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平安名すみれについて考えて語るだけのギャラクシー☆彡エントリ(前編)

この金髪の子かわいいですね。

 早いものでLiella! First LoveLive! Tour ~Starlines~の閉幕から1ヶ月、そしてLiella! 2nd LoveLive! ~What a Wonderful Dream!!~の開幕までも1ヶ月を切りました。皆様いかがお過ごしでしょうか。せっかくなのでライブまでに何か書こうかなと思い筆を執ってみましたが、今回は私の愛するスクールアイドル・平安名すみれについて書く企画をお届けしようと思います。TVアニメを軸にすみれについて徹底的に考えて好きに語っていきますが、あくまで個人的に考えているというだけなので、正解を提供する場ではないことはご承知おきください。

そもそも何故すみれ好きなのか

 さて、『ラブライブ!スーパースター!!』という作品についてはシリーズで初めて最初からしっかり追っている作品なのですが(ラブライブ!はNHKでの再放送で初めて触れ、サンシャイン!!はTVアニメ放送から、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会はFirst Liveから本腰を入れています)、まあどのシリーズにおいても追っているうちに好きなキャラクターというのは出てきますね。そこでまず、私の好きなキャラクター遍歴を振り返ります。

ラブライブ!(μ's):西木野真姫
 初めて観たときから本当につい最近(去年)までずっと好きなキャラクターが定まらない状態だったのですが、最初のうちは選ぶなら絵里かな~…希かな~…花陽かな~…みたいな具合でした。ところが沼津に住んでいるだけあり『ラブライブ!The School Idol Movie』の再上映という機会にも恵まれたのですが、昨年に何度か観ているうちに真姫が好きになりました。正直ノーマークだったので自分でも驚いているのですが、「SUNNY DAY SONG」のライブパート途中で出てきた、作曲ノートを笑顔で眺める姿がぶっ刺さりましたね。μ'sとして過ごしているうちに書き溜めていた作曲ノートをあの笑顔で見ている、歴代キャラクターのなかでもぶっちぎりで素直じゃない子ですが、やっぱりそういうことなんですよねえ…。

ラブライブ!サンシャイン!!(Aqours):松浦果南・黒澤ダイヤ・小原鞠莉
 Aqoursにおいては(懐かしい言葉にはなってしまいましたが)私は「3年生単推し」という謎スタンスであったことを覚えている人もいるでしょうか。3人で単推しってなんやねんって感じですが、つまるところ3年生3人の関係性が大好きなので不可分のものとして捉えているということです。
 とはいえどうしても誰かに絞れと言われると…個人的な好みとしては果南ですかね。ただ物語的な面も含めるとダイヤが大好きなので難しいところです。TVアニメ1期第9話は、クライマックスの果南と鞠莉の話も大好きなんですが、それ以上に好きなのが最後に砂浜に笑顔で「Aqours」と書くダイヤのシーン。どれだけ2人のことが大好きなんだって話なんですよね。思い出しただけで泣けてきた。板挟みのまま一人で苦しみ続けてきたからこそ、Aqoursとしてダイヤが幸せそうにしている姿が刺さりますし、これからも幸せであり続けてほしい…そんなキャラクターです。

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会:宮下愛
 さて、ニジガクからは言わずもがな私の大好きな愛さんの登場です。どこが好きかって言われると…まあ性へkゲフンゲフン個人的な好みにクリティカルヒットしましたね。高身長、好き。ポニーテール、好き。吊り目気味、好き。なんでも楽しむところ、好き。ダジャレ、私も好き。そして何より面倒見のいいとこ、大好き。真面目な話をするnoteなので他の点は伏せておきます。
 じゃあ物語的にはどうかと言われると、TVアニメ1期第4話は作品内で一番と言うほどに好きです。それは好きな愛の担当回だからというわけではなく、愛のスクールアイドルとしての姿に惚れたからです。詳細はTVアニメ1期第4話の感想エントリに譲りますが、「自分がどうなりたいとかではなく、純粋に(特定の人物ではない)誰かを楽しませたい、ただそれだけ」という愛のスクールアイドルとしてのあり方って本当に強いと思うんですよ。だからこそ宮下愛は「最高のスクールアイドル」だと思っています。

