油的な存在でもあり、結ヶ丘とLiella!が結んできた想いをどう後輩たちに伝え残していくのか、という部分でも注目していきたいですね。

マルガレーテの想い

 さて、第1話では結ヶ丘に入学することになったマルガレーテの話がメイントピックとなりました。2期第11話の時点で、マルガレーテに足りないものをその身をもって教え込むという、マルガレーテの家族の手厳しさが伝わってきたわけですが、だからこそ火がついたという彼女の想いには圧倒されました。

「Liella!に入れば優勝へ近づく。ウィーンにも戻れる。そんなことは分かってる!でも私は、あなたたちに勝ちたいの!」
「Liella!に勝ちたい!ラブライブ!で優勝したあなたたちとぶつかって乗り越えたい!じゃなきゃ自分が納得できないの!」

『ラブライブ!スーパースター!!』3期第1話「私の決めた道」

 いやいやいやいや、ラブライブ!スーパースター!!、面白すぎるだろ!
 そうそう、こういうの!こういうのが見たかったんですよ!この中庭でのシーン、恋とマルガレーテがそれぞれの信念を持って話す姿に引き込まれっぱなしでした。
 マルガレーテにも「私を叶える物語」があるからこそ、ラブライブ!東京大会では2位だった(=Liella!の次に多くの観客に選ばれた)し、自らの意志を貫いて披露する「Butterfly Wing」を目にしたかのんが心を動かされるんです。それだけの想いを秘めたキャラクターが、簡単にLiella!に入っちゃ面白くないんです。そんな彼女の想いがこの先どうやって結ばれていくのか、本当に楽しみですね。

 また、これはかなり細かい描写ですが、ベンチに座っているマルガレーテにかのんが近づいた時、「行くところ、なくなっちゃって…。」という言葉に一瞬表情が緩んでいるんですよね。ここにマルガレーテの想いを読み解くヒントがあるのか…?これは今後の展開に乞うご期待。

 もうひとつ、NHKでの放送終了後には恒例の「リエラのうた」が流れますが、今回の「dolce」は本編外ながらも超重要なものをぶっ込んでいるのでは…。ここで描かれた姿がマルガレーテの根底にある「見失ってしまったもの」なのか、そして冬毬との関係はどうなるのか。始まったばかりのTVアニメ3期、本当に気になることばかりです。

かのんの決断

 第1話だけで3期がすごいことになりそうだという予感を受け取ったのは、かのんの決断に込められた想いが嬉しかったからに他なりません。

「私、向こうに行っても、みんなの気持ちに負けないよう、自分ももっと大きくなるんだって思ってた。そう考えたら頑張ろうって思えた。今Liella!に戻ったら、私の気持ちも、みんなの『頑張ろう』って気持ちも元に戻っちゃう。」
「2つのグループが高め合った先に、今よりもっとステキな未来が待ってるはず。今はまだ離れていても、互いに競い合って、一番ステキなスクールアイドルを結ヶ丘に作りたい!」

『ラブライブ!スーパースター!!』3期第1話「私の決めた道」

 澁谷かのん、お前さすがにカッコよすぎるぞ。本当にありがとう。
 ウィーンへの留学がなくなり結ヶ丘に残ることで、ラブライブ!決勝大会で出した答えはどうなるのかと気になっていたのですが、その答えを巻き戻すことなく、もっとステキな未来へと向かっていくための約束を果たすんだという決意に心揺さぶられました。これは何度も言っていますが、私は「未来の音が聴こえる」という楽曲が本当に大好きなので、その答えを胸に進んでくれる決断をしてくれたことがとにかく嬉しいのです。
 そしてこの決断は、ラブライブ!という荒波の止まない世界で2年間戦ってきたからこそ。2期で連覇を目指して叶わなかったSunny Passionの2人を見て、変わり続けることの大切さにかのんは気がついているのだと思います。

