レッツゴー☆パッションアイランド―神津島訪問ガイド(島での楽しみ方編)
ここまでは神津島に行く計画を立てることに焦点を当てましたが、ここからは島についた後の過ごし方を紹介します。神津島は地図での見た目以上に広く、そして様々な魅力に溢れた場所。時間をとって訪問するのですから、島での時間をたっぷりと楽しんでいきましょう。
なお、こちらに掲載の情報は2023年12月時点での内容となります。色々変わる可能性があるので、必ず事前に自分で調べるようにしてください。
島で過ごす上での大前提
お財布の話
さっそくお金のことで申し訳ないのですが、お金が無ければ何もできなくなってしまうので、まずはこの話からさせてください。というのも、離島なので当然といえば当然ですが、神津島にはほとんど銀行がありません。観光客が使えるのはゆうちょ銀行(神津島郵便局)だけです。提携銀行であれば手数料を払って預金を下ろすこともできますが、そもそもATMの稼働時間が平日は8時45分から17時まで、土休日は9時から16時までと短いので要注意です。現金がなくて困った…とならないためにも、船や飛行機に乗る前に多めに用意しておきましょう。
なお、島にはもうひとつの金融機関・七島信用組合というのもありますが、こちらは島民でもない限りまず使うことはないでしょう。ATMもあり他行カードも利用できるとは思いますが、ATM稼働時間はゆうちょ銀行より1時間長い程度で、同じく夜間は使えません。
しかしながらもう一点、クレジットカードやQRコード決済といった、キャッシュレス決済が使える店が案外多くあります。後述するスーパーだけでなく、集落の商店や飲食店でも利用可能な場合があるので、現金の持ち合わせが尽きないよう、使える場面では積極的に活用すると良いですね。詳細は各サービスの利用可能店舗をご確認ください。
島内交通について
続いて神津島の島内交通について。ここまででも軽く触れましたが、村役場のサイトにもある通り島内の移動手段としては、路線バス・タクシー・レンタカー・レンタルバイクがあります。このうちタクシーは台数が限られ、夜間等の利用もできないのがネックになります。
レンタカーは山がちな島内を自由に動ける点で最強ですが、業者はあーすレンタカーと外車専門のアイラナレンタカーのみ。あーすレンタカーは提携宿・まざ~ずあーすの宿泊客優先で、台数にも限りがあるため、利用を希望する場合は提携宿に泊まるのが確実です。また、神津島は道が非常に狭く、山道も多いため、ある程度の運転技量が必要になります。二輪車に乗り慣れているならレンタルバイクの利用も手ですね。
なお、レンタルサイクルもありますが、神津島のうち平坦なエリアは西側の前浜~神津島温泉保養センター~赤崎遊歩道だけであり、起伏を避けるならば行ける場所が限られてしまいます。
主に繁忙期に役立つのが路線バス。神津島港から赤崎遊歩道までを結ぶ西海岸ルート(地図上の赤色)と、神津島港と多幸湾・空港(一部の便のみ)を循環で結ぶルート(青色)の2路線が基本で、運賃は1乗車200円。時刻表は時期により変わりますが繁忙期には増便され、神津島温泉保養センター利用者向けの夜間温泉巡回や、登山客向けの白島登山口六合目発着便(運賃500円)も設定されるなど、観光には便利な存在となります。
一方閑散期は本数が少なく、ふらっと使うには厳しい印象を受けます。村役場のサイトに時刻表が掲載されるため、必ずチェックしておきましょう。
ちなみに『ラブライブ!スーパースター!!』のラッピングバスの運行は2022年9月をもって一旦終了し、今後の動向は不明となっています。繁忙期以外は乗客が少なく、大きいバスを動かす理由がなさそうなので、夏などにまた路線運行される機会があるといいですね。筆者が最初に訪問した2022年9月は運行しておらず眺めるだけでした…。
その他気をつけるべきこと
あとは神津島の電波状況について。主だったキャリアは神津島でも通信が可能です…が、集落から出ると電波の届かない場所があるので、使っているキャリアの対応エリアを確認しておいたほうが良さそうです。
