見つけた答え、受け継がれた想い―TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』3期第10話「桜小路きな子」
いよいよ残り話数もわずかとなってきた『ラブライブ!スーパースター!!』TVアニメ3期。次回予告から特大回の予感しかしなかった第10話ですが、予想通り…いや予想以上でした。ほんと『ラブライブ!スーパースター!!』すげえって…。結ヶ丘を描いてきた3年間の総精算ともいえるくらいの第10話、振り返っていきましょう。
それぞれの未来
本題のきな子の話に入る前に。割とサラッとではありましたが、卒業する3年生の未来について語られていました。すみれは改めてショウビジネスの世界を目指し、恋は学校を継ぐための進学という、それぞれの夢をさらに追い求めるための道。一方、Liella!の部長としてかのんを支えるという夢を叶えた千砂都は、ここからさらにプロのダンサーを目指していたんですね。
Liella!の部長として、ダンス担当・練習リーダーとして、そしてたこ焼き屋のアルバイトまでやり切った千砂都。普通科に転科してまでかのんを支えてきましたが、幼きあの日に誓ったようにダンスそのものに夢中だからこそ、役割を果たしてから改めてダンスに専念していこうとする姿に、なんとも千砂都らしいなと感じました。
そしてもう一人、マルガレーテの将来の話も。第9話の感想でこの点には触れましたが、やはりマルガレーテの基本的な立場はウィーン国立音楽学校を目指すこと。ウィーンに戻るために結ヶ丘に来たわけですからね。ただ、第8話でマルガレーテを受け入れてくれた結ヶ丘のことも大切にしたいでしょうし、この先でマルガレーテが違う答えを出しても良いなとも思っていて。夢を貫いても美しいし、新しい夢を見つけても美しいですから。最終的にどちらに行き着くのかは分かりませんが、それもこの先どこかで描いてくれたら嬉しいですね。
きな子だから見つけられた答え
さて本題。2期第10話で東京大会で披露した「Sing!Shine!Smile!」をかのんと共に作詞したきな子ですが、次世代に託していくために、今回は一人で作詞に挑むよう伝えられました。第9話でマルガレーテに指導してほしいと言えるようなきな子だからこそ、もう一人でも答えを出せるとかのんも信じていたのでしょう。
そして悩めるメンバーはもう一人、恋はいよいよ次期生徒会長の問題と向き合わなければいけなくなっていました。母親が残した発展途上の結ヶ丘を誰かに託せるのか、1年生の頃に思い詰めて一人で背負っていた恋にとって、本当に難しいことだと思います。
この問題自体はどうするんだろうとずっと気にしていたのですが、ここで絡めてくるのが本当に見事…。そしてそれをかのんやLiella!のメンバーではなくて、ナナミが聞いて学校のこととして描いていることに、結ヶ丘は本当に良い学校だなと実感しました。
作詞に悩むきな子が10人からのメッセージを読み、歌いながら絵を描くシーンは本当に衝撃的でした。都会に憧れて結ヶ丘に来たきな子が、Liella!として活動するなかで、そして結ヶ丘という学校で過ごすことで気がついたもの。それはみんなの想いを力に変えられること。誰かの支えを必要とすることは頼りなく見えることかもしれない。でも、それを素直に受け止めて力に変えられるのは、他の誰でもないきな子だからこそできることであり、みんなで過ごした青春を歌にするスクールアイドルとして、これ以上ない強さだと思います。
このシーンを見た瞬間、結ヶ丘できな子が得てきたものの大きさと尊さ、結ヶ丘に託され結ばれてきた想い、その全てが押し寄せてきて、本当に心が震えました。
スクールアイドルという音楽を通じて結ばれたみんなの想いを力に変えられる、そんなきな子の姿を見た恋にとって、それはどれだけ嬉しかったことか。結ヶ丘に託された想いを体現するようなきな子に、生徒会長になってほしいと思うのも必然でしょう。
思い詰めていた時にかのん達に救われたように、助けを求められなかった時にメイ達が寄り添ってくれたように、そして万全の状態でラブライブ!に挑むために結ヶ丘の生徒みんなが手伝うのを申し出たように。一人で進める意志の強さがあったからこそ、初代生徒会長としてないない尽くしの学校からここまで来られましたが、その苦労は計り知れないもの。でも、きな子ならみんなの力で乗り越えられるかもしれない──それは希望そのものでした。
結ヶ丘を伝える存在
きな子はまだ自信がなく迷ってしまいますが、そこで背中を押すのが、前回大事なことを伝えた相手であるマルガレーテというのが良くて…。積み重ねてきた強さを自信に変えてきたマルガレーテがきな子を認めたからこそ、そこで受け取った言葉を自信に変えられる。互いに大事なものを伝え合えるこの2人の関係性は本当に素敵ですね。
そうして、恋の「やってみませんか?」という問いに対して答えるのではなく、自ら立候補するというきな子。この話の全体を通してそうですが、どこか1期第1話のかのんの姿を思い出します。運命の糸が絡んでLiella!に入ることになったきな子が、こんなにも頼もしい姿を見せてくれたことに、万感の思いが巡ります。
きな子のこの言葉に、恋の母親が結ヶ丘に込めた夢を思い出しました。最高の思い出であるスクールアイドルを愛する娘に託し、そこでたくさんの力をもらってきたきな子が、結ヶ丘のために勇気を持って一歩を踏み出すことができた。恋の母親の夢が、そして受け継いできた恋の想いが結ばれた瞬間でした。
特別な才能や強く夢見るものなんて無かったところから、みんなと一緒に素直にまっすぐに頑張って、その先にあったのはみんなへの溢れる想い。ああ、なんて優しくて、温かい物語なんだろう。『ラブライブ!スーパースター!!』が大好きで良かったと、心から思います。
結ヶ丘で過ごす時間を経て大切なことに気がついたきな子の言葉は、結ヶ丘という学校の姿そのもの。学校の代表たるスクールアイドルとしてこれ以上ないステージでした。「Starlight Prologue」という2年前の東京大会のステージに憧れ、仲間と一緒にいつかそれを超えたいと願ってきたきな子。こんなにも素敵なメッセージを伝えられるようになったことに、本当に本当に感動しました。第10話、素晴らしかったです。ありがとうございました。
その他細かいポイント
みんなからきな子へのメッセージ付箋、それぞれのキャラクターが出た応援がとても素敵でした…が、「大事なのはまるっ!」って伝わるのか…?あと「ギャラクシー!」は本当に誰もわからないだろ!ていうか結局ギャラクシーって何なんだ…。
リエラのうたが学年別で進んでいますが、2年生が夏で今回の1年生は秋。ということは、次回の3年生が冬で、最後は全員で春に…もうそこまで見えてしまっていることが本当に切なくて…たすけて…。
と、いうわけで
早くも第11話を迎えるわけですが、次回はおそらくラブライブ!決勝大会でしょうか。どんな物語になるのか、とても楽しみなんですが…。いやサブタイトルが「スーパースター!!」ってどういうこと!?
というのも、『ラブライブ!サンシャイン!!』で「サンシャイン!!」と冠したのはTVアニメ1期ラストの第13話。完全に最後みたいな雰囲気なんですが、あと1話は少なくともあるはず…。残り2話、一体何かどうなってしまうのか、最後まで向き合って見届けようと思います。