ラブライブ!スーパースター!!(Liella!):平安名すみれ
 というわけでお待たせいたしました、すみれの登場です。ここまでの遍歴を見ていただけると何となく分かると思いますが、ビジュアル的にはすみれになるのは割と順当です。愛はもちろん、真姫もダイヤも個人的な好みにも刺さるキャラクターなので、そこを混ぜるとすみれになるのはよく分かると思います。高身長で吊り目、ポニーテールではないですが髪はロングなのがいいですね。特にTVアニメで見えた面倒見が良いタイプなのはやはり好みに刺さるもので、そもそも姉だからかなんだかんだ言いながらも可可に対して世話を焼いているところが好きです。パツキンは特に好きというわけではなかったはずなのですが。

 では最初の最初(キャラクター発表時)から惹かれたかというとそうでもなく、個人的に気になり始めたのは、個人的シリーズ最強楽曲・デビューシングル「始まりは君の空」のPVの試聴動画を観てからでした。基本的にはビジュアルだけでなく物語を味わわないと決められないタイプなので、この時でも確定こそしていませんが、PVの「やってみたいこと探して 冒険したっていいんじゃないかな」の部分、幼いすみれが選ばれずに表情を曇らせているカットを観て、これは物語的にも自分が惹かれる何かがあるなという予感を得ました。そしてその予感は見事に的中した、というか想像を遥かに超えてどっぷりになってしまったのですが…物語の深堀りはまだ後ほど。

プロフィールと平安名すみれの「大前提」

 続いてはすみれのプロフィールを確認していきましょう。

誕生日:9月28日
血液型:AB型
身長:161cm
趣味:読書、音楽鑑賞、占い
特技:自撮り
好きな食べ物:卵かけご飯、緑茶、メロン
好きな言葉:「一念天に通ず」
好きな教科:国語、日本史
好きな動物:クジャク

『ラブライブ!スーパースター!!』公式サイト:メンバー紹介

 まだまだTVアニメなどで活用されていない項目も多いですね。すみれは私生活があまり映らないため、趣味(占い以外)は少し意外な気もします。音楽鑑賞は第10話でヘッドフォンを使っていたのが関わるでしょうか。好きな言葉が「一念天に通ず」なのはストーリーからもグッと来るものがあります。動物がクジャクなのも非常にすみれらしいですね。
 好きな教科は国語に日本史と文系タイプながら、すみれならばどの教科も難なくこなせそうですし、ストーリーを見ていても間違いなく頭は良いんですよね。後ほど触れるつもりですが、すみれはLiella!の参謀ポジションですから。そういえば、Liella!には勉強が苦手なメンバーがおそらくいません。可可と恋は当然出来が良いとして、千砂都は音楽科に入るだけあり出来が悪いとも思えませんし、かのんも第2話や第9話からあまり机に向かうのが得意ではなさそうながら、特に勉強が苦手という印象はありません。
 ちなみに個人的に面白かったのが好きな食べ物。卵かけご飯ですか…私は毎朝食べています(ただの節約飯)。それから緑茶とメロンというのは静岡県民として見過ごせませんし、すみれの象徴でもあるグソクムシは深海生物、つまり駿河湾にもいますね…なぜこんなに静岡要素が!

 そしてもうひとつ、TVアニメが始まって私自身すっかり忘れていた、すみれの大前提について触れます。それがこちら。

 この動画では『ラブライブ!スーパースター!!』のティザービジュアルが写りますが、開始10秒くらいから映るすみれに注目。案内するように差し出された左手、そしてすぐ隣の杖をついたおばあさんはすみれのことを見ていることから、おそらくこのおばあさんを案内しているものだと思われます。そういえばプロフィールにはこんなことも書いてありました。

 幼い頃は子役としてCMにも出演したことがある女の子。高飛車で勝ち気な所もあるが、根は人の悲しみが分かる優しい子でもある。いざという時に意外な能力を発揮するLiella!のジョーカー的存在。実家は学校近くの神社。

『ラブライブ!スーパースター!!』公式サイト:メンバー紹介

 TVアニメの中でも見えてくる部分とはいえ、第1話・第2話でかのんにキレたり不審者ムーブをしたりといったことが非常に目立つこともあり、「すみれは本当は優しい子である」という点はつい見落としがち。Liella!のなかでも個性的なメンバーという枠ではありますが、それだけではないのがすみれなのです。

短いながら実は考えどころ、第1話

 さて、ここからTVアニメの話に入っていきましょう。まずは第1話から。とはいえ序盤はすみれの出番は非常に少なく、第1話では以下の2つとライブパートしかありませんでした。