また、キャリアによっては電波は届くものの人口が少ないためか帯域幅が狭く、混雑する繁忙期には影響を受ける可能性があります。私はSoftBankと同じ電波を利用しているY!mobileユーザーですが、2022年9月の訪問の際には、4G接続でも通信が非常に遅いという現象が起きました。3G接続に手動で切り替えることで快適に使えましたが、この手段が使えない場合もあるため、対応している宿などWi-Fiが使えるスポット以外では電波難民になる可能性もあります。
それから神津島で重要なのは天気。天気によって島をどれだけ楽しめるか変わってきます。本当に。基本的な神津島の気候についてはこちらから確認できますが、東京に比べて夏はやや涼しく冬は暖かいので過ごしやすいほか、10月の雨量が突出していることから分かるように、秋は台風の影響を受けやすいのが特徴です。そして先述しましたが、冬には西からの猛烈な季節風が吹くため海も荒れがちです。
また、海の変わりやすい天気の影響を直に受けるため、雨は降ったり止んだりかと思いきや急に快晴になることも。遮るものがない外海ゆえ風が強いと不便ですが、折り畳み傘あるいは雨合羽などの雨具は持っておくことと、時期によっては調整しやすい服装をすることをオススメします。
神津島観光のマストスポット
続いては、神津島を訪問したら外せない観光スポットの話。舞台訪問で訪れる方向けのエントリですが、TVアニメに登場したスポットは他でまとめている方がいるはずですので、細かい場所については別途調べてみてください。
まっちゃーれセンター
神津島港の目の前にある待合施設、まっちゃーれセンター。隣によく似た「よっちゃーれセンター」(後述)がありますが、「待つ」と「寄る」というわけですね。宿の送迎は桟橋に直接来るため、まっちゃーれセンターに来られるのは一旦宿を出てから。東海汽船・神新汽船の窓口や観光協会があり、乗船券やお土産を購入することができます。
館内にはSunny PassionとLiella!のパネルや交流ノートが設置されているので、神津島に着いたらまず行ってみると良いと思います。東海汽船の窓口で来島記念のコラボ御船印を販売しているほか、観光協会でスタンプの設置とステッカー配布も行っているのでお忘れなく。観光協会では、コラボ版パッションフルーツシロップ・ジャム等のお土産も販売しています。
前浜海岸
神津島の西側に広がるメインビーチ・前浜海岸。TVアニメで登場した砂浜は全てこの場所です。港から南に長く伸びていて、この砂浜周辺に集落が形成されています。晴れた日の景色は素晴らしく、眺めているだけでも心が洗われるよう。海水浴場のため、夏期の監視員がいる時期は安全に遊べる場所でもあり、マリンスポーツを楽しむ人がいたほか、砂浜にはビーチバレーのコートもありました。神津島に来てこの砂浜を目にしないことは無いと思いますが、是非じっくりと堪能してみてください。
はるか展望台
神津島の地形は険しく、前浜海岸から道路を挟むとすぐ高台になっていますが、その上にあるのがはるか展望台。TVアニメはもちろん、映画『天気の子』にも登場した場所です。先程の前浜海岸の写真もこちらから撮っていますが、集落内で海を見渡すにはこの場所が最適。すぐ近くには東京都立神津高校もあり、神津島で育ったSunny Passionが味わってきた空気みたいなものも感じられます。
赤崎遊歩道
神津島のほぼ北端にある赤崎には、岩場に遊歩道が整備されており、神津島で最も有名なスポットになっています。遊歩道にはTVアニメにも登場した飛び込み台があり、立ってみると思いの外高くて足がすくんでしまいますが、ぜひ美しい海に飛び込んでみてください。神津島は美しい海の見た目通り水質が良く、肌が弱く海に入るのを避けていた筆者でも負担を感じませんでした。
この場所は岩場に囲まれており、波の影響が少ないので泳ぐには安全な場所ですが、干潮時に飛び込むと足がついてケガのおそれがある…らしいのでお気をつけください。また、この場所は南向きに開けた場所のため、美しい海に飛び込む様子を撮りたい場合は正午頃までに来るようにしましょう。遊歩道入口で夏期のみ営業している売店では、TVアニメ同様パッションフルーツジェラートを食べることができますが、昼過ぎに購入したところちょうど売り切れてしまったので、その点からも早めの訪問が良さそうです。
