切り拓け、星たちの新たな時代―TVアニメ『ラブライブ!スーパースター!!』3期第3話「白色のセンター」
いよいよ迎えた『ラブライブ!スーパースター!!』TVアニメ3期の第3話。第3話といえば数々の重要な局面を描いてきた話数でもありますが、この3期第3話も本当に素晴らしい回でした。次回予告からただならぬ雰囲気を感じてはいましたが、2期生である四季にフォーカスしてくれたことが本当に嬉しかったですね。
今回も感想的なものを書いていくわけですが、予め書いておくと、割と感想が難産な回でした。この話から得た感動を上手くまとめられないのが悔しいところですが、お付き合いいただけますと幸いです。
新しいLiella!の目指す姿
次回予告にある通り、今回は四季とメイがメインとなる回。ただ、その発端は千砂都の提案からでした。経緯は変われど、かのんが不在となることは2期第12話の時点で決まっていたわけですから、部長としてより素晴らしいLiella!を作っていかなければならないと、千砂都はずっと考えていたことでしょう。とはいえ、その口から出た言葉は私の想像を超えるものでした。
1期の頃から、千砂都に見えている世界がどんなものなのか、私はずっと気になっていました。いつの日かかのんを助けられる存在になりたいと決意した時も、かのんが本当に歌を取り戻すために敢えて一人にした時も、夢に挑戦してほしいとかのんの背中を強く押した時も。こうやって書くと全てかのんのために行動しているように見えますが、そのあまりにも強すぎる決意の裏で、ずっと先にある何かを見ているような気がしてならなかったのです。
でも、その瞳に映っている景色は遠く果てしなく、私には想像もつかないほどだった。それが今回、ようやく見えたような気がしています。ああ、千砂都が部長でよかった。心からそう思えた瞬間でした。彼女が見つめる先は、「もっと笑顔でいられる未来」というあの日の約束を果たした世界なんだ、と。
そうして常に未来を見据えている千砂都だからこそ、2期生にバトンを託してくれるんですよね。これまで1期生のフォロワーという印象があった2期生ですが、1期生の原動力となっていたそれぞれの夢や熱い想いのように、2期生がそれぞれの信じるものを見つけることで、Liella!はさらに高みを目指していける。そう、第1話の感想でも書いたのですが、それぞれの個性や力を最大限発揮することができる、蝶が集まったチームになることができるのです。
この話、第1話時点では想像に過ぎなかったのですが、幼き日の四季が蝶に手を伸ばしたことや、新しいLiella!のステージである「Special Color」が蝶をモチーフにしていることで、ほぼ確信に変わりました。もしそれが実現したのならば、Liella!は本当にすごいグループになる…そんな予感を覚えます。
2期生の中から他でもない四季をセンターに推した理由ですが、これはハッキリとは描かれていないものの、個人的には「よく知らないことをよく知っているから」という気がしています。
2期第10話でダンス担当として関わるようになり、千砂都にとって2期生のなかで最も距離が近いのが四季ですが、四季の性格のこともあって、掴みきれていない――でも不思議と魅力的だと思える部分があったはず。そんな未知なる魅力を、新しいLiella!と四季に重ねて可能性を見出した。そして、その魅力に四季自身も気がつき武器にしてほしかったのではないでしょうか。
堅実な提案をするすみれと異なり(リーダーとして、という意味では実に的を得ていたわけですが)、「未知」に対する賭けのような発想をしているわけですが、メンバーの隠れた魅力とグループの未来を見据え、それをできることこそが千砂都ならではの強さだろうなと思います。
Liella!と「白」
四季はセンターという重責を受け止めきれなくなってしまったわけですが、センターをめぐるやり取りは1期生のこれまでを感じさせます。この話は2期第4話だけでなく、1期第10話も彷彿とさせるほか、私が何より思い出したのは、Liella!という名前をかのんが名付けた1期第9話でした。
同じ白という色に答えを見出したかのんと千砂都ですが、千砂都が出したのはかのんの時から一歩進んだ、千砂都だからこそたどり着けた自分だけの答え。それはかのんと互いに支え合い、高め合い、そしてそれぞれの道へと歩み出したからこそ見つけられたものでした。
メイと話した後、かのんに助けてもらおうかと一瞬迷ってもいましたが、同級生の言葉からヒントを得たかのんのように、自分自身で答えに気がつくことができた。これは千砂都にとってのひとつのゴールなんだと思います。1期第6話で語った「かのんに頼らない自分」に手が届いたのですから。
千砂都はこれまでも部長として才能を発揮しLiella!を支えてきたわけですが、いよいよ最強の部長になってしまったようです。千砂都が導く果てしない未来には何が待っているのか、今はまだ分からないけれど、きっと私たちをまだ見たことのない景色へと連れて行ってくれるでしょう。
さて、もうひとつ個人的に気がついたことがありました。白という色に新しい解釈が加わったわけですが、ここまで来ると白には特別な意味があるように感じられてなりません。そこで思い出したのが1期第9話のこの言葉です。たくさんの色の光で結ばれた時、そこにある色って白ですよね…?