「平安名すみれです。よろしく。」

第1話「まだ名もないキモチ」

 こちらは入学初日のクラスへの挨拶がひどくつっけんどんなシーン。子役として(陰ながらも)芸能界を渡った経験もあることから、いくらクラスメイトとはいえ第一印象をマイナスで与えるのが悪手であることはすみれ本人にも分かるはずです。ビジネス的な付き合いと違い、一般的な人付き合いはあまり得意なタイプではなさそうですが、このように挨拶させてしまうような何かがあったのかもしれません。

「あの!」
「何でしょう?」
「お…同じクラスの平安名すみれちゃんだよね?突然なんだけど、ス…スクールアイドルに興味あったりしない?もしよかったら…。」
「私を誰だと思ってるの!?」

第1話「まだ名もないキモチ」

 トゲだらけなすみれのイメージを形作ってしまったこのシーンですが、そもそもの前提は前述したとおり「優しい子」。そんなすみれが声をかけてきたクラスメイトに突然キレるか、というと通常であれば考えがたいでしょう。こちらも何か理由があると考えるほうが自然です。
 さて、このシーンについて何かしらの事情を見出すとして、私は以下の2点を考えてみました。それぞれ検討してみましょう。

「地雷を踏んだ」―すみれの憧れとは?

 まずひとつ目、後者のシーンでキレた理由はすみれの「地雷を踏んだ」からというもの。地雷を踏めばキレるというのは分かりやすいですが、第4話にあるように、すみれはもともとスクールアイドルについてほとんど知らない身であり、なぜこれが地雷になるのかという疑問が残ります。そこで着目したいのが「すみれはどのような姿に憧れてきたのか」という点です。
 すみれは幼い頃からスポットライトに憧れていたという話がTVアニメの中でありましたが、これはやや漠然とした言葉になっており、どのような方向での活躍を目指したのかという点は明らかになっていません。元は子役に始まり、中学生(?)の頃にはミスコンのファイナリストになり、料理や歌、ダンス、ラップ(アドリブ対応力)まで兼ね備えているなど、非常にマルチな能力を持っているすみれ。逆に言えば、特定の方向性を持っているようには見えませんが、それこそがすみれの憧れる姿なのかもしれません。要するに何をしても完璧にこなせるマルチタレント、といったところでしょうか。現実でもテレビなどでたまに見かけますよね。すみれにとっての憧れは、そのような完璧な存在を見た時から始まっていたのかもしれません。
 しかし、それがどうして「スクールアイドル」という言葉への地雷になりうるのか。ここでのすみれの地雷は「アイドル」にあると私は考えています。これはただの私の偏見なのですが、アイドルという存在の重要な要素のひとつは「親近感」だと思っています。(私はアイドルには全く詳しくないのですが)近年のアイドルというのは、会いに行って交流できることを売りにしていたり、公開オーディションなどで努力している姿を披露したりと、アイドルとファンは同じ「人間」であり、決して遠い存在ではないことを打ち出していることが多いですね。そして人間である以上長所もあれば短所もあるわけですが、そんな人間的な凸凹すらも愛されるのが「アイドル」という存在でもあります。
 お気づきでしょうか。すみれの目指す「完璧な姿」と「アイドル」は、同じスポットライトを浴びる存在ながらも、本質では大きく異なっているのです。スクールアイドルは知らないすみれでも、本来のアイドルはさすがに知っているでしょうし、ショウビジネスで関わったこともあるかもしれません。そんなアイドルを毛嫌いはしていないまでも、自身の目指すものとはかけ離れたものとして捉えているというのは充分にありえます。そして、そんな自身の理想像とかけ離れた存在にならないかと誘われた―これがすみれにとって地雷となったというのが、私のひとつの考えです。
 ところでこの『ラブライブ!スーパースター!!』というプロジェクトでは、一般公募オーディションで選ばれたキャストが活躍しています。2人のオーディションの姿はリリースイベントやライブなどでも流れるなど、一般公募キャストがいることはこのプロジェクトの肝でもあるのですが、それでいて上記のような解釈ができるのは面白いなと思っています。この後掘り下げる予定のストーリーからも分かるように、すみれはLiella!の中でも少し異質な存在なんですよね。

「やさぐれていた」―なぜ結ヶ丘に?