ちなみに、遊歩道入口にはシャワーやトイレがありますが、更衣室やロッカーはなく、海水浴をするなら予め水着を中に着て来て、荷物の管理にも気をつけましょう。駐車場があるので、レンタカーを利用していれば荷物を置けて楽ですね。
この場所は集落から遠く、路線バスを使わないと時間がかかりますが、路線バスは水着のままでも乗車可能です(上着等は着るべきでしょう)。ただし、座席を濡らさないためなるべく水着を乾かし、タオルなどを敷いて乗りましょう。
神津島温泉保養センター
個人的神津島の最強スポットが、神津島港から北に少々離れた場所にある神津島温泉保養センター。道路を挟んで山側に食堂と屋内浴室があり、屋内浴室から海に面した露天風呂に直接出ることができます。ちなみに屋内浴室は男女分かれた普通の温泉ですが、露天風呂は男女分かれておらず、水着着用が必須ですので持参しましょう(受付で購入も可能です)。
泉質は海辺の天然温泉だけあって塩気が多く、海水よりもピリピリと感じるかもしれません。屋内浴室には温度の違う浴槽だけでなくサウナと水風呂もあり、お風呂好きの人でも満足できることでしょう。サウナで話した島の方いわく、島民料金として安い値段が設定されており、水着持参は面倒なので屋内浴室とサウナ利用を週に何度かしているとのことでした。うらやましい…。
【2023年12月現在、工事のため露天風呂の利用が中止されています。利用再開時期は未定です。】
そしてこの温泉、何より素晴らしいのはやはり露天風呂。TVアニメに登場した展望風呂のほかに、海の目の前にある小露天風呂(小さくない)や、浅い造りの大露天風呂(デカすぎ)もあります。西側の海に直接面しているため、昼間は美しい海を一望でき、夕方には夕陽を沈むまで眺められ、そして夜には温泉に浸かりながら美しい星空を見られます。大露天風呂で寝転んで、波音を聞きながら見上げる満天の星空…文字通り人生で最高の体験でした。滞在中は毎日行きましたし、マジで家の風呂コレにならないかなって思いました。
【2023年12月現在、露天風呂休止のため半額で利用可能。まっちゃーれセンターでの入浴券販売は休止中です。】
温泉保養センターを利用する際に重要なのが、通常料金(タオルなし)が800円のところ、予めまっちゃーれセンターで入浴券を買うと600円とお安くなるということ。非常にお得なので、使う予定が決まっていれば忘れずに購入しておきましょう。
村営バスを利用して行くのが便利ですが、時期によっては夜の運行がない場合もあります。集落から歩くと30分くらいかかりますが、割と平坦なのでなんとか歩けると思います。タクシーで送迎を希望する場合は早めに予約をしておきましょう。夕方以降だと呼べない場合も多いようです。
神津島の星空
沖縄県の西表石垣国立公園に続き、国内で2番目の星空保護区に認定されている神津島。街灯を夜空に光が漏れないタイプに取り替えるなど、星明かりの妨げとなる光害の軽減に取り組んだことが評価され、2020年12月に登録されたばかりです。
集落や神津島港周辺では街明かりがありますが、それでもなお美しく広がる星空は素晴らしく、TVアニメ同様、前浜海岸からでも息を呑むような光景が楽しめます。建物の少ない場所ではより楽しむことができ、集落から近いよたね広場がお手頃。足を伸ばせる方は、赤崎遊歩道や後述するありま展望台、三浦湾展望台もオススメ。島民による星空鑑賞ガイドもあります。
写真撮影にはある程度の性能と手動設定が必要になるため、スマートフォンでは機種が限られると思います。デジタルカメラを持っている方は、カメラを上に向けるだけでも撮影はできますが、三脚を持参すれば島の美しい景色と共に写真に収められますので忘れずに。載せた写真はマニュアルフォーカスで合わせたうえで、ISO感度4000~6400・シャッタースピード20秒・F値3.5で撮影していますので、参考にしていただければ幸いです(月明かりの有無に寄っても変わってきます)。
星空に限らずですが、神津島の観光は自然風景を楽しむところが多いため、変わりやすい天気との戦いになりがちです。私は星空を撮影するために午前3時頃まで粘りましたが、どんなに待ってもダメな可能性もあります。また、晴れていても風が強い場合、三脚を立てるのが難しいことも…。