 ラブライブ!に出られるのはスクールアイドル――つまり高校生である3年間だけ。裏を返せば、毎年3分の1が新たなスクールアイドルであるとも言えます。そんななかでマルガレーテのような新星も現れるのですから、本当に厳しい大会であることがよく分かります。
 そして、そこで求められるのは、自分たちがスクールアイドルとしての時間を通して出した答えを、ステージから観客に届けること。だからこそ同じ答えでは勝てない。勝つためには変わり続ける必要があるのです。
 これを理解しているからこそ、マルガレーテが歌う「Butterfly Wing」を聴いて、かのんは「ひとつのチームになるために」Liella!を離れることを決断したのだと思います。1回目の優勝で出した答えから先に進むために。マルガレーテの想いに向き合うために。そしてその想いをLiella!として結んでもっと強くなるために。

 そういえばオープニング曲のMVでも、マルガレーテの象徴たる蝶が背景にいるのが印象的でした。2期ではLiella!とマルガレーテは対立構造にあったわけですが、それがLiella!のステージを構成する要素になっているということは、これからの新しい未来へと向かっていくためには、一人でも羽ばたいていける蝶の力こそが必要になるということかもしれません。
 …あれ?ラブライブ!シリーズの象徴といえば1期第1話でかのんに降りてきた「羽根」ですが、羽根が集まった鳥こそが「みんなで叶える物語」を表していると考えると、一人で羽ばたいていく蝶って「私を叶える物語」なのでは?ラブライブ!スーパースター!!では蝶が集まったチームになっていく…ってコト!?
 あくまで現時点での思いつきで書いているので、これが正解かどうかは分かりませんが…。

 さて、かのんが見据える未来には一体何が待っているのか。それが垣間見えたのは入学式の日の朝、自宅でのシーン。

「結ヶ丘に来てくれたら、一緒に通えたのに~。」
「お姉ちゃんの姿を見て、あの子も自分の好きな道を進もうって思ったのよ。」

『ラブライブ!スーパースター!!』3期第1話「私の決めた道」

 や、誰かの本気が誰かを動かしていく姿を描くラブライブ!スーパースター!!が本ッ当に大好きでぇ…!
 2期でオープンキャンパスまで来ていたので、3期ではスクールアイドルとはならずとも、ありあは結ヶ丘に入学するのかな?と思っていましたが、想像以上の答えを出してくれました。

誰かの煌めき 勇気へと変わる
そう信じて走ってくよ

Let's be ONE / Liella!

 オープニング曲でもこう歌っているように、Liella!は誰かに勇気や夢を与えていくような存在になっていくことでしょう。それこそが「スーパースター」ということ。キービジュアルでかのんやマルガレーテがこちらに手を伸ばしていますが、この季節を駆け抜けたとき、私達は何を思うのか。TVアニメ3期にはもう期待しかありません。

2期生の動き

 第1話では、1期生に比べて2期生の動きは少なめでした。しかしながら、Liella!を未来へと根付かせていくことがテーマになるはずの3期では、2期生4人が非常に重要な役割を担うことは間違いありません。

 かのんの決断を受け止めきれないきな子は、3期を通してどのように成長し自立していくのか。そして卒業に向かって走っていく先輩たちから、どのようにバトンを受け取っていくのか。きな子といえば2期の卒業アルバムを見ているシーンが印象的でしたが、まだまだ描かれていない部分もありそうな気がしていて、2期生の代表としての活躍も見られそうです。
 メイと四季はTVアニメ3期PVの超重要そうなシーンがまだなく、第2話で描かれるのでしょうか。かのんが不在となった新しいLiella!を動かしていく原動力となっていくことに期待が高まります。

 そして妹の冬毬がLiella!ではなく新スクールアイドル部を選ぶことになりそうな夏美は、第2話の予告を見る限り、次回にそのショックを受けることにもなりそうです。
 そういえば夏美はひとつ引っかかるポイントがありまして、オニナッツチャンネルにLiella!の動画をアップロードしたことがバレたとき、いつもみたいに誤魔化すのではなく、「やんごとなき事情があるんですの~!」と珍しいことを言っていました。これが言葉通りの意味であるならば、冬毬とも関わってくるのかもしれませんね。

オープニング、ヤバくない?