白という色がこの先これ以上の意味を持つのか、それはこの先の物語次第。ただ、白という色にこんなにも素敵な意味を感じさせてくれた『ラブライブ!スーパースター!!』という作品はすごいなと、改めて実感しています。そんな作品がこの先見せてくれる物語はどれだけ美しいのだろうかと、これまで以上に楽しみになっています。
米女メイだから紡げる言葉
今回の第3話で何より嬉しかったのは、2期生に焦点を当てさらなる成長を描いてくれたこと。過去に何度も言っていることですが、Liella!の夢を大きくしてくれた2期生には本当に感謝しかなくて、TVアニメ3期にはそんな2期生を深掘りしてくれることを、ずっと強く期待していました。
2期第4話では明かされなかった、四季がスクールアイドルに惹かれた理由をようやく知れたことが本当に嬉しくて、気がつけば涙が流れていました。こんなにもささやかで、でも切実な思いで四季はLiella!にいたのだと。中学生の時、メイが科学室に来た時の四季の笑顔を見て、メイがそばにいるということがどれだけ幸せなのかを想ってボロボロに泣いていたのですが、こんなの聞いたら余計に…。
そして、そんな四季に魅力を見出したのは千砂都でしたが、四季の気持ちを動かしたのはやはりメイでした。それは、四季には奮い立たせることではなく、手を差し伸べてくれることが必要だったからでしょう。
すみません、この第3話は四季の話ではあるんですが、私にはメイの話をさせてください。科学室でメイが四季に向けた言葉はどこをとっても素敵ですが、私はこの言葉が一番好きで、ここにメイのすべてが詰まっているとすら思えたのですから。
日陰に隠れた、光が当たればキラキラと輝くはずの存在。眩しくて外に出られなかった四季だからこそ、四季とだからこそ、世界は鮮やかな色に溢れているんだと証明できる――それはなんて美しいことなんだろうと。
メイの一番いい所って、相手と同じ場所に立って言葉をかけられることだと思うんです。2期第2話できな子にかけた言葉も、文字通り読むと熱い言葉で引っ張っているようにも聞こえますが、それは本当は自分自身にも向けたかった言葉。「頑張れ」とか「あなたならできる」とかじゃなくて、弱さも抱えているメイ自身と「一緒に進もう」って言えるんです。四季が相手だからという部分もあるかもしれませんが、これはLiella!のなかでもメイにしか紡げない言葉なのだと思います。
このシーンを観ていよいよ気がついてしまいました。2期第4話でも「四季が近くにいてくれたら、頑張れそうな気がするんだ」という言葉の美しさにもやられたわけですが、ひょっとすると私、米女メイのことがめちゃくちゃ好きかもしれない…。
いやいやまだ早い。TVアニメ3期は2期生の見せ所がさらにたくさんあるはずなので、私が最終的にどの2期生に転がるのかお楽しみに(?) 2期生の出番はなんぼあってもええですからね!