その他の観光スポット
優先順位が高いものを先に挙げましたが、神津島には他にも魅力的な場所がたくさん。時間があれば行ってみてほしい、筆者が訪れたスポットをいくつか紹介しましょう。
水配り像
神津島のシンボル的な像。前浜海岸の目立つ位置にあり見落とすことはないと思いますが、せっかくなのでよく見てみましょう。神津島は離島ながら水資源に恵まれ、後述するように島内にはいくつかの湧き水がありますが、この像はそんな水にまつわる神話に由来しています。
神話によると伊豆諸島が作られたとき、地理的に中心である神津島の天上山に神々が集まり、水を先着順で配分しました。御蔵島、新島、八丈島、三宅島、大島と配られていき、最後に寝坊した利島の神様が来た頃にはほとんど残っていませんでした。これに怒った利島の神様は、わずかに残った水に飛び込んで暴れまわり、それが神津島の随所で湧き出る水となったそうです。
また、神津島は「神”集”島」と書かれている場合もありますが、これは昔の表記だそうです。このように、神話において神々が集まったことが島の名前の由来とされています。
物忌奈命神社
神津島港のすぐ近くの高台にある物忌奈命(ものいみなのみこと)神社は、島で最も大きく格式高い神社です。参道の階段を上った先は緑に囲まれた独特の空気感で、門や社殿に使われた赤い屋根瓦が特徴的ですね。
毎年8月2日に行われる国指定重要無形民俗文化財「かつお釣り行事」は、漁業が主要産業である島らしくも、映像で見るだけでもインパクトが大きい行事。ちなみに神津島では江戸時代くらいまでカツオ漁が盛んでしたが、現在では行われていないそうです。
神津島村郷土資料館
集落の北側にある郷土資料館で、神津島の地理や歴史、産業、文化などについて学ぶことができます。雨が降っていても楽しめる数少ない場所という点でも、神津島における重要な観光スポットと言えます。成り立ちをきちんと理解して島を歩けば、様々な発見や新たな感動を得られますから、神津島を深く楽しむのであれば一度は寄ってみてほしい場所です。
名組湾のトロッコ跡
赤崎遊歩道から海沿いに南へ戻ると、岩場の上に長い構造物があるのを目にします。近づくとレールのような施設が見えますが、これは目の前にある神戸山からの採石運搬をしていたトロッコの跡です。昭和の末までこの場所には道路がなく、切り出した石はトロッコで直接船に載せていたのだとか。
赤崎遊歩道同様に、集落から歩いていくには遠い場所です。西海岸ルートのドンタクハウス前が最寄りバス停ですが、赤崎遊歩道から歩いてセットで行くのが良いですね。
ありま展望台
前浜の南側の山にある展望台。前浜や集落を見下ろすことができるほか、展望台の隣には港からも見えるくらい大きな十字架が立っています。これは豊臣秀吉による朝鮮出兵の際に日本に連れてこられ、キリスト教の禁教令に背いて神津島へ流され生涯を終えたキリシタン・おたあジュリアを偲んで作られたものです。
展望台まではバスなども走っておらず、集落からだと舗装された山道を30分ほど歩くことになります。星空撮影にも適した場所ですが、夜間は道中も展望台も暗いので気をつけましょう。
おたあジュリアについては郷土資料館に展示があるほか、みんなの別荘ファミリアの近くに顕彰碑もあります。また、集落内には流人墓地もあり、古くは流刑の地だった伊豆諸島の歴史を今に伝えています。
神津島灯台と千両池
神津島灯台は島の南端の高台に位置し、夜間を含め船の往来が多い周辺海域を安全に航行できるよう、島の目印として建てられた灯台です。集落からは遠く離れた場所ですが、最初の数年間は職員が常駐していたのだとか。無人となった今も変わらず、海の安全を守り続けています。
神津島灯台の近くには千両池というスポットもあります。池といいつつも正確には岩場に囲まれた入江で、昔は夜に多くの魚が入ってくるのを獲って、一夜にして一攫千金の水揚げがあったことからこの名がついたのだとか。
灯台や千両池周辺は切り立った高台で、千両池に降りられる道もあるのですが…かなり険しく筆者は行かずじまいになっています。晴れた日には神秘的な光景が見られるそうなので、体力に自身のある方は行ってみても良いかもしれません。
