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羽ばたけ、世界へ、未来へ―TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』3期第5話「你好!上海!小籠包〜!」
これまでのラブライブ!シリーズの伝統(?)を打ち破り、TVアニメで早くも海外へと足を踏み出した『ラブライブ!スーパースター!!』3期第5話。しかし、この大好きな作品で上海の景色を再び見るとはこれもまた運命か…。というのも、私は2007年~2011年まで上海に住んでいたんですよね。上海から来て、運動が苦手で、かわいいものが好きで、スクールアイドルが大好きで、すみれが大好きなので、私は実質可可です。
住んでいた頃に見た懐かしい景色もどこか変化していて、十数年という期間にも大きく変わったんだろうなと不思議な気持ちになりました。まあそんなことはさておき、3期第5話も振り返っていきましょう。
広がるスクールアイドルの世界
第5話は次回に続く話ということもあり、比較的ライトな回だったわけですが、そのなかでも着目したいのは「時間」のこと。というのも、ラブライブ!シリーズで受験という具体的な話が出てくるのは、今作が初めてではないでしょうか(全てを追いきれてはいないから違ったらごめん)。受験絡みの発言というと、『ラブライブ!サンシャイン!!』2期第10話で、ダイヤが東京の大学の推薦を受けた、という発言くらいだったでしょうか。そちらも受験シーズンは既に越えていたわけなので、受験とスクールアイドルを両立させる必要に言及したのには少し驚きました。
かのんと可可が進路調査票の記入に迷いを見せるシーンもありましたが、高校生の3年間でしかできないスクールアイドルを描くラブライブ!シリーズにおいて、その先は必ずしも語る必要はないわけで、やはり『ラブライブ!スーパースター!!』は未来へと向かっていく作品なんだと実感しました。
さて、ここでひとつ考えたいのは、ラブライブ!という大会の話。以前と異なり今作からは年1回の開催となっているわけですが、実際の部活動の大会は夏や秋で終わるものがほとんどなのに対し、ラブライブ!は決勝大会が年明けに開催されています。ラブライブ!はスクールアイドルの甲子園とも例えられますが、甲子園は3年生の最後の舞台となる夏の方が大きな大会であるのと同様に、年2回から1回に減らすのであれば夏季大会を残すのが順当なはず。受験という要素を扱うようになったことを加味すれば、3年生にとってはなかなかハードなスケジュールであることがよく分かると思います。
ラブライブ!の大会自体が舞台装置に過ぎないので、そのルールについてはあまり重要じゃないという捉え方もできますが、個人的にはそこにもなんとなく意味を感じたというか、こじつけてしまったというか。
そして、そこで求められるのは、自分たちがスクールアイドルとしての時間を通して出した答えを、ステージから観客に届けること。だからこそ同じ答えでは勝てない。勝つためには変わり続ける必要があるのです。
第1話の感想で私はこのように書きました。ラブライブ!は単に技量や完成度を競うだけでなく、スクールアイドルとしての青春を通して出した答えを届けるための大会。ならばそのための時間は長い方が大会のレベルも上がりますし、1年生にもある程度の時間が与えられることになります。つまり、答えを探す時間が長く取られていることで、新たに生まれたスクールアイドルにも勝つチャンスがある、ということをも意味します(事実、夏季大会に出場した際のAqoursは決勝に進めていません)。
ラブライブ!の大会がこのような形をあえてとったのは、よりレベルの高い環境で競うことによって、スクールアイドルのさらなる発展を狙ったからなのではないか、と第5話を見て気が付きました。3年生の負担という部分こそあれど、進路のことや受験など、未来への準備も含めた青春こそが新たな答えを生み出していくのかもしれません。
そもそも年2回開催をやめたのはなぜ?という話もありますが、そこは未だ明らかにされていません。エントリー数が増えすぎて年2回開催するのが困難になったから、だと私は思っています。
「この先の島も東京なんて、ちょっと信じられないわね。」