 もうひとつの考えは、すみれが「やさぐれていた」という可能性です。これは単に機嫌が悪かったという話ではなく、かのんのように挫折した状態であった可能性があるということ。この説を展開するためにはある問題を考えなければなりません。それは「すみれが結ヶ丘女子高等学校に入学した理由」です。
 TVアニメの中で、他のメンバーはそれぞれ理由があって結ヶ丘に来ていることが分かっています。かのんは歌が好きで中学生の頃から結ヶ丘に入ることに憧れ、可可はスクールアイドルをするために音楽に力を入れている結ヶ丘を選択しています。千砂都は自身のダンスを極めるため(かのんと同じ学校に行きたかったのもあるかもしれません)、そして恋は母親の遺した結ヶ丘を立派な学校にするため―それぞれ明確な理由があります。ところが、すみれだけは結ヶ丘に入学した理由が全く語られていません。芸能関係に強い学校という選択肢もあるはずなのに、近いとはいえわざわざ新設校の(=名の通っていない)結ヶ丘を選ぶのは何か理由がある気がします。
 ここで着目したいのが結ヶ丘の入学制度。音楽科と普通科の2学科に分かれた結ヶ丘ですが、音楽科に入るためには別の試験で受からなければなりません。そしてすみれがどのような形式で受けたかは明らかにされていませんが、音楽科の試験を受けて、かのんと同様に落ちて普通科に来ているのかもしれません。先に述べたようにマルチな能力を持っているすみれですが、その中には歌やダンスといった結ヶ丘の音楽科で求められるようなものもあり、それらは受験にも役に立つものでした。公式サイトのプロフィールにもある「勉学を優先させるために、ショウビズ活動をセーブしていました」という話から、むしろ結ヶ丘に入るためにこれらを身につけたとも考えられます。そして結ヶ丘は新設校でまだ実績が全くありませんが、それゆえに名門校よりはスタートの競争がフラットになるため、ここで上に立てば音楽からスポットライトへの道が拓けるかもしれないという、計算のもとに結ヶ丘を選んだ可能性が考えられるのです。実際第8話などから分かるように、すみれはその時々でどのように動くと良いのかを冷静に考えるタイプですしね。
 しかし自身の実力という点においては計算通りにいかず、結局はスポットライト同様、音楽科にすらすみれが選ばれることはありませんでした。そうなればかのんと同じく機嫌も悪くなる(しかもこれを幼い頃から繰り返していて、下手をすればかのん以上に拗らせている)ため、クラスメイトには無愛想で近寄りがたい挨拶をし、声をかけてきたかのんにキレるといったことまで起きているのかもしれません。
 実際に第1話の最後、「未来予報ハレルヤ!」のライブパートでは、5人の中で唯一日陰にいるのがすみれです(「憧れまで隠してごまかしちゃうほど」のところ)。物語の重さでいえば恋も相当なものですが、ここからもすみれのただならぬ内面を感じ取ることができます。

 2つの考えを検討しましたが、これはどちらか一方というわけではなく、むしろ両方が重なっているのかなと個人的に考えています。もちろん正解が提供されているわけではないため本当のところは不明ですが、推測としてはそれなりに筋が通るなと自分では思っています。

僅かなシーンから感じ取る、第2話

 続いては第2話、とはいえこちらは、オープニングとエンディングを除けば第1話よりさらに少ない出番となりました。

「うわあ、おいしそ~!」
「ん…場所が悪いみたいね。あ…。」

「キャー、サニパ!」
「かっこいいでしょ~。」
「サニパ…?」

第2話「スクールアイドル禁止!?」

 はっきり言ってしまえばこのシーンはただの不審者。鼻にクリームつくとかそうはならんやろ。とはいえそれだけで飛ばすのももったいないので、ここも少しばかり考えてみましょう。

 これは竹下通りでスカウトされるのを期待しての行動ながら、先ほど書いたような「完璧な姿」とは随分異なっているようにも見えます。ここまでスポットライトに当たるべく、子役やミスコン、音楽など様々な方向からのアプローチをしていたすみれですが、それに比べるとスカウト待ちというのはやや受け身な印象を受けます。もちろんすみれのことなので今までこの方向も狙っていたかもしれませんが、本来の「自らつかみ取りに行く」やり方に限界を感じてこの行動という考え方もできます。ややこじつけに近い話でもありますが、(先ほどの話が正しいとすれば)受験でも結果が出ず追い詰められつつある状況なのかなという想像もできてしまいますね。すみれのソロ曲の歌詞からもそんな部分が見え隠れしています。

シンデレラ・ストーリーを
追いかけてたの
でもしあわせの階段
自分でのぼりたい!いまは

ヒロインズ☆ランウェイ / 平安名すみれ(ペイトン尚未)