 本編と同じくらい、いや、ひょっとすると本編以上に衝撃的だったのが、オープニング曲の「Let's be ONE」。え、この作品こわ…開始50秒で最高火力で殴りかかってきたんだけど…。
 1期2期に比べてどころか、歴代ラブライブ!シリーズのなかでも異色さが際立っていて、デビュー楽曲で比べた時の「始まりは君の空」レベルの異様なまでの空気感すら漂います。こんなにも力強く自分たちと未来のことについて歌う楽曲が、作品の看板たるオープニング曲だというのか…?「本気なのね。」(CV.ペイトン尚未)
 込められた想いがあまりにも強すぎて、これもうラブライブ!優勝でよくない?いや、冗談ではなく、これで優勝したと言われても不思議じゃないですよ。先述したように、ラブライブ!という大会は、スクールアイドルがその青春を賭して出した答えのぶつかり合いなので。

史上初の二度目の優勝を目指す、その先にあるものとは。

 好きなオープニングのカット発表オタク。いやここ好きじゃない人いる?シリーズ初のTVアニメ3期、ラブライブ!の新たな歴史を切り拓くんだという気概を、このカットひとつとっても強烈に感じます。
 他にもカッコよさが際立つみんなの表情とか、Bパートのメイとか、サビの最初の振り付けとか、好きなポイントを上げればキリがないほど。リリースイベントの1回目公演に参加するため、この楽曲の初ステージまで目にすることになるようで…なんだか今から緊張してしまうほどです。

 エンディングの「DAISUKI FULL POWER」もそうですが、やはり1期生が3年生となった3期では、それぞれが自分たちのゴールに向かって飛び出していくのを随所から予感させていますね。それを私たちも分かってはいるのですが、果たして受け止め切れるのかどうか…今から怖いとすら思ってしまいます。
 しかし冷静に考えて、オープニング曲でこれってことは、ラブライブ!出場曲とかもっと凄まじいのが来るということでは…?震えて眠れ…。

その他細かいポイント

 久しぶりにやさぐれかのんが顔を出していて、なんだか懐かしい気持ちに。「う~ああっ、神様のばかやろう!」とか言っちゃってますが、考えてみれば、2期第11話ですみれの家の神社で初詣をした際に、「今年一年、みんな仲良く、いい歌を歌って、いいライブができる、いい年でありますように」って願っているんですよね。結果的にかのん自らその状況を変えるとにしたとはいえ、思わぬ形で願いが叶ってしまいました。神社のご利益、ちょっとありすぎちゃったみたいですね。

 新スクールアイドル部のポスターを見つける流れ、もはや様式美みたいなものですが、それでもリアタイで吹き出しました。ちなみにその後、マルガレーテが質問攻めにあってから「うるさい!いい?…覚悟してよね。」と言い直していましたが、決めゼリフを遮られてやり直しちゃうのかわいい。
 エンディング曲のMVでもマルガレーテの笑顔が印象的で、こんな日がこの先にまっているのだと思うと、3期の行く先がいっそう楽しみになりますね。

 リエラのうたのMV、Liella!のみんながかわいらしい動物のぬいぐるみになっていましたね。冬毬と夏美はうさぎ、かのんはフクロウ、きな子はリス、可可はパンダ、恋はイヌ、千砂都はねずみ、メイと四季はネコ。すみれは…グソクムシ!?w 1人だけめっちゃイジられてないかこれw
 それはそうとこんなかわいいグソクムシのぬいぐるみ、欲しくて仕方ないです。このぬいぐるみ絶対全部商品化した方が良い。

と、いうわけで

 いつになく文量を割いた3期第1話の感想となりました。これだけの期待感が押し寄せてくるとは…。結ヶ丘での最後の1年、本当にすごいことになりそうです。
 第1話から最後の1年で目指すゴールが見え、そこまでの道のりもかのんが語っている通りですが、ここで不確定要素となるのがまさしく冬毬の登場。第1話ではほとんど素性が明かされなかったものの、大好きな姉が夢破れ続けてきた姿を間近で見てきて、好きな言葉が「夢でお腹は膨れない」、そして意味ありげにLiella!の部室の前から立ち去る姿。これは信じられないレベルで拗らせている可能性が高そうです。
 11人が向かっていく未来には、一体どんな険しい道のりが待っているのか。これまでも私の心を震わせ続けてきたこの作品の行く末が本当に楽しみです。

 それでは、第2話の感想でまたお会いしましょう。トマカノーテってどんな料理?

いいなと思ったら応援しよう!