鬼塚姉妹の動き
さて、次回の第4話はいよいよ3期からの新キャラクター・鬼塚冬毬の回になりそうですが、この第3話にはいくつか気になる布石があったので、それを拾っておきましょう。
まず第1話で引っかかったセリフとして挙げた、夏美の「やんごとなき事情」というものですが、旬゛喫茶パンエスでのシーンで夏美が早く帰ったこととも関係がありそうですね。
冬毬は冬毬で必要ないからと練習を休んでいますが、第2話の時点では単に能力的に必要がないという話でした。たしかに、1期第9話で披露する曲が決まらず基礎練習に時間を取られていたことを考えれば、基礎ができているならばそれは無駄である、ということも言えてしまいます。一方で「Bubble Rise」のステージを通して何かを感じ取ってもいるはずで、そんな今の冬毬が練習を無駄と一蹴するのかと考えると、なにか事情があるような気もします。かのんのお人好しレーダーって大体正しいですしね。
姉妹でコミュニケーション不足かと思いきや、夏美に聞いてアップルパイを買いに来る描写もあって、この辺りが鬼塚姉妹の今後の話と関わってくるのかどうか注目したいところです。
そしてもうひとつ、トマカノーテのステージの評判に対する夏美の「ま、あの3人ならいい線いくのは当然ですの。」という言葉も個人的に気になりました。Liella!のメンバーからすると、かのんは当然として、東京大会でLiella!と戦ったマルガレーテの実力も認めるところですが、冬毬という未知の存在がいるなかでも結果を出したことに驚くのは無理もない話。ただ、夏美はそこを「当然」と言えるのですから、冬毬にもそれだけの実力があるということを知っている、と言えそうです。
冬毬を見る表情からはまだ読み切れない部分が多いですが、冬毬に対するコンプレックス的なものもあるのかなあ…と個人的には想像してしまいます。いずれにせよ2人がどんな未来を迎えることになるのか、早く続きを観せてくれの気持ちでいっぱいです。
その他細かいポイント
冒頭、Liella!の影が薄くなりつつあることに可可とメイが嘆いていたシーンですが、メイがコウメ太夫になった後の可可が何を言っているのか本当に分からない…誰か解読班よろしくお願いします。
あと毎度おなじみの謎妄想シーンが出てきましたが、1期第7話で1期生5人、2期第6話でロケット団のきな子・メイ・四季、そしてここではトマカノーテ…。あれ、夏美だけ妄想世界に出たことがありませんね。せっかくならそれもどこかで見てみたいよなあ…w てかマルガレーテのポーズ本当に何!?
千砂都とメイが別れ際に「ういっす〜!」をやっていますが、2期生でやったのってメイが唯一…でしたっけ?というか恋もしたことあったっけな…。ちょっと記憶が怪しいのですが、だとすればさすがLiella!オタクのメイというほかありませんね。そんなメイの部屋にかかるLiella!のタペストリーに、メイ自身が映っているのもなんだか誇らしく思えます。
この枠に書く話でもないですが、「Bubble Rise」のステージを見た後にマルガレーテが「練習、行くわよ。」と言ったのが最高すぎました。そして、必要なら練習に参加すると言っていた冬毬が黙ってついていくのも良いですよね。3人の性格が出てるなあ…。
火をつけられた3人の想いが、最終的にLiella!としてどのように結ばれていく流れになるのか、第4話以降はそこも注目ポイントになりますね。
リエラのうたコーナーが一旦お休みになり、本編放送後にはミニドラマが始まりました。1年間を12話で描く『ラブライブ!スーパースター!!』はかなり内容を詰めた濃厚な物語なので、こういった日常パートを本編外で観られるのも良いなと思います。本編で素晴らしい姿を見せてくれた反動なのか、四季の怪しい笑い声でシメられてしまいましたが…w
と、いうわけで
まとまらないなりに、第3話から得た感動についてなんとか書いてみました。複雑に要素が絡む話でもあるので、自分のアウトプット能力ではなかなか捌ききれなかったのですが、それでも間違いなく素晴らしい回でした。
TVアニメ3期は第1クォーターを終え、いよいよ第2クォーターへ。2期では第6話でメンバーが揃うこととなりましたが、まだまだ想像のつかないことばかりです。続く第4話も渋谷でリアタイ予定ですので、どのような物語と向き合うことになるのか、引き続き楽しみにしています。それでは。