なお、灯台や千両池周辺もバス路線はなく、集落から歩くと1時間ほど山の中を歩くので、レンタカー等で行くのがオススメです。
多幸湾と湧水
島の東側、急な山肌に囲まれた多幸湾。漁港以外の人家や商店がない場所ですが、実はいくつかの見どころもあります。人のいない多幸湾だからこその美しい海や、古代にはここから関東・東海地方に送られた黒曜石を含む山肌、そして多幸湾発着の日だけ利用できる三浦漁港待合施設の初代Sunny Passionパネル。バスを利用しないと厳しい場所ですが、時間のある方や2度目以降の訪問の方は是非訪れてみてください。
前述の通り神津島は水が豊かな島ですが、なかでも最大の湧き水スポットが、三浦漁港から少し北の浜辺にある多幸湧水。東京の名湧水57選にも選ばれていて(島内にもうひとつ、つづき湧水もあります)、島民もよく水を汲みに来るのだとか。多幸湾に行く際は空き容器を持参すると良いですね。
天上山
島の大部分を占める最高峰で、高さ572mの台形状の山は集落から見上げても圧巻。そしてこの山、先述した村営バスが6合目まで季節運行をしているように、登山道が整備され比較的簡単に登ることができます。6合目から山頂であれば、早い人なら30分もあれば着いてしまうと思います。白島登山口6合目は駐車スペースもあるため、レンタカーで訪れるのも良いですね。
筆者が2023年11月に登った際には、遮るものが一切ない強烈な西風が危険で、山頂にたどり着く手前の9合目・不入ガ沢で断念…。どの季節にも楽しめる「花の百名山」に数えられ、山頂周辺には多くの見どころがあるそうなので、時間のある方はゆっくりハイキングを楽しむのもオススメです。歩きやすい靴や飲み物など、ある程度の登山の装備は忘れずに。
返浜
最後にかなりコアなスポットですが、島の北端にある返浜も面白い場所です。天上山の6合目に向かう山道を途中で曲がると、ひたすら沢沿いに下っていく道路が現れます。下り続けて海が見えてきた…と思ったら、海の手前で道路がぷっつりと終了してしまいました。バスもなく徒歩で行くにはかなり厳しい場所ですが、衝撃的な光景は一見の価値あり。
これはかつてこの先に道路を作る計画が頓挫した名残らしく、本来であれば赤崎遊歩道の辺りに繋がるはずでした。赤崎遊歩道からそのまま北へ向かうと、最初の赤崎トンネルは抜けることができますが、次の大黒根トンネルは立ち入り禁止になっており、その先で断念したことが分かります。詳細はこちらのページが詳しいので参考までに。
神津島のグルメ情報
続いては超重要情報、神津島のグルメについて。まだ2回の訪問ではありますが、筆者が利用したお店について簡単にご紹介いたします。
よっちゃーれセンター 食堂
先述した神津島港の待合施設・まっちゃーれセンターの隣にある「よっちゃーれセンター」。こちらは1階が海産物の加工品を中心とした土産物店、2階が島の海産物を使った食堂になっています。
島の海産物はどれも絶品にもかかわらず、値段は1,000円前後とリーズナブルで、特に数量限定のキンメダイの煮付け定食は非常にお得。キンメダイが特産の伊豆でも、1尾丸々の煮付けで1,000円はあり得ません。天候によっては漁に出られず魚の入荷に影響が出ることもありますが(これは島のどの店舗も同じ)、島に到着して食事に悩んだら、まずはここで食べるのが鉄板だと思います。
Cafe & Diner `AILANA
【2023年12月現在休業中】
前浜海岸の目の前、島唯一の信号機がついた交差点近くにあり、ハンバーガーや肉料理を中心としたメニューを提供しています。ハワイを思わせるような雰囲気が心地よく、店内でゆったりと過ごすもよし、テラス席で波の音を聞きながら食べるもよしと魅力的な店です。昼はもちろん夜も予約不要で営業しており、ハンバーガーはお手頃価格でいただけるため、魚に飽きてきた方や夕食に迷った方にオススメです。
店のサイトによると、店舗老朽化のため2022年10月末をもって一旦休業し、同じ場所での再開を目指しているようです。坂を登ったところに系列店・上のあいらながあり、こちらはハンバーガーなどAILANAのメニューを取り入れつつ営業しています。