 そしてもう一点、スクールアイドルをよく知らないすみれながら、Sunny Passionのことは少し引っかかったようです。スクールアイドルは興味の範疇にはなかったとしても、すみれは流行などへのアンテナは高い方でしょうから、人気のある物事には目ざといことでしょう。さらにここでの女性2人のやり取りからすると、Sunny Passionに自身の目指す姿に近いものを感じ取ったのかもしれません。なんせ「かっこいいでしょ~。」ですから、すみれの思っているかもしれない「アイドル」像とは異なる、目新しい存在である印象を受けたことと思います。

その星たちに何を見たのか、第3話

 第1部のラストとなる第3話。ここもすみれの出番は少ないものでしたが、ここにきて非常に大きなやらかし、しかしながらこの後の5人の運命をあまりにも大きく変えるきっかけを作りました。

「きゃ~!」
「ん?」
「始まっちゃう!」
「急いで!」
「何?」

第3話「クーカ―」

 すっかり夜だというのに、また竹下通りにいるすみれ。だから鼻にクリームはつかんやろ。周囲の女子高生が急いでいる様子を見てその流れに乗りましたが、実に周りをよく見るタイプであることが伝わります。自身の周りにあるチャンスを見逃さないために磨かれたものでしょうが、すみれの面倒見の良さはここから来ているのかもしれません。

「フン、道理でスカウトが街にいないわけね。」
「何してんの?あの2人。はうあっ!」
「ああっ!やっちゃった~!やっちゃったったらやっちゃったのよ~!」
「やっちゃったったらやっちゃったのよ~!」
「ひぃ~!」
「これったらこれぇ~!」

第3話「クーカ―」

 クラスでつっけんどんな態度をとってはいますが、周りをよく見ているのでかのんと可可であることはすぐに気が付きます。しかし感動的なシーンのなかひとりで情緒を壊してくる平安名すみれ、なんと恐ろしい子。盛大なやらかしの後は普段のすみれからは全く見られない様子ですが、ここにはすみれの本来の姿が出ています。万能でありかつ計算も上手いので、計算通りに事が進んでいる間は完璧に見えるのですが、それが狂うと一瞬で崩れるタイプなのでしょう。そして人から見て完璧であろうとするあまり、助けを求められず一人で抱え込んでなんとか解決しようとしてしまう。ここではコミカルに描いていますが、完璧を目指すすみれからすれば弱点丸出しのシーンとも言えますね。

 そして「Tiny Stars」のライブパート、へたり込みながら2人のステージを見るすみれが一瞬映ります。そこにあったのは、力の抜けたような、呆気にとられたような、驚いたような表情。すみれはこのライブに一体何を感じていたのか。第4話の内容が必要な部分ではありますが、先の話もしつつ少し考えてみましょう。
 第4話から分かる通り、ライブ映像を見て「これなら」と口走っていますし、2人が習得したダンスもすぐにこなしていますから、単に実力という点で言えばこのライブは驚くものではないはずです。ではあの表情は一体何に対する驚きなのか。それはおそらく、スクールアイドルそのものに対する驚きではないかと私は考えます。第4話の店頭で2人のライブ映像を見て真似するシーンから、すみれはこのライブを「大したことない」どころか「自身には届かない」ものとして見ていることは間違いありません。それがパフォーマンスの実力でないということであれば、アイドルという括りから興味の外であったスクールアイドルという存在を初めて目にして、そこに自身にはない「何か」があることを既に感じ取っているのかもしれません。そしてこの時はまだ2人がスクールアイドルであることを知らないため、すみれにとっては「よく分からないけど何かすごい、未知の存在に出会っている」という感覚のはずです。自身が目指す完璧な存在が絶対であったすみれにとって、完璧ではないはずの2人が輝いて映ったことは非常に大きな衝撃だったでしょう。その得も言われぬ感情から出てきた、捨て台詞のような「ギャラクシー!」…ギャラクシーってなんだ?というのもまた後ほど考えましょう。
 
やや抽象的で捉えづらい話にはなりましたが、スクールアイドルと回りくどい出会い方をし、その「実力だけではない何か」を既にすみれが感じていることは、次の第4話を読み解く上で大事になってきます。

 さて、長くなってしまったので前編はこの辺りまでにしておきます。次は第4話~第8話を題材に書きましたので、楽しんで読んでいただけたようであれば是非どうぞ。

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