「そして、そこでもスクールアイドルを頑張っている人たちがいる。すごいなあ!スクールアイドルって。」
第5話は1期2期同様に出先回の第6話とセットですが、特に1期第5話の私がめっちゃくちゃ大好きなこのシーンにリンクしていたように感じます。この時はまだスクールアイドルとして小さな存在だったということもありますが、いまや海外でも大きなスクールアイドルフェスが開かれようとしているほどにその世界は広がっているのを目にしたわけです。
可可は生粋のスクールアイドルオタクなので、やるなら本場でというのが夢だったのかもしれませんが、それでも上海で今こうして根付いていることにスクールアイドルの発展の勢いを感じますし、そこにラブライブ!で優勝したLiella!が寄与していることは言うまでもないでしょう。初代『ラブライブ!』の頃から考えると、本当にスケールの大きな世界になりましたね。
過ぎゆく青春と未来の足音
1期生の将来に悩む姿が描かれた一方で、第5話では、それと対比になるような2期生と3期生の姿も印象的でした。
2期生の絆はここまででも大きなテーマとして描かれましたが、プライベートでも4人が一緒にいるほどに仲良くなっていましたね。上海行きの決定に浮かれる様子やエンジョイしている姿が印象的で、今を楽しんでいるんだなと感じられました。
マルガレーテと冬毬もだいぶ距離が縮まってきたようで、船の上での会話に2人の未来が楽しみになりました。冬毬って完璧な存在に見えて、夢のことで閉じこもっていた分知らない世界がたくさんあって、それを教えてくれるのがマルガレーテという関係性は本当にえらい。5th LoveLive! Tourで2人で披露した「1.2.3!」をめっちゃ思い出すな…。そして冬毬に友達ができたのを見て安心する姉者がほんまに良くてぇ………。
こうして見ると、それぞれの学年が歩んできた道のりが違うからこそ、未来が楽しみな部分と、未来に向かうことが寂しく感じてしまう部分が混在していて、ものすごくリアルで巧みな描き方だなあ…と実感します。やっぱり青春って、巻き戻らないからこそ美しいんですよね。
今回は可可がメインでしたが、千砂都・すみれ・恋の3人も将来のことは色々と考えているはず。前回の牛久でちゃっかり牛久大仏に行ったり、上海にも観光ガイドを持参したりと、かのんもどこかお気楽な部分があるように思わせつつも、その根底には「みんなとの最後の1年だからこそ楽しい思い出を作りたい」という想いがあるような気がしています。
残りの時間が短くなっていくなかで、5人はどんな答えを見つけて旅立っていくことになるのか。未来のことを考えるだけで気が気じゃないって…。
可可が望む未来は
続く第6話が控えていることもあって、まだ明かされていない部分も多いですが、第5話から垣間見える可可の想いにも触れておきましょう。
Liella!はメンバーの夢を力にして進んでいくグループで、だからこそそれぞれの未来へと羽ばたいていくのがゴールになるわけですが、スクールアイドルになってラブライブ!で優勝を果たしたいま、可可は夢を既に叶えていたということを見落としていました。いや、見落としていたというか、これで可可の話はほぼ解決したから、3期ってそこまで出番が作れないのでは?と勝手に思っていたというか(実を言うとすみれについてもそう思っていました)。
でも、夢見ていた場所がここであったとしても、ここにずっと居続けることは――迫りくる未来から逃れることはできない。「限られた時間の中で精いっぱい輝こうとするスクールアイドル」を夢として描くのならば、夢を叶えたその先にある景色が美しいことを描くのも、この作品の責任であるのだということに、この第5話を通して気が付かされました。TVアニメ3期がそこまで踏み込んでくるのは予想していなかったので、今回も実はなかなか気が抜けない話だったなと驚いています。