神津島 龍宮
前浜海岸から海に注ぐ神津沢沿いにあり、神津島らしい海産物を中心に提供しています。ランチでは魚はもちろん通常のメニューも1,000円台から、ディナーでは趣向を凝らした海鮮料理とお酒を楽しむことができます。特にディナーでは予約が必要と聞いたため、行く前に確認するようにしましょう。
こちらのオススメは高級食材の赤イカ(ケンサキイカ)。神津島を代表する海産物のひとつで、白く美しい刺身を噛んでみると甘みが感じられる一品です。ランチメニューでも提供していますので是非食べてみてください。
Hyuga Brewery
集落の北側にある、ブルワリー併設の地ビールレストラン。5種類のクラフトビールのほか、様々な限定アルコールを提供しており、お酒好きの方であれば見逃せません。島の名物を使った料理やつまみも豊富で、神津島の夜を満喫することができます。他の料理の写真は上のポストを開いてリプライから見てみてください。島随一のオシャレな雰囲気で人気の店ですので、訪問の際には電話で予約を入れると確実です。
れすとらん錆崎
神津島温泉保養センター併設のレストラン。温泉保養センターは入浴料がかかりますが、食堂のみの利用は無料のようです。海鮮や明日葉など島の名物はもちろん、いわば普通のメニューまで幅広く取り揃えており、価格も1,000円前後~2,000円程度とお手頃。温泉から夕陽と星を眺め、風呂上がりにここでおいしい食事を楽しむのは最高です。
神津島でたまーに見かけますが、伊豆諸島の名産品・くさやを提供しているのも特徴。島の厳しい環境で魚を長く保存するため先人の知恵が詰まったものです。怖いもの見たさと人生経験のためにあえて頼んでみましたが、もうね…噂通りくっっっさい!!!近い匂いもあるのですが例えるのはやめておきます(笑) しかし匂いに耐えて食べてみると、意外にも凝縮された旨味がクセになる一品。海産物店で買って帰ることもできますが、家で焼くと確実に同居人からクレームが来るので、気になる方は島でご賞味あれ。
Cafe のら
宿として既に紹介しましたが、ランチのみでの訪問も可能。ランチメニューがおいしいと島民にも評判の店です。野菜や海鮮類といった島の食材を使ったランチメニューは1,100円とお手頃で、味も抜群においしかったですね。友人が頼んでいた漬け丼が名物らしく、ネタの種類も量も豊富で1,100円とは恐れ入りました…。つまみの類も多いので、ぜひ色々と食べてみてほしい名店です。
多幸湾寄りの山の中にあり、歩いていくのは苦労する場所。バスであれば神津島港~多幸湾・空港を結ぶルートの赤羽峠バス停が最寄り。宿泊客の送迎などで不在の場合もあるので、予約を入れるのが確実です。
その他の飲食店
みんなの別荘ファミリアのオーナーから、オススメの飲食店をいくつかご紹介していただけました。既に取り上げた店の他に、神津島の食材を生かしたフレンチを提供するさわや コルドンブルー、魚の旨味をさらに引き出す熟成魚が味わえる神津島 熟成魚工房などが良さそうでしょうか。神津島では予約が「必須」という飲食店もそれなりにあるため、行く前に一度確認はしておきましょう。
恥ずかしながら実際に行くまで、「神津島は年季の入ったお店が多そう」と思っていたのですが、歩いてみると思いの外オシャレで新しいお店が多いことに驚きました。飲食店の数自体そこまで多くはないですが、集落を中心とした行きやすい場所に固まっているため、歩きをメインにした観光客でも楽しみやすいのが特徴。レンタカー等の運転がなければお酒も気軽に楽しめますから、滞在期間中に様々な味を堪能してみてはいかがでしょうか。
神津島の商店巡りのススメ
長くなってきましたが、もう少しだけ神津島の魅力を書かせてください。筆者が神津島にハマった大きな要因が、集落内に点在する商店が魅力的だったこと。離島という特殊環境ゆえに大型店が存在せず、集落内には小規模な商店がいくつも存在しています。商店グルメなんかもありますので、手軽に散歩して食べ歩きするのも楽しいですよ。筆者が訪れた中から、個性的な商店をいくつかご紹介しましょう。
スーパーまるはん
集落内には神津島で唯一のスーパー・まるはんがあります。島までの輸送費のせいか価格こそ少し高めですが、まさに小規模なスーパーマーケットとだけあり、それなりの種類の商品は揃っています。飲料や酒類、お菓子等も色々とあるため、宿で飲み食いする夜食の調達など、神津島滞在では何かとお世話になる店です。海鮮類をはじめとした惣菜も取り扱っており、島寿司やパッションフルーツジェラートがオススメ。
島寿司は同じく伊豆諸島の八丈島の名物で、ピリ辛の醤油ベースのタレに漬けられたネタがクセになる一品。パッションフルーツジェラートは、TVアニメに登場した赤崎遊歩道の売店に限らず、他にも島内の小売店で売っていることがあります。
浜川精肉店
集落の中にある島唯一の精肉店で、手作り感のある見た目が目を引きます。精肉はもちろん惣菜も扱っており、コロッケやからあげなど定番の品が充実。離島ゆえに滞在中は魚を食べることが自然と増えますが、ここで肉の惣菜を買って食べ歩きに興じるのも神津島らしい過ごし方です。
藤屋ベーカリー
集落の中にある島唯一のベーカリーで、あんぱんなどの定番菓子パンから、魚フライバーガーといった軽食系のパンまで扱っています。価格はひとつ200円前後とお手頃で、小ぶりなものもあるので食べ歩きにもってこい。朝から営業しているため、素泊まりの場合の朝食にもどうぞ。
関庄商店
集落の中でもやや目立つ大きめの商店。酒類含む飲食品の品揃えも豊富で、ホームページからは島の名物の通販も行っています。三浦漁港待合施設にあった、島の小学生が作った案内ノートいわく、ここのおにぎりセットが人気なのだとか。お手頃で素朴な味わいがおいしく、目の前の浜川精肉店の惣菜と一緒に食べるのも良いですね。
石蔵(松村商店)
集落を歩いていると目を引く石蔵は、向かいにある松村商店の別店舗で、こちらでは島の名産品である黒い天然ガラス・黒曜石を使った土産物が充実しています。数少ない黒曜石産出地ですから、神津島の思い出としていかがでしょうか。
中豊商店
食事類の食べ歩きも良いですが、おやつに甘いものを食べたくなることもありますよね。そんなときはぜひ中豊商店へ。店頭にはホッと落ち着く和菓子が並ぶほか、手作りのドーナツも人気商品です。
よっちゃーれセンター売店
先ほどは2階の食堂を紹介した神津島港のよっちゃーれセンターですが、1階の売店には島の魚を使った土産物はもちろん、弁当類の販売も行っています。写真左はキンメダイのフライのサンドイッチ、右は魚のフライ弁当。どちらも価格はお手頃で、ボリュームも満点で満足すること間違いなしです。
神津島港にあるので、午前に出発するさるびあ丸で帰る場合、これまでに紹介した商店はもちろん、ここで弁当を買って乗り込むのがオススメ。ただし、多幸湾発着での場合は宿の送迎や村営バスで出発しないといけないので、時間をよく確認したうえで乗り遅れないようご注意。
その他にも…
これは知るとビックリするのですが、集落の南側には100円ショップのキャンドゥが店舗を構えています。私は宿で案内されて耳を疑いました。小規模な分品揃えはほどほどですが、よく知る100円ショップとして変わりなく買い物することができます。ただし日曜日が定休日であることと、午後5時半閉店と営業時間が短いことに注意しましょう。
他にも様々な商店があり、個人的には島唯一の洋菓子店・梅屋商店あたりが気になっています。商店巡りは雨の日でも楽しめますので、ちょっとした時間つぶしにもぜひどうぞ。
最後の最後に
というわけで、非常に長々と神津島の魅力をご紹介してみました。いざ書いてみると行ってほしい場所がかなり多いのですが、私自身2回行ってもまだ足りないと感じているので、いずれまた訪問しようと考えているところです。これは余談ですが、離島という場所自体の魅力にも取り憑かれているので、いずれは新島や式根島など、別の島にも行ってみたいですね。
決して大きくはないですが、その分ギュッと詰まった魅力が楽しめる神津島。行くための段取りなど手間はかかりますが、初めて足を踏み入れた時、そして素晴らしい景色と体験に出会った時の感動はひとしおです。皆様もぜひ一度訪れてみてください。
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