1期で連絡している姿だけ描かれた可可の姉・萌萌も満を持して登場しましたが、可可と似て柔らかい雰囲気ながら、食えない人だなあという感じですね。姉妹揃って動物園のパンダみたいな名前だな。それにしても、海外の観光地で相手から日本語で話しかけてくるのは本当に怪しいヤツだからね。ついて行っちゃダメだぞ。連行されてたけど。 さて、萌萌が可可からスクールアイドルやLiella!のことをどのように聞かされていたのかは描かれていませんが、ここで大事なのは、航空券を8人だけでなくマルガレーテと冬毬にも送っていること。萌萌は可可のスクールアイドル活動を応援してくれているということですから、一緒にステージに立っている8人のことは知っているはずですが、マルガレーテと冬毬については可可の口から聞いている程度でしょう。そんな2人までわざわざ上海まで呼び出して「皆さんにフェスに参加していただきたい」と言うのは、可可の意志が介在していると考える方が自然だと思います。
萌萌は可可から10人の話を聞き自己判断で全員に航空券を送った一方で、可可自身はそこまでするのは迷いがあったのでしょう。巻き込みたがらず抱え込んでしまうのは可可らしいというか。何をもってして助けられるのかはまだ不明ですが、可可がマルガレーテと冬毬まで呼ぶことを(心の奥底では)望んでいたかもしれないことは、第6話を観るうえで頭に置いておくべきことな気がします。2期第9話でも言っていたとおり、可可は「みんなで楽しく歌いたい」のですから。
その他細かいポイント
なんだか不思議なことに、過去シリーズを想起させるシーンが多かった第5話。視聴後のTLでは高齢者オタクによる老人会が展開されていました。マルガレーテの「気持ち悪~い。」で真姫じゃん!ってなるオタクは多数いたことでしょうし、なんか善子を思い出させるポーズもありましたね。
メンバーを心配して海外まで来て、送られてくる写真だけでメンバーを探し、家族が絡んだ展開になって、海外でライブをすることになる…。いま『ラブライブ!サンシャイン!! The School Idol Movie Over the Rainbow』の話しました!?
このあたりのことは偶然なのか、大きくなったラブライブ!の世界を意識させるためのあえての表現なのか…割と後者もあり得る気がします。
なんか既視感あるなと思った正体これか pic.twitter.com/MUnOXzNEA7
— 地底人かきたま (@pokeTC_meganest) November 5, 2024
それにしてもクネクネするかのんの動きは本当に気持ち悪かったです。変わった人っすねえ。作画枚数増やすなw
気が抜けない回ではありつつも、メンバーの個性豊かな姿が目立った回でもありました。いや、豊かすぎるか…。可可含め11人もいると本当に賑やかですね。なかでも東方明珠塔で狂喜する千砂都が一番良かったです。部長の威厳、さようなら…。
あと四季は本当に何の機械を持ち込んだのかというか、そもそもあんな怪しい機械を持ってなんで入国できたんだ…。
可可の「星屑クルージング ~上海Ver.~」はさすがに驚きましたね。どんな展開かとだいぶハラハラしていましたが、日本でLiella!として活動して手にした輝きを、上海でもこうして見せてくれることに、可可の大きな成長をも感じました。ラブライブ!での優勝を果たしたいま、これはかのんの夢でもありますが、Liella!の歌を世界に響かせることも大きなテーマになってくることでしょう。
しかしこういう時に中国語を真面目に勉強してこなかった自分をちょい恨む~!(日本人学校に通っていたので中国語はからっきしです)
と、いうわけで
第5話を振り返ってきましたが、どうも次回の第6話はヤバそうですね。これは確実に特大回が来ました。終わった…。先述したことも踏まえれば、ひとつのLiella!として結ばれるのももうすぐなのかもしれません。第5話の予告はかのんとすみれでしたが(かのすみほんまにありがとう)、可可に救われてきた恩義のあるすみれがどのような動きを見せるのかも注目です。
ここは…どこ?
— 地底人かきたま (@pokeTC_meganest) November 4, 2024
茨城。
うし…ひさし?
牛久(うしく)だね。
落ち着く景色っす〜! pic.twitter.com/F6wOokzOq7
そういえば先週牛久に行ってきたのですが、上海にもいずれ行きたいですね。神津島(こちらは2回訪問済み)に北海道、そして上海と行きたい場所がたくさん。いまはTVアニメ3期の視聴が最優先ですが、いずれ作品の舞台となっている場所も訪ねたいところです。
それでは第6話視聴後、無事戻ってこられるよう頑張りましょう…。